元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)のジョン・ボルトン氏(2020年2月17日、デューク大学)。
Reuters
- アメリカの元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)ジョン・ボルトン氏は2月17日、デューク大学で講演し、北朝鮮の非核化を求め続けるトランプ大統領を批判した。
- タカ派の外交政策で知られるボルトン氏は、「北朝鮮政府に核兵器をあきらめる意図があることを示す証拠は1つもなかった」と語った。
- ボルトン氏はまた、北朝鮮がアメリカの都市に核兵器を落とす能力をつけつつあると警告し、トランプ大統領の金正恩朝鮮労働党委員長との1対1の会談は効果がないと厳しく非難した。
- ボルトン氏が公の場に姿を見せたのは、トランプ大統領の弾劾裁判が始まって以来、これが初めてだった。弾劾裁判では、共和党の上院議員がボルトン氏の証言を聞くことを拒否していた。
元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)のジョン・ボルトン氏は、共和党の上院議員が同氏に証言させることを拒否した弾劾裁判以来初となる公の場で、北朝鮮を非核化させようとして「失敗した」トランプ大統領の取り組みを批判した。
2月17日のデューク大学の学生向けの講演でボルトン氏は、北朝鮮に核兵器の開発を止めさせようとするトランプ大統領の試みは「失敗しつつあった」と述べ、「北朝鮮政府に核兵器をあきらめる意図があることを示す証拠は1つもなかった」と語った。ワシントン・ポストが報じた。
「核開発を断念させられるだろうとのアイデアには、初めから欠陥があった」とボルトン氏は指摘した。
北朝鮮の金正恩委員長とアメリカのトランプ大統領(2019年2月28日、ベトナム)。
Leah Millis/Reuters
タカ派の外交政策で知られるボルトン氏は、金委員長と1対1で交渉しようとしたトランプ大統領の姿勢も批判した。金委員長とトランプ大統領はここ2年あまり会談を重ねてきたが、非核化は進んでいない。
米朝首脳会談について、ボルトン氏は「あれも失敗だ。失敗するのは目に見えていた」と語ったと、The Atlanticは報じている。同氏はこれまでの首脳会談を「2年を無駄にした」と結論付けた。
ワシントン・ポストによると、ボルトン氏は金委員長が「アメリカ人をバカにしている」とし、北朝鮮は非核化に近付く代わりにアメリカの都市を標的にできる核爆弾の開発に近付いていると指摘した。
学生新聞のDuke Chronicleによると、ボルトン氏は「北朝鮮は過去40年で4度、核兵器を処分すると公に約束したが、一度もそのために動いたようには見えない」と述べた。
ボルトン氏にとって2月17日の講演は、トランプ大統領の弾劾手続きが始まって以来初めての公の場となった。
米上院は2月5日、トランプ大統領の弾劾裁判で無罪評決を出した。ニューヨーク・タイムズがボルトン氏が発表しようとしている著書にはトランプ大統領のウクライナ疑惑に関してダメージを与えるような情報が含まれていると報じ、ボルトン氏も召喚されれば証言する意向を示していたが、共和党の上院議員はボルトン氏の証言を聞くことを拒否した。
(翻訳、編集:山口佳美)