新型コロナウイルス、大統領選挙、貿易戦争……どの企業に投資してもダメな気がしてくるが……。
Reuters/John Gress
- 米金融大手ゴールドマン・サックスのチーフストラテジスト、デービッド・コスティンによると、一部の高収益企業がこれから良い業績を叩き出しそうだ。
- 一方、少なくとも2020年末までは、人件費の高騰とコスト増が多くの企業の利益を圧迫するだろう。
- ただしコスティンが本記事でリストアップしてくれた銘柄は、2019年に好業績を残し、ここ2年間ずっと利益を減らしていない企業ばかりだ。
米ゴールドマン・サックスのデービッド・コスティンは、ここ数週間に起きたちょっとした良いできごとが、たくさんの不安ごとを覆い隠してしまったような感じ、と表現する。
中国・武漢を震源とする新型コロナウイルスの大流行や、民主党の大統領候補選出をめぐるドタバタ劇、その他の不確定要素にもかかわらず、アメリカ市場各社の第4四半期決算は多くが市場予想を上回り、史上最高値を記録した。法人税大幅引き下げの影響も後押しした。
ただコスティンは、この景気は長続きしないとみている。というのも、どの社も利益率が低く、株式市場の活性化の源泉ともいえる利益を圧迫する大きな要因となっている。
「(アメリカの主要500社から構成される)S&P500のすべてのセクターで利益が収縮し、利益の総額も4四半期連続で減少している。どの企業の業績見通しにおいても、いま主要なリスクと考えられるのは何より利益だ」
人手不足による人件費の高騰、そのための企業負担の増加については、いまのところ改善の余地はなく、今年いっぱい現在のような状況が続くとコスティンは予測する。
「商品やサービスの値上げを行うなどしてコストを転嫁するか、労働市場がクールダウンしないかぎり、利益が圧迫される状況は続くだろう」
そうしたリスクに加え、投資家たちは2019年第4四半期に業績見通しを達成できなかった銘柄を手放す可能性が高まっているという。
そんな状況を受けて、コスティンに業績リスクのは無縁の銘柄を選んでもらった。いずれも価格決定力をもっていて、市場全体が利益を確保しにくい状況でも業績を維持できる企業だ。
以下の12銘柄は、それぞれの属するセクターの他企業に比べてより多くの売上総利益(粗利益)を稼ぎ出し、過去2年間において利益を増やし続け、安定性でも実績のある企業ばかり。前年比の利益の伸びが大きい順に第1位から並べた(紹介順は下位から)。
【第12位】ベリサイン
Markets Insider
セクター:情報・テクノロジー()
時価総額:245億ドル(約2兆6950億円)
売上総利益率(5年平均):83%
売上総利益率の前年比増減:+3.95%
【第11位】ハズブロ
Markets Insider
セクター:一般消費財(玩具)
時価総額:133億ドル(約1兆4630億円)
売上総利益率(5年平均):52%
売上総利益率の前年比増減:+4.44%
【第10位】W.R.グレース
Markets Insider
セクター:材料(化学材料)
時価総額:41億ドル(約4510億円)
売上総利益率(5年平均):40%
売上総利益率の前年比増減:+4.67%
【第9位】ウィリアムズ・カンパニーズ
Markets Insider
セクター:エネルギー(天然ガス輸送)
時価総額:259億ドル(約2兆8490億円)
売上総利益率(5年平均):30%
売上総利益率の前年比増減:+4.87%
【第8位】ケイデンス・デザイン・システムズ
Markets Insider
セクター:情報・テクノロジー(半導体開発ソフトウエア)
時価総額:220億ドル(約2兆4200億円)
売上総利益率(5年平均):86%
売上総利益率の前年比増減:+4.87%
【第7位】シトリックス・システムズ
Markets Insider
セクター:情報・テクノロジー(仮想化技術)
時価総額:151億ドル(約1兆6610億円)
売上総利益率(5年平均):84%
売上総利益率の前年比増減:+5.86%
【第6位】アッヴィ
Markets Insider
セクター:ヘルスケア(バイオ医薬)
時価総額:1390億ドル(約15兆2900億円)
売上総利益率(5年平均):78%
売上総利益率の前年比増減:+6.06%
【第5位】バイオ・ラッド・ラボラトリーズ
Markets Insider
セクター:ヘルスケア(試薬)
時価総額:121億ドル(約1兆3310億円)
売上総利益率(5年平均):55%
売上総利益率の前年比増減:+6.84%
【第4位】ペガシステムズ
Markets Insider
セクター:情報・テクノロジー(BPM/CRMソフトウエア)
時価総額:78億ドル(約8580億円)
売上総利益率(5年平均):67%
売上総利益率の前年比増減:+7.74%
【第3位】ジョンソン・エンド・ジョンソン
Markets Insider
セクター:ヘルスケア(医薬品・健康関連用品)
時価総額:3917億ドル(約43兆870億円)
売上総利益率(5年平均):69%
売上総利益率の前年比増減:+7.85%
【第2位】シアトル・ジェネティクス
Markets Insider
セクター:ヘルスケア(医薬品)
時価総額:208億ドル(約2兆2880億円)
売上総利益率(5年平均):90%
売上総利益率の前年比増減:+8.03%
【第1位】キアゲン
Markets Insider
セクター:ヘルスケア(試薬)
時価総額:85億ドル(約9350億円)
売上総利益率(5年平均):63%
売上総利益率の前年比増減:+10.78%
[原文:GOLDMAN SACHS: Buy these 12 stocks to keep crushing the market as profit margins shrink]
(翻訳・編集:川村力)