花王「サクセス」リブランドの背景にある危機感。令和男子の“洗髪トレンド”つかめるか

花王「サクセス」

1987年から続く、老舗のメンズ向けヘアケアブランド「サクセス」。2015年以来のリブランディングで狙うのは、ブランド認知の「若返り」だ。

撮影:伊藤有

花王のメンズ向けヘアケアブランド「サクセス」が2015年以来の5年ぶりのフルリニューアルを本格始動する。

メンズ向けヘアケアブランドとして1987年から30年以上続き、メンズ向けシャンプーとしては8年連続売り上げナンバー1という実績の一方、今回、花王の担当者はロゴ変更をリブランディングという言葉も使って説明した。

背景には、危機感を持って取り組む「ブランドの若返り」がある。

2017年の「市場縮小」で戦略を見直した

花王「サクセス」

1987年の登場以来のロゴの変遷。買ったことのある人も、そうでない人も、「このロゴを知らない」という人はいない、と言っていい定番商品だが……。

撮影:伊藤有

今回のフルリニューアルの実質的なきっかけとなったのには、2017年のできごとの影響がありそうだ。

伸び続けていた男性向け化粧品市場が、2017年に「前年割れ」の1990億円(前年比99%)となり市場の成長が止まった、と語るのは、サクセスのブランド担当者の水町直樹氏。水町氏は男性向け化粧品市場の成長が止まった翌年の2018年1月にブランド担当になった。

サクセス

サクセスのブランド担当者の水町直樹氏。男性化粧品市場の「前年割れ」、そしてサクセス自体は、直近約10年の「伸び悩み」という状況にあったと語る。

撮影:伊藤有

過去の実績のデータを振り返りながら、ブランドとしての過去の経緯を水町氏はこう振り返る。

「実は(市場の成長が続いていた間の)この9年くらい、市場(自体)は伸びている中で、サクセスは伸ばしきれなかった。(その理由の1つに)若い人たちの構成比が下がってしまっていた。まずいと思った」

サクセスの危機感がわかるスライド

花王の危機感は、「『おじさん向けの育毛ブランド』になっていた」という衝撃的な振り返りの言葉からも滲む。

撮影:伊藤有

水町氏が担当になってからのこの2年は、ブランドとしての「若返り」を狙った商品企画を続けてきた。

その突破口になったのが「スタンバイ男子」という考え方だ。


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花王が分析した、現代男性の1日の身だしなみ行動。「不快・不満」が生じている部分の課題解決ができれば、それは新たな商品になる可能性がある、というわけだ。

撮影:伊藤有

シャンプーなどは、「一日の汗や整髪料を落としてきれいにリセットするためのもの」と考えがちだが、ビジネス現役世代(2~40歳)への意識調査では、「翌日の清潔感に備えるため」にシャンプーをしている、という意識を持つ人が多いことがわかってきたという。

「アタマは日中ケアが難しい」を逆手にとる

特に「匂い」に着目したときに、制汗剤や顔の手入れなど体のほかの部位とは違い、アタマは日中にケアすることが難しいのではないか……ここに着目して2019年春に、新コンセプトの若手世代向けのサブブランド「サクセス24」を投入した。

花王が持つ、汗に反応して香りを放つ「フレアフレグランス」技術を使ったものだ。

サクセス24

サブブランドとして春に投入した「サクセス24」。

撮影:伊藤有

2月29日からは、発表済みの新「サクセス 薬用シャンプー」など30代向けの7製品を投入する。サクセス24のスマッシュヒットもあり、2月の売り上げは過去最高の前年同月比130%を見込む状況になっている。

また、近々市場投入を予定する新製品についても、流通関係者からかなり良い手応えがある、とする。

2月発売のサクセス新製品

花王が2月6日に発表、同29日から発売開始するサクセスの新製品群。3秒で泡立つなどの特徴で、男性特有の整髪料やヨゴレをしっかり落とす機能性にこだわった。

撮影:伊藤有

男性向けのスキンケア化粧品市場は、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)のスキンケアブランドなどが国内外で登場し、一定の人気を得るなど、女性向けほどの規模ではないものの、「盛り上がり」のさなかにある状況だ。

男性が「自分の美容にこだわる」傾向は、ヘアケア分野にも影響があるのだろうか?

水町氏は、スキンケア商品と異なり、意識の変化に対応したヘアケア商品がこれまでほとんどなく、そのため“気づきをこれから起こしていく段階”なのではないか、という。

サクセスの2020年のリブランディングが「大成功」になるのかどうかは、この意識変化のチャンスをど真ん中でつかめるかどうか、にある。

(文・伊藤有)

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