コンサルティングファームは大学・大学院を出たばかりの若い人材を狙っている。
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- 最新調査によると、トップ・コンサルティングファームの新卒基本給は9万2000ドル(約1000万円)。
- 金融やビジネス関連の学位がなくても、コンサル業界で働ける可能性はある。
- コンサル業界に就職した人が大学・大学院で専攻した上位8分野に、化学や心理学も名を連ねている。
- マネジメント・コンサルテッドのデータをもとに、大卒直後の給料が高いコンサルファームのランキングをつくってみた。
コンサル業界で10万ドル(約1100万円)以上の年俸を手にするために、ビジネススクール卒業はもはや必須条件ではない。
マッキンゼーやベインなど大手コンサルティングファームだと、MBA取得者は年俸20万ドル(約2200万円)以上も十分にあり得るが、学部卒でも高給取りになれる望みはある。
コンサル業界専門の情報・就職支援会社マネジメント・コンサルテッドの最新調査によると、コンサルティングファームの新卒基本給は9万2000ドル。入社時の契約金や業績連動ボーナスを加えれば10万ドルを超えるだろう。
長年の間、コンサルティングファームの採用では経験より若さが重視されてきた。要するに、卒業から間もない若者を、高額な報酬で口説くのだ。
多くのトップファームがそうした手法を採用戦略の柱にしているのは、新米を養成するほうが役職付きの経験者を雇うより安く済むからだ。
経営学や数学の学位も、トップファームに就職する必須条件ではない。それより、コンサルティングの仕事には論理的な思考や分析的な思考が求められるため、心理学や政治学を学んだ人も重宝される。
Business Insiderは、大学・大学院を最近卒業した人たちのために、コンサルティングファームの給与トップランキングをまとめた。マネジメント・コンサルテッドを通じてジョブオファーを受けた人のデータをもとにしているが、同社からは正確な給与額は開示されていない。
以下の報酬額(見込み)には、基本給、契約金、業績連動ボーナス、転居費用が含まれる。
【第10位】L.E.K.コンサルティング 10万ドル(約1100万円)
L.E.K.コンサルティングのマネージング・ディレクターでパートナーのダン・シェヒター。
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プライベート・エクイティ(PE)ファーム、スタートアップ、公共・民間セクターの法人をクライアントに持つグローバル経営コンサルティングファーム。
MBA取得者に対する待遇は手厚く、報酬総額は22万ドル(約2420万円)にもなる。ビジネス・スクール在籍中のインターンを経て入社すると、さらに5万ドル(550万円)のボーナスが加算される。
【第9位】コーナーストーン・リサーチ 10万8500ドル(約1190万円)
コーナーストーン・リサーチの従業員たち。
Cornerstone Research/Facebook
法廷に臨むクライアントに、訴訟事例を踏まえたアドバイスを提供したり、財務にかかわる問題に取り組むなどの支援を行っている。解決策を探るために、弁護士や議員とも密接に連携して動く。
マネジメント・コンサルテッドによると、報酬総額10万8500ドルのほかに、就職に伴う転居費用は会社が100%負担するという。
【第8位】EYパルテノン 11万3200ドル(約1250万円)
EYパルテノンのロンドンオフィス。
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「ビッグ4」(=四大会計事務所)のアーンスト・アンド・ヤング(EY)がグローバル展開の一環として、戦略コンサルティングを専門とするパルテノンを買収した。
EYアメリカのケリー・グリアー会長は、1月の世界経済フォーラムでBusiness Insiderの取材に応じ、従業員のダイバーシティを促進していく考えを明らかにし、採用に際しては学士号を問わないと語っている。
「EYファミリーのあらゆる部門、EYファミリーであるすべての個人を、いつも一番に考えています。私たちの大切にする価値にあなたが共感し、あなたのそれに私たちが共感する、そんな一体感を持ちたい。価値観が重なり合うことを喜びましょう。私たちと同じ信念を持つ人は、私たちと一体になり、そして成功を手にできるのです」
【第7位】PwCストラテジーアンド 11万5000ドル(約1270万円)
PwCのアメリカ採用担当リーダー、ロッド・アダムズ。
Courtesy of Rod Adams
ストラテジーアンドは、PwC(プライス・ウォーターハウス・クーパーズ)グループの戦略コンサルティングチーム。
上写真はPwCアメリカで採用部門を率いるロッド・アダムズ。1995年に入社してから、5000人以上の志願者と面接してきた。2017年、アダムズはBusiness Insiderの取材に対し、PwCに就職するにはどうしたらいいかを語っている。
