ヘッドハンターに聞く「市場価値を高める働き方」とは?

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転職を検討したときに気になるのが「自分の今の市場価値は?」という点だ。求人ニーズが多様化する現代、企業にとってどのような人材が必要とされるのだろうか。パーソルキャリアのヘッドハンター上原真一さんに、市場価値の考え方とよりよい転職につながるキャリアの棚卸しについて話を聞いた。

会社にいるだけでは「市場価値」は上がらない

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上原真一さん。パーソルキャリア株式会社 エグゼクティブエージェント エグゼクティブコンサルタント。様々な業界の事業会社やPEファンド投資先企業のCXOや経営幹部のご支援を主に担当。

──自分の市場価値とは何か?を気にしている人は多いですよね。有名企業や勢いのいいスタートアップに転職すれば、自分の市場価値が上がると思いがちですが……。

上原真一さん(以下、上原):確かにそういった側面はあるでしょう。一方で、在籍するだけで「市場価値」が上がるような企業は存在しないと思います。その企業において、どんなミッションを担ってきたのか、どのような成果をあげてきたのかが重要です。市場価値という表現は人によって捉え方が異なるのではないでしょうか。市場価値というのは需要と供給の関係で決まっていくものだと思います。

つまり、市場価値は常に移り変わるものだといえます。いくら能力が高くても、それだけで転職が決まるわけではありませんし、所属してきた企業が有名だったという理由だけで転職が決まるわけでもありません。自分が何を実現したいのか、何ができるのかということと、その企業や組織が何を求めているのかということが合致することが大切です。

企業からすれば、事業フェーズや採用目的によって、そのときに求める人材が変化します。例えば、「改革」を目的にしたミッションならば、今までの考え方ややり方を変化し新しい土台を一から作ることができる方などが求められます。また「伸長」ならば、今あるものを大事にしてさらに広げられるタイプ、周囲に溶け込んでフォロワーシップがあり若手のケアも手厚くできる方を求めるケースもあります。

1年前は前者が「最適な人材」だったが、今は後者が最適になっていることはよくある話です。企業のニーズが変われば、求める人材も変わります。

自分の長所と企業のニーズが合致しないのならば、良い転職になるとは言い難い。自分の強み・弱みを知り、それを必要としている企業との巡り合わせが良い転職につながると思っています。

やりたいことを突き詰めた結果、市場価値は後からついてくる

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──普段はどのような方から相談を受けているのでしょうか?

上原:私は法人企業から経営幹部や部長などの採用をご依頼いただくケースが多いので、お会いする個人のお客様も40代〜60代の方が中心です。ご経験が豊富でご自身の強み・弱みをよく知っていて、どのような場所やポジションで自分の能力が発揮しやすいかをご理解している方も多くいらっしゃいます。

この先のご自身のキャリアを考えた際に、経営層へのキャリアなど、次のステップを求めている人も多いのです。そのうえでマーケットの状況を把握して次のキャリアのご提案をします。

──そういった方々が転職を決断される理由は何でしょうか?

上原:皆さん好奇心旺盛で新しいことへ貪欲にチャレンジにしたい、将来的に実現したいことを追及したい思いがあります。例えば、大手事業会社にて、執行役員を務めたのち、数社経験してから、今は経営者になったという方がいます。その方は、会社の中でも期待されていて、海外赴任経験もお持ちでした。経営環境の変化の中で、外に出るという選択をしましたが、その方には経営を通じて世の中に貢献したいという明確な目的がありました。

いろいろな方のケースを見てきて、よく考えるのは、報酬は大事ではありますが、報酬を第一に考えすぎない方がいい場合もあるということです。もちろん本当にやりたい仕事で報酬も上がることがベストだと思いますが、そうならないケースもあります。その際は、ご自身が実現したいことや、やりたい仕事、そして何よりもご自身の力を最大限発揮し続けることのできる環境を優先したほうが、中長期期に見て報酬が高くなるケースがあります。

極端な事例ですが、ご支援した方の中で年収が2000万円以上も下がった人がいました。その方は、さまざまなオファーがあった中で、ご自身の力が一番発揮できそうな環境を選択されました。ご本人はこの転職に満足していらっしゃいますし、今もその職場で活躍されています。

──その方が転職を決断した「決め手」とはなんでしょうか?

