新型コロナウイルスから子どもをどう守る? 子ども・妊婦向け、10の基礎知識

哺乳瓶でミルクを飲む子ども

流行する新型コロナウイルス。我が子の感染を心配する親は多いのではないだろうか。

撮影:今村拓馬

日本でも感染が広がり続けている新型コロナウイルス。

小さな子どもを持つ親や、妊娠中の女性など、子どもや赤ちゃんへの感染を心配している人も多いのではないだろうか。我が子を新型コロナウイルスから守るにはどうすれば良いのか、これまでに分かっている情報を元に整理する。

1.子どもが感染したらどんな症状が出る?

実は、感染者全体を見渡すと、子どもの患者は少ない

中国疾病管理予防センター(CDC)からの報告によると、2月11日までに中国で新型コロナウイルスに感染して症状がみられた4万4672人の患者のうち、19歳以下は965人(約2.2%)。そのうち死亡したのは1人だった。

これまでの報告では、発熱や乾いた咳、倦怠感が多くみられる一方で、鼻水や鼻詰まりといった症状は比較的少ない。一部では、嘔吐や腹痛、下痢といった症状もみられたようだが、ほとんどは1~2週間で回復している。子どもにみられる症状も、基本的には大人と同様だ。

熱が出ている子ども

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2.子どもが感染したら重症になる?大人よりも感染しやすい?

今のところ、新型コロナウイルスを発症した子どもが重症化したという報告は少ない。また、成人よりも感染しやすいという報告もない。

また、過去のコロナウイルスを原因とする感染症(SARSやMERS)では、子どもの症状は比較的軽かった。ただし、一部重症化した例もあるため、今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)においても、成人と同じように感染後1週間ごろから急変する可能性を注意しておくべきだろう。

特に小児ぜんそくなどの持病を持つ子どもは、一般的に呼吸器系の感染症が重症化しやすい傾向がある。病気の種類ごとにリスクや対応策が異なるため、詳しい対応についてはかかりつけの医師に相談してほしい。

また、子どもは大人に比べて自分の症状を正確に伝えられない場合もある。実は重症だった、という事故を防ぐためにも、小さなサインを見逃さないように気を配っておく必要はあるだろう。

3.子どもを感染から守る予防策は?家庭でできることは?

おもちゃで遊んでいる子ども

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新型コロナウイルスは、咳やくしゃみを介して感染したり(飛沫感染)、ウイルスに汚染されたものに触れた手で目・鼻・口を触ることで感染したり(接触感染)する。

子どもを新型コロナウイルスから守るためには、まず保護者が感染しないようにすることが大切だ。マスクを着用することは、混雑した屋内や、乗り物などの換気が不十分な場所では予防策と考えられている。一方で、屋外などの混み合っていない場所では、マスクの予防効果は認められていない。マスクは、既に感染している人から他の人へ感染を防ぐ側面が強い。

接触感染を防ぐには、何より家族全員が手洗いをこまめに行い、手に付着したウイルスの除去を徹底することが重要となる。また、おもちゃやドアノブ、手すりなど、手がよく触れる場所を定期的に消毒することも大切だといえる。

2018年度に厚生労働省から発表された「保育所における感染症対策ガイドライン」によると、ハンドタオルの共用はウイルスを移してしまうことにつながるため、手洗い後はできるだけペーパータオルを使用するのが理想的だという。家族間での感染を防ぐ上でも、こういったリスクを避ける行動を意識してほしい。

4.赤ちゃんにアルコール消毒液を使っても大丈夫?

アルコール消毒

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有効成分としてアルコールが含まれている消毒液には、コロナウイルスを殺す効果が期待される。厚生労働省は、乳児や幼児に対しても、感染症予防対策としてアルコール消毒液を使った手洗いなどを挙げている。

ただし、アルコールに対するアレルギーがあったり、手荒れがひどかったりする場合には、無理にアルコールを使用するのは避けて、石けんを使った手洗いで予防をするのが良いだろう。

なお、アルコール消毒で手が乾燥したり炎症が出てきたりする場合は、乳幼児にも使えるハンドクリームやローションでのケアが推奨される。

5.子どもを幼稚園や学校に行かせたり、外で遊ばせたりしても良い?

通学する小学生

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保育園や幼稚園、学校に対しては、文部科学省から各都道府県の教育委員会を通じて、新型コロナウイルスへの対応方針が示されている。

出席停止や臨時休業が告げられていない場合は、いつも通り登園・登校して構わないだろう。ただし、子どもに発熱などの風邪のような症状が出た場合は、無理せず自宅で休むのが望ましい。

風邪のような症状が出ている場合の自宅休養については、「欠席日数」ではなく「出席停止・忌引等の日数」として扱われる場合もあるので、欠席日数が気になる場合は学校に相談してほしい。

新型コロナウイルスは、人と人との距離が近い状況での感染リスクが高い。逆に言うと、人が密集していないような場所であれば、子どもを外で遊ばせても感染のリスクはそこまで高いとはいえない。

外出時には人が密集する場所を避けるよう心がけ、子どもが遊びから帰ってきたときには、手洗いやアルコール消毒を促すなど、感染防止に努めよう。

6.子どもが感染したと思ったらやるべきこと

病院

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新型コロナウイルスに感染した場合の初期症状は、風邪の症状に似ている

