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進化する「リファラル採用」成功の3つのコツ。夫婦や親子で入社も

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離職率の低さなどからリファラル採用が注目されている(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

社員が知人を紹介するリファラル採用。人手不足が深刻化し人材の確保が課題となるなか、企業のカルチャーに合った人材を採用でき、採用者の離職率が低い点から注目されている。

家計簿アプリなどを手がけるマネーフォワードでは、社員の友人にとどまらず、夫婦や親子で入社するなど家族採用も生まれ話題に。リファラル採用を活性化させるためのクラウドサービスも利用者を伸ばしている。

とはいえ、リファラルも「単なる縁故入社」に終わってしまっては意味がない。リファラル採用の成功のコツとは?

妻が入社「まったく抵抗なかった」

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福岡慎也さん(左)は、妻の吏菜さんに入社を勧め、現在も同じフロアで働いている。

撮影:横山耕太郎

「会社に妻を誘ったという話をすると、お客さんからは『よくやるね』と驚かれますが、入社してみたら全く普通でした。困ったことは、どっちも福岡さんと同じ名前で呼ばれることくらいです」

マネーフォワード事業推進本部の福岡慎也さん(28)は、同社の大阪支社時代の2017年に妻の吏菜(りな)さん(29)と結婚。吏菜さんは結婚当時、大阪で看護師をしていたが、福岡さんの勧めで2019年4月に同社に入社した。

「彼が転勤する可能性もあったので、看護師としてキャリアを積んでいくよりも、新しい仕事に就くことを考えていました。ただ、未経験だったことや待遇の面で一歩踏み出せないでいたときこの募集を知りました。なんでも夫に相談できて働きやすい環境です」(吏菜さん)

福岡夫婦は2020年1月に東京本社に異動。福岡さんはマーケティング、吏菜さんは営業サポートを担当し、同じフロアで働いている。

採用責任者もリファラル3回経験

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菱沼史宙氏は「リファラル採用では誘った側に、サポートしようという力学が働く」と話す。

撮影:横山耕太郎

従業員採用の2~3割をリファラル採用しているマネーフォワードでは、他にも北海道支社で夫が妻を誘った例や、グループ会社で働く娘が東京本社に母親を誘った例もある。

同社の菱沼史宙・人事本部副本部長は、「リファラル採用は活性化させようとしているが、家族に注力しているわけではない」と話す。

同社ではリファラル採用のツールとして、QRコード付きのカード「GOENカード」を導入。社員が一緒に働きたい人に気軽に渡してもらうように作られたカードで、もらった方は、興味を持ったタイミングで同社にアプローチできる仕組み。このカードを企画した菱沼氏自身、これまでの3回の転職はいずれもリファラル採用という。

「この人と働きたいと思っても、『うちに来ない?』と言葉をかけるハードルは高い。『よかったらいつか』と渡すならば気が楽になると思いカードを作った。

リファラル採用を始めようと思っても、誇りに思える会社を作らないと知り合いは呼べないし、まして家族なんて来ません。社員が笑顔で働けるシーンを増やしていくことが大事だと思っています」(菱沼さん)

求職者が求めるのは「社員の生々しい声」

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鈴木貴史氏は「就職や転職では、求人票の情報だけでなく、よりリアルな声が重視されるようになってきている」と指摘する。

撮影:横山耕太郎

リファラル採用を活性化するサービス「MyRefer(マイリファー)」は、2015年にサービスを開始し、富士通など約550社が導入している。

リファラル採用は2016年頃から、日立などの大手企業が導入し始めたことで注目されるようになり、特にここ2~3年で一気に問い合わせが増えているという。

同サービスでは、人事担当者が求人情報やイベントを社員と共有し、勧めたい知人に対して簡単に求人内容を知らせることができる。

同社社長の鈴木貴史氏はリファラル採用が求められる背景をこう語る。

「転職サイトや転職エージェントでは、人材が採用できなくなってきています。求職者側は、社員の生々しい声を聞きたいと思っているため、リファラル採用ではマッチングの質が高く、離職率が低い傾向にあります」

成功させるための3つのポイント

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マイリファーの画面。人事部が社内向けに、求める人材のスキルなどを紹介する。

撮影:横山耕太郎

リファラル採用で気を付ける点は何か?鈴木氏に3つのポイントを説明してもらった。

1. 目標をはっきりさせる

「どんなスキルを持つ人を何人採用したいのか、そのうち現在何人採用できているのか目標を共有し、改善点を検討しPDCAを回します。

また経営陣の協力も必要です。人事部の単なるお願いと捉えられてしまうと、現場では紹介する意義を感じられなくなってしまいます」

2. 当事者意識を持ってもらう

「うちの社員は知り合いが少ないから、というのは間違いです。どの会社にも、進んで友人に声をかけてくれる『アクティブな社員』、進んで声掛けはしないが、転職を考えている友人が周りにいたら声をかけてもいいという『パッシブな社員』、そもそも自社を進めたくない『ネガティブな社員』が、おおよそ2:6:2の割合でいます。

パッシブな6割にも協力してもらえるように、当事者として巻き込むことが必要です」

3. お金より「力になりたい」が有効

「アメリカの調査ですが、リファラル採用に協力する動機として『ボーナスを得たい』は約1割だけです。『転職する友人の力になりたい』が5割、『自社で一緒に働く人の意思決定に自分も関わりたい』が2割でした。短期的な動機付けではなく、社内での表彰制度や、内定後フォローの会食費を負担するなど、自発的に紹介を促す仕組みが有効です」

人材不足の業界は多く、リファラル採用が持つポテンシャルは大きい。鈴木氏は次のように強調する。

「日本はまだまだ転職のハードルが高く、プライベートで知人を会社に誘うことは進んでいません。

仮に一度辞めた会社であっても、その企業に知人を紹介するようなリファラル採用もあっていい。労働市場が縮む日本で、これからリファラル採用がさらに普及していくのではないでしょうか」

(文・横山耕太郎)

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