Xiaomiの雷軍CEOは湖北省出身で武漢大学卒業。SNSでも故郷を気に掛ける投稿を続けている。
発表会のライブ配信
中国スマホメーカー大手のシャオミ(Xiaomi、小米科技)は13日、新商品「Mi10」「Mi 10 Pro」を発表した。同社は2019年12月、武漢市に第2本社を開設したばかりで、湖北省で新型コロナウイルスによる肺炎が拡大した1月下旬には武漢に医療物資を送っている。今回の発表会は延期や中止を検討したが、産業や人々を激励する意味も込め、オンライン配信する形で決行したという。
発表会の冒頭、マスク姿で登場した創業者の雷軍CEOは、湖北省生まれで武漢大学を卒業した自身が、故郷に特別な思いを持っているという話から始めた。雷軍CEOは「1000万人の人口がいる武漢なのに街から人影が消え、皆が家や病院で苦しい生活を送っている」と思いをはせながら、「新型肺炎は私たちの生活に大きな影響を及ぼしているが、負けるわけにはいかない」と語りかけた。
6万円台のフラグシップスマホを発表
発表会ではフラッグシップモデルのMi 10とMi 10 Proが発表された。
シャオミのWeiboアカウントより
発表会ではフラッグシップスマートフォン「Mi 10」「Mi 10 Pro」を発表。ともに6.67インチのフルHD+(2340×1080ドット)解像度ディスプレイとクアルコム製チップセット「Snapdragon 865」を搭載。約1億800万画素での撮影や超広角カメラなど、正面と合わせて5眼仕様のカメラを採用している。
Mi 10はバッテリー容量が4780mAhで、30Wの急速充電に対応しているのに対し、Mi 10 Proはバッテリー容量が4500mAhで、50Wの急速充電に対応する。
価格はMi 10が3999元(8GB/128GB、約6万3000円)から、Mi 10 Proは4999元(8GB/256GB 、7万9000円)から。
シャオミの卢偉氷副総裁は発表会後、中国メディアのインタビューに、「発表会を延期するか、どのような形式でやるか、そもそも開催していいのか、討論を重ねてきた」と打ち明けた。
新型肺炎の感染拡大を受け、中国だけでなく、世界各地で人の集まる催しの自粛が広がる。スペイン・バルセロナで2月下旬に開催予定だった世界最大級の通信関連見本市「MWC Barcelona 2020」も2月13日、中止が決まったばかりだ。
店舗は休業、ネットショップは物流混乱、社員はリモートワーク
雷軍氏は「新型肺炎が落ち着いたら桜を見に行こう」と話し、春の終息に期待を寄せた。
発表会のライブ配信
シャオミが新製品発表会を予定通り開催した理由について、卢偉氷副総裁は「ファンや取引先とも意見交換する中で、心の中までウイルスに支配されてはいけない。生活に向き合わなければとみんなが思っていると感じた」と話した。中国のEC大手アリババ、JD.com(京東商城)とも、「萎縮せずに、産業界に向けて良いシグナルを出していこう」との意見で一致したという。
13日の発表会は3000人規模の会場を準備していたが、北京本社からオンラインで配信することにした。
シャオミは春節期間、店舗の営業を取りやめた。ネットショップは運営しているものの、物流の混乱の影響を受けている。今も従業員の大部分がリモートワークを続ける。
雷軍CEOは発表会で2020年1〜3月のスマホ販売台数は急減するが、4月以降は回復に転じるとの見方を示した。今年は5Gの普及が期待される1年でもあり、その追い風を利用し逆風を乗り越えたいとの考えをにじませた。
卢偉氷副総裁も、「オンラインでもまだまだやれることがある。2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行したときも、終息後は消費が大きく伸びたそうだ」と述べ、先行きを悲観していないと強調した。
(文・浦上早苗)