上原:ワクワク感や事業の将来性、経営者とのシンパシーといった目に見えないものも大事にしてご判断されました。おっしゃっていたのは「今のうちに新しいチャレンジをしたかった」ということです。ある一定の報酬を超えてくると、同じ水準を維持するのは難しい場合もあります。役職が上になればなるほど、会社の収益によって、報酬は変動します。お客様を見ていると、充実感のあるやりたい仕事で報酬をもらうことがいいということに気づかされます。

市場価値とは何かという話を結びつけると、自身が希望するキャリアを歩んできた方々が、市場価値を高めることを目的に転職してきたかというと、そうではないと思います。市場価値はあくまでも他者評価であるためです。やりたいことや実現したいことを突き詰めた結果、市場価値は後からついてくると思います。

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見られるのは「組織が違っても活躍できるかどうか」

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──転職先の会社にうまくフィットできなかったという話も聞かれます。ネクストステップがうまくいく人といかない人の違いは?

上原:過去の会社のやり方に固執しすぎて、新しい組織でうまくいかないという事例はあると思います。まずは、転職した会社の風土、考え方を受け入れて融合できるかどうか。そして、大事なのはご自身の強み弱み、気質を知ることです。何年かに一度職務経歴書を書くことを通じて、自身のキャリアの棚卸しをする企業もあります。いきなり「自分の強みは?やりたいこと、できることは何か」と聞かれてもすぐに答えられる人は少ないでしょう。

企業が見ているのは、組織が変わっても成果を発揮できるかということ。目の前の相手が組織にフィットできる人材かをよく見ています。

そこで、自分が取り組んできたミッションや仕事について、「どんな環境で、自分にどんな権限と役割があり、どんな成果をあげたのか」を具体的に伝えられることも重要です。どうして成果につながったのかを分析し、異なる環境においても再現性のある経験であることがポイントかと思いますまた失敗事例を的確に伝えることができることも重要で、失敗体験から何を得たのか、それを次にどうつなげたのかということです

どんな環境でも積み上げたキャリアが自分の強みになる

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──棚卸しをしていても、自分の強みがわからないという人は案外多いと思います。

上原:いろいろな職種を経験すると、専門性が身についていないと感じられる方もいらっしゃいますが、複数のキャリアの掛け算によって、より強みが発揮され、市場価値が高まるケースもあります。専門性があることも大事ですが、両方を知っている、いろいろな分野を知っている強みも確実にあります。何をどう掛け合わせていくかで、キャリアが決まることもあります。

例えば、赤字の関連子会社に異動した方がいます。ご本人の希望通りの異動ではないかもしれませんが、その方が出向先で赤字事業を立て直したら「事業再生経験あり」という評価になります。しかも、本社の支援が得られない中で立て直したとしたら、少ないリソースとアセットをうまく活用し、成果を出した人という評価になりますよね。

こういった人材は赤字体質の企業を立て直すための役員候補、経営者候補になり得ます。希望通りの異動ではなかったとしても、評価が反転することはいつだってある。自分の状況を正しく理解して、キャリアを積み上げることも重要だと思います。ご自身がやってきたことを無駄にしない力が求められているのです。

「自分のキャリアを自分で決めた」と言えることが重要

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──「市場価値=スキルを身につけよう」だけでなく企業のニーズを見極めるのも大事でしょうか?

上原:繰り返しになりますが、市場価値は変わりゆくものです。どんなに能力が高くても、企業が求めるものと自分の長所が合致しなければ、市場価値が高い状態にならないのです。

転職はご縁と巡り合わせです。階層が上がるほど、ポストが空くタイミングは不定期です。要員計画に基づく採用であれば計画的ですが、経営層の採用は突発的に発生するケースもあります。私たちはある程度そういった情報を持っていますから、ヘッドハンターと定期的に情報交換することで機会を逃さないこともあります。

「入ったけど活躍できませんでした」「入ったけど自身の想定と異なりました」という理由で辞めなければならない状況は個人と企業の双方にとって良くありません。私たちは、できるだけ長く継続して活躍するためにはどうしたらいいかに主眼を置いて、キャリアを一緒に考えるお手伝いをします。

もちろん、最後に決断されるのはお客様です。「自分のキャリアを自分で決めた」と言えることが、ご自身の人生やキャリアを築くうえでは重要なことですし、想定外の事態を乗り越える力に変わります。私たちは非公式なもの含めて情報はお伝えしますし、判断のお手伝いもできますが、最終的な決断はご本人にしかできません。

より良いキャリアを築くため、可能性を広げるためにも、ぜひヘッドハンターにご相談ください。


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