ミシガン州デトロイトを含むいくつかの地域が、新たな移住者にインセンティブを提供している。
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- 人手不足や住宅余剰を解消するため、アメリカ各地で移住者にインセンティブを付与する取り組みを実施している。
- Business Insiderでは、アメリカで移住者に金銭補助(またはそれに相当するインセンティブ)を付与している11の地域をピックアップした。
- 完全移住やフルタイムでの就労など、応募要件は各地でさまざまだ。
ニューヨークのような大都市では、人材不足や住宅を埋めてくれる労働者や居住者を見つけるのに苦労しない。しかし、もっと人口が少なく、労働力不足に悩む地域では話が別だ。
州外から労働者を呼び込もうと、複数の地域が新たな移住者向けに、学生ローンの返済や無償の土地といった大きなインセンティブを付与している。たとえばカンザス州トピカでは、最大1万5000ドル(約165万円)を移住者に提供するという。
Business Insiderは、アメリカで定住候補者に特典を付与している11の地域をピックアップした。
オハイオ州ハミルトンは、移住者の学生ローン返済を支援
Greater Hamilton Chamber of Commerce
シンシナティから45分ほどの距離にあるオハイオ州ハミルトンに移住する大卒者は、学生ローンの返済に最大5000ドル(約55万円)の支援を受けられる。
ハミルトン・コミュニティ財団によると、この「タレント・アトラクション・プログラム・スカラシップ(Talent Attraction Program Scholarship)」は2018年に始まった。応募資格があるのは、過去7年間に大学を卒業し、科学、技術、工学、数学、または芸術分野の学位を取得していて、なおかつ1万ドル(約110万円)以上の学生ローンを抱える人だ。
ネブラスカ州ノースプラットは、移住者にまとまった現金を支給
ネブラスカ州ノースプラットにあるゴールデン・スパイクタワー。
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ネブラスカ州ノースプラットは、就労目的で移住する人に、最大5000ドル(約55万円)の補助金を支給する。新たに就く仕事は、フルタイム雇用で時給にして20ドル(約2200円)以上で、その企業に最低3年勤めることに同意しなくてはならない。
ロースクール卒の25歳、オードリー・ベリュー(Audrey Bellew)さんは、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の取材に対し、得た補助金を引っ越し費用に充てたと話す。ほかにも、弁護士試験に向けて勉強したり、地元の法律事務所に就職する準備期間の生活費にも、補助金が役立ったという。
ノースプラット市は、プログラム効果で地域の数百件の求人が埋まることを期待している。
ミシガン州デトロイトは、移住者に最初の1年間の収入を保障するフェローシップ・プログラムを実施
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2008年に始まった「チャレンジ・デトロイト(Challenge Detroit)」は、州外から同市に移り住んで働く大卒者に向けて、フェローシップとして金銭的支援を提供している。毎年30人ほどのフェローが選ばれて、地元の企業や非営利団体に勤務している。12カ月のプログラム終了後は同市に定住する選択肢もある。
カンザス州オズボーンは、住宅と事業用の土地を無償提供
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カンザス州オズボーン市のウェブサイトによると、同市では地域の経済発展と人口増加を目指し、事業用と住宅用の土地を無償提供している。
事業用でも住宅用でも、無償の土地に関心がある人は、申請書を提出すれば応募できる。
事業用の土地に応募する場合、事業計画と建築計画の審査があり、3人以上のフルタイム従業員を雇用すること、500ドル(約5万5000円)の手付金を支払うこと(契約条件をクリアすれば返還される)といった要件がある。
カンザス州コットンウッドフォールズは、所得税を最大5年間免除
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カンザス州コットンウッドフォールズは、独自の金銭的インセンティブプログラムを開始した。条件を満たす新規居住者に対し、カンザス州の所得税を最大5年間免除するというものだ。
コットンウッドフォールズがある郡は、「ルーラル・オポチュニティー・ゾーン(Rural Opportunity Zone)」に指定されている。指定を受けたカンザス州の77郡は、移住者へのインセンティブ付与を州から許可されている。インセンティブの内容はさまざまだ。
郡によっては、所得税の免除と、最大1万5000ドル(約165万円)の学生ローン返済援助の両方に応募できる。
カンザス州リンカーンは、土地を無償で提供
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カンザス州リンカーンは、約1万2000平方フィートから3万6000平方フィート(約1115平方メートルから3345平方メートル)の土地を無償提供している。市のウェブサイトによると、応募は先着順だ。取得者は土地を取得する前に、取り決めた期限内に、建設業者と契約を結ばなくてはならない。
アイオワ州マニラも土地を無償提供
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アイオワ州マニラのウェブサイトによると、同市は、戸建て住宅用の土地を個人または団体に無償で提供している。地域データサイト「Niche.com」によると、マニラの人口は912人、平均住宅価格は7万1900ドル(約790万円)だ。
オクラホマ州タルサは、リモートワーカーの移住者に最大1万ドルを提供
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「タルサ・リモート」(Tulsa Remote)プログラムは、同市に移住するリモートワーカーに金銭的支援を行っている。
移住希望者には、1万ドル(約110万円)と、市内のコワーキングコミュニティでの作業スペースが提供されると、プログラムのウェブサイトは説明している。
応募要件は、6カ月以内に移住可能で、フルタイムのリモートワークに就いていることだ。
ミシガン州セントクレア郡は、移住者の学生ローン返済に最大1万5000ドルを支給
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ミシガン州セントクレア郡の「カムホーム・アワード(Come Home Award)基金」は、同地に移住する大卒者に向けて、最大1万5000ドル(約165万円)を提供する。
応募要件は、学生ローンを抱えていて、科学、技術、工学、芸術、または数学分野の学位を取得していること。郡のウェブサイトによると、受給者は受給後120日以内に同地で就労しなくてはならない。
カンザス州トピカは、移住者に最大1万5000ドルを提供
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カンザス州の州都トピカは、雇用者の企業と協力して、移住者に向けてまとまった現金を提供している。
「トピカを選んで(Choose Topeka)」というこのプログラムでは、トピカに住宅を購入し、そこに1年間居住して就労すれば、最大1万5000ドル(約165万円)を受け取ることができる。住宅購入ではなく賃貸の場合は、最大1万ドル(約110万円)が提供されると、プログラムのウェブサイトは述べている。
現在プログラムは、参加者を募集中だ。定員は約40~60人の予定。参加者が受給資格を得るには、同市に1年間居住しなくてはならない。
ミネソタ州クレアモントは、家を建てたい人に土地を無償提供
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[原文:11 places in the US that are offering new residents big incentives to move there]
(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)