揺れる楽天、「送料無料化」問題と遅れるモバイル事業 ── 2019年決算で三木谷社長が語った危機感

楽天ロゴ

送料無料化問題などで揺れる楽天は2019年通期決算を発表した。

撮影:小林優多郎

楽天は2月13日、2019年通期および第4四半期決算を発表した。2019年通期で売上高は前年同期比14.7%増となる1兆2639億3200万円、営業利益は57.3%減となる727億4500万円。純損益は318億8800万円の赤字決算となった(いずれも国際会計基準)。

楽天決算

楽天の2019年連結業績のサマリー。

出典:楽天

営業利益の大幅減の原因は、同社が注力する携帯電話事業および物流事業への投資によるもの。同社の会長兼社長の三木谷浩史氏は「これをやらないと強敵に、世界の企業に勝てない」と大型投資をする意味を強調した。

楽天モバイルは3月3日に料金プラン発表へ

楽天モバイル ロードマップ

楽天モバイルのロードマップ。3月3日に料金が発表されることが明らかになった。

撮影:小林優多郎

三木谷氏が必須であると語る携帯電話事業・楽天モバイルは4月以降に、自社設備による通信サービスを本格スタートする見通しだが、いまだ正確な開始時期は発表されておらず、無料サポータープログラムの試験運用を続けている。

会見で三木谷氏は改めて同事業のロードマップを示し、「新料金プランを3月3日に明らかにする」と発表。詳細は今後の「お楽しみ」としつつも、「日本の携帯料金は高く、データ使用量も先進国の中では少ない。なので、とにかくわかりやすい料金設定にしたい」と意気込みを語った。

また、同日に中止が発表された通信業界の大規模展示会「MWC Barcelona 2020」について触れ「MWCですごい発表をする予定だった」とコメントした。

送料無料から送料込み、退店希望者へは出店料の払い戻しも

楽天 無料化影響を受ける規模

影響を受ける注文の規模を説明する三木谷氏。

撮影:小林優多郎

会見で報道陣から質問が集中したのは、楽天市場の送料無料化問題だ。

楽天は以前から、一部のケースを除き3980円以上の購入額の場合、送料の負担を加盟店側に求めてきた。一方で、複数の加盟店からは優越的地位の乱用ではないかという指摘があり、2月10日には公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで楽天に立ち入り検査を行っている。

三木谷氏は「消費者は送料込みで考えている」「畑、田んぼを大きくしないと将来はない」とし、送料負担の開始時期を3月18日から変更しない旨を明言した。

送料無料からの変更

楽天は、改めて加盟店に対して「送料無料」の内容について理解を求めた。

撮影:小林優多郎

一方で、「送料無料と言う言葉が独り歩きをしてしまったのは反省している」と発言。消費者のニーズ、各店舗の価格設定に関して楽天は非介入であることを示し、「送料無料ではなく、送料込み」と表現を変更する考えを示した。

また、「(送料込みの)方向性が辛いという店舗さんには、できるだけのことをしたい」と話し、“楽天市場から別のECサイトに移転する場合の案内支援”および“退店する店舗への出店料の払い戻し”といった施策を発表した。

楽天の正念場。募るアマゾンへの危機感

三木谷氏

楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏。

撮影:小林優多郎

物流事業への投資、携帯電話事業の遅延と基地局整備、そしてECの送料負担問題とさまざまな経営的課題を抱える楽天。

2019年12月の通信障害や10日の公取委の立ち入り検査など不穏な報道も続き、同社には政府だけではなく消費者からも厳しい目が向けられている。

こういったことが企業イメージのダウンにつながるのではないか、という記者からの質問に対し、三木谷氏は「公取委の方が消費者のニーズを理解しているか疑問を抱いている」とし、「(送料込み化は)楽天が儲かるという仕組みではない」「楽天市場は5万店舗の集合体、これをやらないと全部の船が沈む」と自身の考えを改めて強調した。

(文、撮影・小林優多郎)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み