イノベーションカンファレンス「ICC FUKUOKA 2020」で行われたプレゼン大会「スタートアップ ・カタパルト」の様子。
撮影:西山里緒
福岡で2020年2月17〜20日まで開催中の、イノベーションカンファレンス「ICC FUKUOKA 2020」。2月18日に開催されたスタートアップの登竜門コンテスト「スタートアップ・カタパルト」では、注目のスタートアップ15社がピッチ(短いプレゼン)を披露した。
審査員からの投票で優勝企業に選ばれたのは、検査・検品を自動化するソフトウェア「アダコテック」だった。
優勝
- 検査・検品を自動化するAIソフトウェア/アダコテック(河邑亮太氏)
2位
- 車パーツのECサイト「モタガレBusiness」/MiddleField(中山翔太氏)
3位
- 越境EC支援事業「WorldShoppingBIZ」/ジグザグ(仲里一義氏)
4位
- 日本茶の海外輸出事業/World Matcha(塚田英次郎氏)
5位
- 全国定額住み放題サービス/アドレス(佐別当隆志氏)
6位
- 仮想通貨取引の違法取引監視サービス/Basset(竹井悠人氏)
“検査・検品の自動化”で人手不足を解決
産業技術総合研究所(産総研)出身者らが開発した技術、HLAC(高次局所自己相関)が検査・検品を簡単にする。
アダコテックの検査・検品の自動化ツールは、国内で140万人が従事していると言われる製造業の検査・検品プロセスを効率化する。この背景には、人手不足と高齢化の影響も相まった「検査業界の疲弊」がある。
同社が提供する技術では、検査対象の部品を画像解析し、不良品を識別。どこがどの程度不良なのかが一瞬でわかるという。
ピッチで評価されたポイントは、技術の強みと主要メンバーの過去の実績だ。従来の不良品を識別する画像解析ソフトウェアには、正常品・不良品ともに大量の学習データ(正しい答えを出力させるために機械に読み込ませるデータ)が必要とされていた。
同社が持つ産業技術総合研究所(産総研)の特許技術を使い、従来の「不良品として学習したものを検出」するやり方ではなく「正常を逸脱したものを検出」する。
必要なのは正常品のデータ100枚のみで、通常のディープラーニングでは数時間かかる学習時間を数秒で終えることができ、計算処理の負担が小さいため10万円程度のパソコンでも解析ができるという。
取締役の河邑亮太氏は、三井物産で7年間、南米の自動車ビジネスを担当した後、DMM.comを経てアダコテックに参画。主任エンジニアには14年間にわたり同技術を磨いてきた産総研ベンチャー出身者を抱え、特許技術を発明した教授も技術顧問となっているという。
その他のエントリーは以下。
- 外国人エンジニアの就労支援サービス/One Terrace(石中達也氏)
- チームの文書作成・活用ツール「flouu」/プライズ(内田孝輔氏)
- アパレル店員のスポット採用プラットフォーム/MESHWELL(メッシュウェル)(窪田光平氏)
- 会議改善クラウドサービス/SmartMeeting(佐々木真氏)
- サービス業の店舗運営をデジタル化するアプリ「はたLuck」/ナレッジ・マーチャントワークス(染谷剛史氏)
- トレーニングのオンライン指導ツール/Sportip(髙久侑也氏)
- AI活用したタクシー相乗りサービス/NearMe(髙原幸一郎氏)
- AI活用した採用・配置最適化ツール「TRANS.HR」/トランス(塚本鋭氏)
- 車のシェアリングサービス「バンシェア」/Carstay(宮下晃樹氏)
(文・写真、西山里緒)