5Gはスポーツをどう変えるのか ── 観客、選手に起きる変化とは

上野直彦さん

スポーツビジネスやテクノロジーに詳しいスポーツライターの上野直彦さん。

東京オリンピック・パラリンピックまで半年を切った。オリパラを前に日本でも始まるのが、第5世代移動通信システム(5G)。高速・大容量、低遅延という特徴を持ち、スポーツの世界にも大きな変化をもたらすとされる。5Gのテクノロジーがどのようにスポーツを変えていくのか。スポーツビジネスやスポーツテクノロジーに詳しい上野直彦さんに話を伺った。

試合中の選手の分析もできる

Photo: B.LEAGUE

テクノロジーの進歩はさまざまな分野で革新をもたらす。スポーツでも同様だ。2020年3月からいよいよ始まる5Gは、大容量のデータでも高速に通信することができる。5Gは、スポーツへの応用も期待されている。

例えば、試合中の対戦相手の解析がより早く行え、対策を打つことが可能になる。

「サッカーであれば、試合中の選手の動きなどさまざまなデータを、リアルタイムにとることができます。さらに、そのデータを分析会社に即座に送り、分析や解析ができて、そのデータをすぐにチームや選手に戻せる。それまでハーフタイムの最中に、相手の弱みなど対策を指示していたのが、データの分析結果が即座に返ってくる。データを活用した分析から指示までのスピードが短縮されるでしょう」

もちろん、スポーツ観戦を楽しむ多くの人々にも、大きな変化をもたらしてくれる。現在、4K、8Kというように、映像がますます高精細になっている。それに伴い、動画のサイズも比例して巨大になっている。スポーツ中継も例外ではない。しかし、5Gであれば、大容量の試合映像データを高速に送ることができ、人々は高精細な映像をそのまま楽しむことができる。

スポーツ観戦のイメージ画像

Shutterstock

映像の遅延も解消されていく。例えば、野球場で観戦していて、ホームランが出たとする。現時点でのインターネットによるスポーツ映像の配信は、どうしても現場とは十秒、二十秒の遅れが生じる。5Gが始まると、遅延がかぎりなく短くなる。スポーツの試合ではライブ感を重要視する人が多いだけに、不満が減るかもしれない。

上野さんは海外の先行事例として、2018年のゴルフ全米オープンでスポーツチャンネル向けに行われたケースを挙げた。大容量データを高速で流すことができる5Gネットワークを介すことで、4Kの高精細な試合映像がライブストリーミングでお茶の間に届けることができた。このような5G活用のスポーツ中継が日本でも本格化していくのは間違いない。

スポーツ×ARの可能性

スマートグラスをかけて試合を観戦する人

2019年12月に行われた5Gのプレサービス体験。AR用スマートグラスごしに試合を観戦しつつ、違うアングルの映像も選択して楽しめる。

提供:ソフトバンク

上野さんは、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった技術が5Gとかけあわせられることで、スポーツ観戦の楽しみ方をより多彩にしていくのではないかと指摘する。

「映画スターウォーズの中で、3Dモンスターチェスみたいなゲームのシーンがあります。チェスの駒の代わりにモンスターが碁盤の上で駒として動いていく。それがサッカー選手になる。これまでスポーツバーのモニターで試合を見ていたのが、ARによって、目の前で選手たちが試合をしているかのように体験できる。(FCバルセロナ所属でアルゼンチン代表の)メッシや(レアル・マドリー所属でクロアチアの)モドリッチがドリブルをしているのを、自分が同じピッチに立っているかのようにビールを飲みながら試合を楽しめる」

他に、スポーツとARを掛け合わせた映像の一例として、上野さんは2016年のリオオリンピックの閉会式を紹介した。

閉会式の途中、日本の演出で東京大会実施33競技のCGアニメーションと現実(スタジアム)を混ぜ合わせたAR映像が流れた。斬新な映像で大きく話題となった。

「5Gはさまざまな方向でスポーツに影響を与えますが、日本は『スポーツ×(かける)AR』、そしてVRなどの分野で躍進するかもしれません」

このように、5Gはスポーツ観戦の楽しみ方を大きく変える可能性を秘める。日本ではスポーツ配信サービスが多くあるが、視聴者はより多様な映像を味わえるようになるという。

「5Gによってスポーツ配信サービスが変わるのは、一つはマルチアングル化。既に変わりつつあります。通常のテレビ放送では、試合で映し出されるシーンは一つしかなかった。視聴者ひとりひとりが選べられるようになる。上から撮られた俯瞰した映像、味方や相手チームのゴール裏からの映像、自分が見たい映像を選べられる。あるいは、例えば、好きな選手ばかりを追かけた映像を見ることが可能です。その追いかけている映像に加えて、走ったコースも見られるなど、より映像が細分化されていくでしょう。また、いち視聴者も選手や試合のデータを瞬時にフィーバックを受けることが可能となる」

5Gで変わるのはバスケ、バレー、フットサル……

上野直彦さん

上野さんは、アリーナスポーツが5Gによってより魅力が増すと指摘する。

サッカー、野球、バスケットボール・・・多くのスポーツがあるが、その中でも5Gによって大きなチャンスを得る競技がアリーナスポーツと上野さんは見る。

「箱(アリーナ)のサイズが決まっていて、コンパクト。カメラも設置しやすく、どの角度からでも撮ることができ、魅力的な映像が作れる。(アリーナスポーツ競技はいずれも)コート上の選手の数が多くない。バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、フットサルなどは、非常に可能性がある。アリーナスポーツがより注目を浴びるでしょう」

5Gとは違うが、アリーナスポーツの利点はそれだけではない。

「天候リスクがなく、試合の時間もだいたい決まっている。ハーフタイムもあるので、合間にショーなどスポーツ以外のコンテンツも入れることが可能です(バスケ男子の)B.LEAGUEは絶好のコンテンツです」

ソフトバンク株式会社が提供する映像配信サービス「バスケットLIVE」は、バスケ男子B.LEAGUE、日本代表、大学、高校の試合とあらゆるカテゴリーのバスケットの試合を視聴できる。「バスケットLIVE」では、通常の試合映像だけでなく、コートサイドやバスケゴールそばからのVR映像も提供し、バスケの魅力を体感できるようにしている。

上野さんは、さいたまスーパーアリーナで日本代表戦のVR映像を体験する機会があった。

「ヘッドマウントディスプレイをつけて見ましたが、(千葉ジェッツ所属の日本代表)富樫勇樹選手のスピードがこんなに速いのかと驚かされました。客席から見ても十分速いのですが、それ以上でした。VRを通して見ると、富樫選手のプレーが間近で見え、ドリブルなど『こんなのどうやって止めることができるのか』ってビックリしました」

5Gはこういった魅惑の体験の機会を増やし、スポーツの持つ魅力を最大限に引き出してくれる。バスケットLIVEもまた5Gによって、魅力的なスポーツコンテンツをさらに提供してくれるはずだ。


「バスケットLIVE」について詳しくはこちら。

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