新型コロナの影響は? テレワーク推進でニーズ増加の“出前サービス”にDiDiも参入

DiDiフード

DiDiは日本でもフードデリバリーサービス「DiDiフード」をスタートする方針を発表。大阪から開始する見込み。

出典:DiDiフードジャパン

新型コロナウイルスの感染拡大で、国内企業は在宅勤務を含むテレワークの導入を進めている。外出を控えるようになれば、出前、宅食とも呼ばれるフードデリバリーサービスの潜在的な需要は高まるはずだ。

日本では、「出前館」や出前館のインフラを利用した各サービス(「LINEデリマ」「dデリバリー」など)や、日本ではタクシー配車サービスのUberが提供する「Uber Eats」が人気を博している。

そんな強いライバルのいる市場環境に、新たなプレイヤーが参入する。Uberと同じくタクシー配車サービスを展開するDiDi(ディディ)だ。

DiDiフードが4月初旬に大阪でスタート

DiDiは2月25日、フードデリバリーサービス「DiDiフード」を4月初旬に大阪でスタートすると発表した。ソフトバンクと中国・滴滴出行のジョイントベンチャーであるDiDiモビリティジャパンとは別に、DiDiフードジャパンが運営を担当する。

DiDiフード

DiDiフードジャパンが開設した配達パートナー募集サイト。

出典:DiDiフードジャパン

サービス開始当初の提供エリアは、大阪府大阪市の福島区、北区、中央区、西区、浪速区、天王寺区の6区。加盟店の詳細は不明だが、DiDiは「食いだおれの街・大阪の名物や、日々口にする大手飲食チェーン店の料理など、さまざまな人気メニュー」を揃えるとしている。

なお、配達業務はUber Eatsと同様に、DiDiと個別に契約したデリバリーパートナーが行う。DiDiフードジャパンは25日からデリバリーパートナー募集を開始、4月5日までに所定の審査およびトレーニング、登録を済ますと4000円を付与する早期登録キャンペーンを実施している。

新型コロナの危機感は、業界への福音ではなかった

Uber Eats

Uber Eatsは日本でも広く利用されている。写真はイメージです(2018年12月撮影)。

撮影:西山里緒

DiDi広報は日本のフードデリバリー業界への参入経緯を以下のように語っている。

「2強と言われる(フードデリバリー業界)の中に競争原理をつくりたい。我々の参入によって市場のサービス品質、価格、透明性があがる」(DiDi広報)

2強がどの会社なのか公言こそしないが、Uberと出前館であることは十分想像がつく。

なお、このタイミングでの新規参入が、新型コロナウイルスによる需要増が関係しているかとの質問には、「(参入の)調整し始めたのは1年前」と直接的な因果関係を否定したうえで、「実際のサービス開始時期について、新型コロナウイルスの動向を注視したい」と、むしろサービス開始にあたっての危機意識がある、とする。

出前館とUber Eatsのアプリ

出前館とUber Eats。

撮影:小林優多郎

既存の事業者は、新型コロナ以降、売り上げは伸びているのだろうか?

出前館とUberに新型コロナウイルスの影響を問い合わせたところ、両社ともに「注文数や需要等については公表していない」との返答。出前館の広報担当は次のようにコメントした。

「外出を控える方が増えるため、出前を注文される方も中にはいらっしゃると思う。出前館のシェアリングデリバリー配達拠点においては十分な対策をし、出前館をご利用くださるお客さまに安心してサービスをお使いいただけるよう、努めていきたい」(出前館広報)

なお、出前館は2月26日に「新型コロナウイルス感染症拡大に備えたサービス提供に関するお知らせ」というリリースを発表し、同社の対策の詳細を内容を公開。2019年7月に発表した理化学機器の総合商社「アズワン」との協業と合わせて、衛生管理を徹底していくとしている。

(文・小林優多郎)

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