子どもに発熱や咳などの症状が出たら、まずは学校を休ませ、体温を毎日測定・記録して様子を見よう。この時、家庭内で感染が広がらないよう、子どもにはマスクをさせるなどの注意が必要だ。

新型コロナウイルスの感染を疑う基準は、「風邪に似た症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く」「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)」の2つ。

もしこの2つに該当する場合は、各都道府県に設置された「帰国者・接触者相談センター」に相談し、勧められた医療機関を受診してほしい。一方、高熱が出ても4日未満であったり、倦怠感や呼吸困難といった身体症状がなかったりする場合は、まずはインフルエンザなどの別の感染症を疑って一般の医療機関を受診してほしい。

新型コロナウイルス感染を疑って相談なしに一般の医療機関を受診しても、一般的な風邪のような軽症の患者に対してウイルス検査を行うことは現時点では難しい。

感染への不安から新型コロナウイルスの検査を求めて複数の医療機関を受診することは、かえって新型コロナウイルスに触れる機会を増やしたり、インフルエンザなどのほかのウイルスに感染するリスクを高めることにつながってしまう。

※各都道府県の帰国者・接触者相談センターの一覧はこちら

7.妊娠中は普段よりも感染しやすい?

妊婦

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妊娠中は、お腹の中の赤ちゃんを「異物」として排除しないよう、体の免疫機能が通常よりも緩やかになっている。これは同時に、ウイルスや菌などの感染症の原因となる病原体を排除する機能も緩和されていることを意味する。

このため、一般的に妊娠中は、インフルエンザなどの呼吸器に関係した感染症にかかりやすい。

また、妊娠後期は、子宮が大きくなっており、息がしづらい。結果的に、肺炎を起こした場合に重症になりやすい。

妊娠中の女性は、手洗いなどの基本となる予防を習慣化することはもちろん、混雑した場所への外出などのリスクの高い行動は極力控えた方が良いだろう。

厚生労働省は、感染が疑われる妊婦は早めに「帰国者・接触者相談センター」に相談することを推奨している。相談の目安としては、風邪に似た症状や37.5度以上の発熱、倦怠感や呼吸困難が2日以上続く場合だという。

8.妊娠中に感染したらお腹の赤ちゃんに悪影響?

2月12日に、医学雑誌LANCETで、妊娠後期に新型コロナウイルスに感染した9人の妊婦についての報告がなされた。この報告では、9人の妊婦から生まれた赤ちゃんは無事生まれたことや、子宮を通じて母親から赤ちゃんに新型コロナウイルスが感染していなかった。

⽇本産科婦⼈科学会も、インフルエンザなどと同様に、呼吸器系の感染症が胎児に直接感染することはないとしている。また、妊娠初期に一般的なコロナウイルスに感染したとしても、現時点では先天性風疹疾患などのように赤ちゃんに先天性の疾患がみられることは考えにくいという。

ただし、新型コロナウイルスと妊婦に関する情報は非常に少ないため、今後、この考え方が変わる可能性もある。

9.有効なワクチンや食べ物はある?

ビタミンC

shuttertstock

治療法やワクチンの開発が急ピッチで進められてはいるものの、残念ながら、今のところ、新型コロナウイルスに有効な治療薬やワクチンはない。なお、抗生物質は、ウイルスではなく細菌性の感染症に有効であるため、新型コロナウイルスの予防や治療には役に立たないので注意しよう。

一方で、食べ物についても、これまでに新型コロナウイルス感染症の予防に効果があると示されたものはない。WHO(世界保健機関)は、ビタミンCの摂取やハーブティーなど、新型コロナウイルスを予防する根拠の無い食べ物に頼らないよう警告している。

10.新型コロナウイルス流行中は授乳は控えたほうがいい?

哺乳瓶でミルクを飲む子ども

撮影:今村拓馬

母乳の安全性については、現時点では分かっていない。

ただし、日本産婦人科学会では、もし母親が発熱し、感染していることが分かっている場合は、授乳を控えた方が良いとしている。母親が感染していた場合、ウイルス血症(血液中にウイルスが入り込んでいる状態)になっている可能性があるほか、接触や咳を介して子どもに感染するリスクがあるためだ。

日本産科婦人科学会では、解熱後3日までは感染力があるとして、授乳再開の目安を解熱後4日目としている。

今では誰もが感染の恐れがあり、症状が出ていなくてもウイルスの潜伏期間である可能性もゼロではない。発熱や咳などの症状が少しでも現れた場合には、授乳は控えておくほうが無難だといえる。

(文・大嶋絵理奈、編集・三ツ村崇志)


参考資料

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」

WHO「Coronavirus disease (COVID-19) outbreak」

China CDC Weekly COVID-19

日本小児科学会「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A」

日本産婦人科学会「妊婦・産褥婦の新型コロナウイルスの感染予防対策について」

日本産婦人科感染症学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について」

厚生労働省「保育所における感染症ガイドライン」

文部科学省「学校における新型コロナウイルスに関連した感染症対策について」


大嶋絵理奈(おおしま・えりな):東京生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程ならびに科学技術インタープリター養成プログラム修了。フリーサイエンスライター。科学技術系のウェブメディアでの執筆・編集を主軸として活動している。専門は分子生物学、食品化学、認知心理学など。これまでに『味博士の研究所』や『OPENLAB Review』の編集長、『科学雑誌Newton』や『m3.com』のライター、『MITテクノロジーレビュー』の翻訳者などを務めた。

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