【新型コロナウイルス】「生きて家に帰れるか分からない」クルーズ船の乗務員たちから上がる不安の声

乗客

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の客室のバルコニーでからだを動かす乗客(2020年2月11日)。

Reuters/Issei Kato

  • クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗務員たちは、自分たちが新型コロナウイルス(COVID-19)から十分に守られていないと恐れている。複数のメディアが報じた。
  • ダイヤモンド・プリンセスでは2月13日現在、218人の感染が確認されていて、このうち11人は乗務員だ。
  • 感染が確認された乗務員は、今も船に残る乗務員たちと「お互いの肘がぶつかるほどの距離」で食事をし、働いていたという。

ダイヤモンド・プリンセスの乗客が隔離されている一方で、その乗務員たちは隔離されていない —— 中には、自分たちは新型コロナウイルスに感染する"より高い"リスクにさらされていると不安を漏らす乗務員もいる。複数のメディアが報じた。

ダイヤモンド・プリンセスでは2月13日現在、218人の感染が確認されている。

このクルーズ船で働くソナリ・タッカー(Sonali Thakkar)さんは、頭痛、発熱、咳といった体調不良を報告した後、もともと同僚とシェアしていた船室で今は1人隔離されているとCNNに語った。

「本当に怖くて、みんなピリピリしています」とタッカーさんは話している。

ワシントン・ポストによると、クルーズ船で働く人々は乗客のように隔離されていないため、ウイルスに感染している乗務員とそうでない乗務員が接触している可能性がある。

ある調理係の男性は、なぜ乗務員は隔離されないのかと同紙に疑問を投げかけた。

「わたしたちはこの船の一部じゃないんですか? 乗客が隔離されているのに、どうしてわたしたちはまだなんですか? 」

別の乗務員は、ウイルスの感染が確認された乗務員は、今も船に残る乗務員たちと「お互いの肘がぶつかるほどの距離」で食事をし、働いていたとニューヨーク・タイムズに語っている

2月13日現在、乗務員11人の感染が確認されている。

クルーズ船では、乗客に食べ物を運ぶ乗務員もいれば、タッカーさんのように船の出入り口で働く乗務員もいて、ウイルスに感染している人と接触するリスクは高い。

次に感染するのは自分ではないかと、彼らは恐れている。

別の調理係の男性は「ここに足止めをされて、自分は生きて家に帰れるか分からない」とワシントン・ポストに語った。この男性はまだ検査を受けていないと言う。

乗客の隔離は2月19日に終わる予定だが、乗務員も同じように解放されるかどうかは分かっていない。先週で契約が終わっている乗務員もいるが、隔離中は船にとどまり、働くよう言われているとある調理係はワシントン・ポストに話した。CNNによると、乗務員は通常通りの賃金で働いていて、隔離が終わった後、有給休暇を取ることになるという。

ハーバード大学の免疫学の教授エリック・ルービン(Eric Rubin)氏は、全員を船にとどめ置くことで実質的により多くの人がウイルスに感染するリスクを高めているのではないかと、CNNに懸念を示した。現時点でこのクルーズ船は、中国本土以外で最も感染者数が多い。

「乗客をどうするかについて、検討は重ねられてきたと思うが、(今回の対応が)乗務員を高まるリスクにさらしている」とルービン氏はCNNに語った。

また、専門家たちは乗務員の置かれた状況が意図した隔離の目的を台無しにし、結果的に感染者を増やしかねないと、ニューヨーク・タイムズに語っている。

フェイスブックに動画を投稿し、その後、別の動画をワシントン・ポストに送ったインド出身の乗務員ビナイ・クマール・サルカール(Binay Kumar Sarkar)さんは、インド政府と日本政府に対し、ウイルスに感染していない人を船から下ろすよう懇願した。

厚生労働省は13日、乗客乗員のうち高齢で持病がある人や窓のない部屋にいる人などにウイルス検査を実施し、陰性が確認された希望者を優先的に下船させると発表した。ただ、隔離期間が終わるまでは政府が提供する宿泊施設にとどまってもらうという。

[原文:11 crew on the quarantined coronavirus cruise ship have contracted the disease — and the rest are afraid they'll be next

(翻訳、編集:山口佳美)

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