電子マネーとQRコードどっちが強い?セブンイレブンで使われるキャッシュレス決済

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Q. セブンイレブンで最も利用されているキャッシュレス決済手段は?

A. 電子マネーで、全キャッシュレス決済の52.2%

今日の記事では、キャッシュレス決済を取り上げたいと思います。

始めに、キャッシュレスポイント還元事業の数字が公開されていたので、こちらをおさらいしておきましょう。

キャッシュレスポイント還元事業とは

キャッシュレスポイント還元事業の説明

キャッシュレスポイント還元事業というのは、中小規模の事業所などで、キャッシュレス決済で支払うと、ユーザーに一部が還元されるというものになっています。

従って、チェーン店などの大規模事業者での決済というのはこの数字からは除外されているわけですが、それであったとしても、キャッシュレス決済の普及状況を見るにはとても有効な数字だと思いますので、詳しく見ていきましょう。

還元加盟店

こちらの数字を見てみると、加盟店の登録数は中小、小規模事業者が90%と非常に多くなっており、決済金額でも84%と最大のシェアを占めています。

キャッシュレス決済の導入に最も時間がかかりそうな小規模店舗を狙い撃ちしたこのキャンペーンは、店舗側にキャッシュレス決済をのインフラを投入する、という意味では大きな成功を収めていると言えるのではないでしょうか。

キャッシュレスポイント還元事業の還元金額の内訳

ポイント還元事業/金額構成比クレジット61%、電子マネー32%、QR7%

ポイント還元事業/金額構成比

・クレジットカード:61%

・電子マネー:32%

・QRコード:7%

初めに、このキャッシュレスポイント還元事業を通じて利用された金額構成を見ると、クレジットカードが61%で圧倒的に多く、電子マネーがその半分、QRコードは全体の7%に過ぎませんでした。

規模感で行くとまだまだクレジットカードが大きく、QRコードは全体の1割にも満たないという状況です。

1回あたりの決済単価

・クレジットカード:約4800円

・電子マネー:約1200円

・QRコード:約1400円

1回あたりの決済単価を見ると、ここに書いてある数字の通りですが、クレジットカードは4800円と電子マネーの約4倍、QR コードと電子マネーがほぼ同じという決済単価になっています。

私としては、この決済単価は直感に合うので、皆さんも同じ感覚かと思います。

セブンイレブンでのキャッシュレス比率は?内訳は?

セブン&アイ・ホールディングスの決済決算資料の中に、セブンイレブンのキャッシュレス比率が出ていたので、こちらを詳しく見てみましょう。

コンビニ店内

株式会社セブン&アイ・ホールディングス 2020年2月期第3四半期 決算説明会

キャッシュレス決済の効果

全体としては左のグラフにある通り、2019年の10月以降、キャッシュレス比率がそれまでの約35%から40%超まで大きく跳ね上がっています

PaypayやLINE Payなどの導入は7月に行われていますので、このキャッシュレス比率の上昇はおそらくキャッシュレスポイント還元事業のおかげだと言えるのではないでしょうか。

続いて右側のグラフを見てみましょう。

・現金:57.7%

・電子マネー (nanaco含):30.1%

・クレジットカード:6.2%

・QRコード:6%

決済金額の内訳を見ると現金が未だに57.7%と最も大きいですが、電子マネーが30.1%、クレジットカードとQRコードがそれぞれ約6%となっています。

6月と11月を比べると現金比率が落ちて、そのぶんキャッシュレス比率が上がっているわけですが、最も上昇が大きかったのがQRコード決済です。

キャッシュレス部分全体を100として、内訳を見てみるとこのようになります。

・電子マネー(nanaco含):52.2%

・クレジットカード:24.3%

・QRコード:23.5%

キャッシュレス決済法電子マネーが半分以上、クレジットカードとQRコードが1/4ずつという内訳になっています。

セブンイレブンが展開しているnanacoと呼ばれるキャッシュレス決済が異常に強いというのもありますが、コンビニにおいてはまだまだ電子マネーが強いと言えるのではないでしょうか。

まとめ

今日の記事の内容を簡単におさらいしておきます。

コンビニ以外も含めた中小店舗に限ると、キャッシュレス決済の割合は

クレジットカード(61%) >> 電子マネー(32%)>> QRコード(7%)

セブンイレブンでのキャッシュレス決済の割合は

電子マネー(52.2%) >> クレジットカード(24.3%) ~= QRコード(23.5%)

覚えておくべきことがいくつかあるかと思いますが、1つ目はコンビニにおいては未だに電子マネーの一人勝ち状態で 、QRコードは出足は好調かもしれませんが、まだクレジットカード並みのシェアしか取れていません。

2つ目に、キャッシュレス還元事業全体という観点で見ると、クレジットカードの一人勝ち状態で、QRコードは電子マネーの1/4にも満たないという状況になっています。

キャッシュレス還元事業というのは、キャッシュレス決済を促進するという意味では非常に面白いと思いますが、まだまだコンビニでの決済が半数以上が現金であり、現金決済を撲滅するというレベルにまではまだ至っていないのではないかと思います。

QRコード決済に関しては、短期間で急成長しているのも事実ですが、やはりこの数字を見ると、電子マネーとのカニバリゼーションが大きく発生しているなあというのが個人的な直感です。

今後もキャッシュレス決済、そしてその中でもQRコード決済が、どの程度浸食していくのかを注目していきたいと思います。


シバタナオキ:SearchMan共同創業者。2009年、東京大学工学系研究科博士課程修了。楽天執行役員、東京大学工学系研究科助教、2009年からスタンフォード大学客員研究員。2011年にシリコンバレーでSearchManを創業。noteで「決算が読めるようになるノート」を連載中

決算が読めるようになるノートより転載(2020年2月10日公開

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