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リコー初の新規事業創出プログラム。小水力発電から下着販売までアイディア競う

複合機大手から新たな価値創出を模索するリコーが、新規事業育成に力を入れている。

リコーは2月20日、同社の社員や社外ベンチャーがチームを組み、新規事業に取り組むプログラム「RICOH ACCELERATOR(リコーアクセラレーター)2019」の成果発表会を開催した。

同社では社内起業家やベンチャー企業の成長を支援することを目的に、2019年に初めて同プログラムを開始。同社の社員が副業として新規事業を立ち上げたり、社外のスタートアップに同社の社員が協力したりすることを支援し、新事業の創出を目指している。

山下社長「開かれたプログラムに」

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イベントで「閉じこもるのではなく、世界に開かれた、生まれ変わるリコーにしたい」と話す山下社長。

提供:リコー

コピー機など法人向け(BtoB)事務機器を主力とするリコーは、ペーパーレス化の進行などから経営が大きな曲がり角を迎えており、2018年3月期は過去最大の最終赤字1353億円を計上した。

2017年に山下良則氏が社長に就任し、欧米を中心に5000人以上のリストラを実施。日本でもリストラを行い、経営のスリム化を進めてきた。

2019年12月期の連結決算は、純利益が前年同期比18%減の414億円。 一方で、20年3月期通期の業績予想は据え置き、営業利益1000億円を見込んでいる。

イベントに参加した山下社長は同プログラムについて、「働く人がイノベーティブじゃないと、イノベーティブな風土は作れない。リコーの中だけでなく、開かれたプログラムとして今後も続けていきたい」と意気込みを語った。

2月20日のイベントでは、214件の応募から選ばれたリコー社内の5チームと、社外の8チームがこれまでの成果を発表。新型コロナウイルスの影響で、グループ社員などの一般参加は行われず、動画配信に変更された。

発表された新規事業の内容は、VRを活用したサービスから、インドでの下着事業までさまざまだ。

発表の中から、記者が注目した4事業について紹介する。

農村部の電気不足を解消したい

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「新興国の水や電気等の社会課題を解決していく事業」について発表する斎藤啓さん。

提供:リコー

「アジアの農村部では電気不足で道が暗く、夜に歩けないという状況がある」

リコー社員の斎藤啓さんは「新興国の社会課題を解決していく事業」として、フィリピンで実施している小水力発電について発表した。

新興国では電気の供給量が少なく、また料金が高いという課題を抱えている。一方で、アジアでは稲作用の水路が発達しているため、大規模な発電設備を必要としない小水力発電が適しているという。

同社では、一つ一つの水路に合わせた設備を、設計を簡略化することで短い納期で実現するサービスに着手。それぞれの水量にあった水車をカスタマイズし、3Dプリンターで作ることで開発費を抑えられるという。フィリピンで実証検証を行っており、将来的には世界展開を目指している。

「農村の夜を電気で照らすことができればマーケットのようににぎわうはず。電気の力で農村を活性化させたい」(斎藤さん)

インドで女性用下着を販売

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「インド女性向けのオリジナル下着ブランド事業」について発表した綿石早希さん。

提供:リコー

リコー社員の綿石早希さんは、「農村部の女性に仕事を」というミッションを掲げ、インドでの現地生産にこだわった、サイズやデザインをカスタマイズできるブラジャーの製造販売について発表した。

インド柄のブラ3色を、ECサイトなどで、約2200円で販売。インドで一般的なブラは約1200円だが、外資系ブランドの商品は約4700円。競合が少ない価格帯を狙っているという。

ファッションリーダーとして影響力を持っているボリウッド女優が、この下着をつけた姿をSNSに投稿したこともあり、Facebookは運用1カ月で3500を超えるフォローがあり、問い合わせも1日20件ほどあるなど、反響があったという。

「想定してなかった需要として、『柄がかわいいのでブラトップとしてサリーの下に着たい』という声や、カスタマイズについては、大きなサイズを求める声が多かった」(綿石さん)

今後は下着ブランドとしての地位を確立し、スポーツブラや水着も展開したいという。またカスタマイズをオンラインで行うことで、そのデータを使ってアパレルへの参入を目指すとしている。

「現地の女性が縫物のスキルを活かして生産していることから、ボリウッド女優にもうけている。インドの女性に、もっとわがままな買い物体験を届けていきたい」(綿石さん)

モバイルバッテリーをインフラに

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「国内外のキャッシュレスペイメントに応じたバッテリーシェアリングサービス」について発表する張琦さん。

提供:リコー

東京工業大学発のベンチャー企業「オーロラ」の張琦さんは、モバイルバッテリー事業について説明した。同社では、関東の大学やショッピングモールなど約100カ所にモバイルバッテリーステーションを設置。借りたバッテリーは他のステーションでも返却できる。

今回のリコーとの協業では、BtoBサービスとして、リコーの事業所に社員向けのモバイルバッテリーステーションを置き、使用状況を確認した。

当初は「社内に電源があるのに誰が使うの?」という声もあったが、約40日の稼働で600回の利用があり、ニーズの高さを感じたという。

「スマートフォンの充電は長くもつようになったのに、モバイルバッテリーの市場はそれでも拡大しています。紙の資料でなくノートパソコンを使ったプレゼンが増え、またテレワークやシェアオフィスの利用が増えるなど時代も変わっており、モバイルバッテリーの必要性は増しています。

オフィスや駅などいろいろなところにステーションを設置し、ネットワーク化することで充電インフラにしていきたいです」(張さん)

ビジネスマンの宴会に特化した予約サイト

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「社内宴会に適した場所・お店がすぐに見つかるグルメ予約サービス」について説明する秋山祐太朗さん。

提供:リコー

「宴会用に個室を予約したはずが、すだれで仕切られているだけの半個室だった。ビール銘柄にしばりがあるのに、銘柄の情報がない……。そんな経験はありませんか?」

会員制のグルメ予約サービス「Leretto(リリット)」を運営する秋山祐太朗さんは、2019年12年に同サービスを開始した。現在、ビールの銘柄からプロジェクターの有無まで、細かい情報を掲載した約60店舗を紹介している。

サービスの特徴の一つが、その店を利用した企業の名前を知ることができる点だ。

「三菱商事や電通など、有名な企業が使った店を選ぶこともできる。ぐるなびやホットペッパーなど競合が多い市場ではあるが、ビジネスマンにフォーカスすることで差別化している」(秋山さん)

飲食店から手数料はもらわない代わりに、同サービスには店の一番安いプランを掲載。今後はユーザー課金を行い、サービスの拡大を目指したいとしている。

「ビジネスマンは飲み会の幹事業務のために、多くの時間を割いています。ビジネスマンを店選びの苦悩から解放していきたいと思います」(秋山さん)

(文・横山耕太郎)

編集部より:提供者からの依頼を受け、当日の会場画像1点を変更しました。 2020年2月26日 11:30
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