PwCはGPA(成績平均値)のような技能をみる一方で、志願者の人となりが同社のコアバリューに合致するかどうかもよくみている。
「個人の経験の度合いによって表現の仕方は異なりますが、インターン候補者であろうが、パートナー候補者であろうが、コアバリューを共有できるのはとても重要なことです」
【第6位】カーニー 11万5000ドル(約1270万円)
カーニーの元プリンシパル、現在はパートナーのニレシュ・フンデカリ。
Courtesy of Neelesh Hundekari
現在のマッキンゼー・アンド・カンパニーから分離独立したのが1939年。マッキンゼーはニューヨーク、カーニーはシカゴを拠点に選んだ。オペレーション・コンサルティングに定評ある同社は、2020年1月にグローバルブランド名をA.T.カーニーから「カーニー」に刷新した。
【第5位】オリバー・ワイマン 11万5000ドル(約1270万円)
オリバー・ワイマンの親会社マーシュ・アンド・マクレナンの副社長、ピーター・ベシャール。
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保険大手マーシュ・アンド・マクレナンの戦略コンサルティング部門。マネジメント・コンサルテッドによると、この5年間で最も急速な成長を遂げているコンサルティングファーム。世界26カ国50都市あまりに5000人以上の専門コンサルタントを展開する。
【第4位】マッキンゼー・アンド・カンパニー 11万7000ドル(約1290万円)
ブラジルで行われたデベロッパー向けカンファレンスにて。
Courtesy of McKinsey & Company
マッキンゼーは志願者のダイバーシティ拡大に取り組み、アイビーリーグ以外からの採用を増やしている。
北米地域の採用ディレクター、ケリー・ケイシーによると、志願者に最も多い失敗のひとつは、ケース・インタビュー(ビジネスの具体的な場面を想定したディスカッション形式の面接)に力を入れすぎて、自分の人となりをアピールできないことだ。
「ソフトスキルと呼ばれるものを、もっと重視するといいでしょう。協調性やチームワーク、共感力、統率力。長い目で見れば、そういった資質が成功の鍵になります」
【第3位】ボストン・コンサルティング・グループ 12万1000ドル(約1330万円)
ボストン・コンサルティング・グループのオフィス。
Sarah Jacobs
2018年時点で、ボスコンの従業員は全世界で1万8500人。求人情報検索サイトのグラスドアでは、7年連続で「最高の職場」にランクインしている。
経営幹部専門の人材会社ECAの創業者で、ヘッドハンティングの経験が長いアッタ・タルキによると、ボスコンのようなトップファームに就職したい人は、採用のトレンドをしっかり把握して、役立ちそうな業界の最新ニュースを収集しておくといい。
例えば、ボスコンは2014年にBCGデジタルベンチャーズを設立し、大企業によるベンチャーキャピタル方式の新規事業立ち上げを支援している。面接でその話題を出せば、あなたが会社についてよく調べていることを面接官にアピールできる。
【第2位】ベイン・アンド・カンパニー 12万2500ドル(約1350万円)
ボストンにあるベイン・アンド・カンパニーのオフィス。
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ベイン・アンド・カンパニーは10年以上にわたり、グラスドアの「最高の職場」ランキングでトップの座を争い続けてきた。給料が高いだけでなく、フレキシブルな職場環境を提供している。
ニューヨークオフィスのパートナー、ダニー・ホンはBusiness Insiderの取材に対し、企業文化をひとつに結びつけているのはチームワークだと語っている。
「ベインの人間と話し始めたら、30秒としないうちにカルチャーと人の話題になるはずだ。本当に、みんな優しくて良い人ばかりなんだ」
【第1位】アクセンチュア・ストラテジー 13万600ドル(約1440万円)
アクセンチュアのオフィス。
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アクセンチュアの戦略コンサルティング部門。過去4年間、世界約30万人の従業員の再教育に力を入れてきた。一流のファームゆえに就職も難関で、ビジネススクールでMBAを取得しても簡単には職を得られない。
人材部門の責任者エリン・シュークは、スイス・ダボスで1月に行われた世界経済フォーラムの際にBusiness Insiderの取材に応じ、アクセンチュアが従業員向けの教育プログラムに毎年10億ドルを投じていると語っている。
「いつでも働きながら学び続ける『ワーク・ラーン』のマインドセットを定着させる必要があります。学校を卒業してから、学校で学んだことをキャリアを通じて実践する、そんな時代は終わったのです」
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(翻訳:矢羽野薫、編集:川村力)