アマゾンのレジなし食料品店がオープン…店舗のカメラを欺く試みは成功したのか

ワシントン州シアトルにあるアマゾンのGo Groceryストア。

ワシントン州シアトルにあるアマゾンのGo Groceryストア。

Reuters/Louise Heavens

  • アマゾンは最近、初めてレジなしの食料品店をオープンした。ここでは、カメラ、センサー、人工知能を使用して、顧客が購入する商品を特定している。
  • あるジャーナリストが、カメラをだまして、気付かれずに商品を持ち帰ることができるかどうかを試してみた。
  • 化粧室でジャケットを着替えると、いくつかのアイテムの代金を請求されずにすんだという。
  • しかし、アマゾンは、化粧室の外に置いたアボカドの代金を彼に請求した。
  • この店舗は、2018年にオープンしたコンビニエンスストアに似たAmazon Goのより大きなバージョンだ。

アマゾン(Amazon)は2月25日、シアトルに初のレジのない食料品店をオープンしたが、早くもカメラとシステムを騙そうをする者が現れた。

同社が 「Amazon Go Grocery」 と呼ぶこの店舗は、2018年にオープンしたコンビニエンス・ストア型の 「Amazon Go」 を拡大したもので、農産物から肉、ビール、ワインまであらゆる商品を販売している。しかし、店員が買い物を終えた客から代金を受け取るのではなく、カメラ、センサー、人工知能のネットワークを使って、顧客が何を選んだかをリアルタイムで把握し、その後でAmazonアカウントに請求する。

ニュースサイトArs Technicaのサム・マコベック(Sam Machkovech)記者は、この実験的な店に出向き、監視システムに気づかれずに果物や野菜を袋に詰められるかどうかを試してみた。彼の独創的な努力は失敗に終わったが、彼は化粧室で洋服の着替えをすることによって一時的にアマゾンの監視の目から逃れることができた。

一方、アマゾンは、このシステムはマコベック記者のような人々を取り締まることを意図したものではないと述べた。アマゾンの広報担当者はBusiness Insiderに対し、「Amazon GoとAmazon Go Groceryでは、ほとんどの時間を99.9%の善意の買い物客の体験を改善することと、ごく少数の悪意ある人を阻止することに費やしている」と述べた。

以下では、これらの店舗システムがどのように機能しているか、そしてマコベック記者がどのようにしてこのシステムを騙そうとしたかを見てみよう。


店舗に入る前に、利用客はスマートフォンをかざして認証を受ける

店舗に入る前に、利用客はスマートフォンのアプリで認証を受ける

Stephen Brashear/Getty Images

利用客はAmazon Goアプリをダウンロードする必要がある。このアプリは、店舗に入るときにスキャンするためのQRコードを生成する。これによって、アマゾンは人物を特定し、追跡し、退店後にアカウントに請求することができる。

アマゾンは顧客の行動を監視するために、膨大な数のカメラ、センサー、動きを検出するソフトウェアを利用している

アマゾンは顧客の行動を監視するために、膨大な数のカメラ、センサ、動きを検出するソフトウェアを利用している

Stephen Brashear/Getty Images

TechCrunchによると、Amazon Goでは顔認識を使用していないという。しかし彼らは、動きを検知し、物体を識別し、収集したすべてのデータを分析するために、大量のカメラとセンサー、そしてソフトウェアを使用しており、利用客の「仮想ショッピングカート」にどのアイテムを入れるべきかを判断する。

アマゾンのウェブサイトによると、これらは「自動運転車に使われているのと同じ種類の技術、つまりコンピューターによる画像認識、複数のセンサー情報の融合、そしてディープラーニングだ」という。

マコベック記者は、商品の不規則性がカメラを欺く助けになるのではないかと期待して、青果売り場に向かった

マコベック記者は、商品の不規則性がカメラを欺く助けになるのではないかと期待して、青果売り場に向かった

REUTERS/Jason Redmond

缶詰や箱入りの商品には一貫した形、サイズ、重さ、ラベルがあるが、青果に関しては、アマゾンのシステムはアボカドが中サイズか大サイズかを判断したり(価格が違うからだ)、ジャガイモとヤムイモの違いを特定したりといった、より微妙な判断をしなければならないだろうとマコベックは指摘する。

彼は、野菜をいじり、バナナを並べ替え、さらには商品を背中で隠しながら入れ替えるなどの行為が、カメラに打ち勝つことを期待していたという。

店舗のカメラは買い物客の行動を常に監視しているが、幸いなことに化粧室に行っている間はそうではない

店舗のカメラは買い物客の行動を常に監視しているが、幸いなことに化粧室に行っている間はそうではない

REUTERS/Jason Redmond

マコべックは結局、化粧室に逃げ込むことにした。そこに通じる廊下にはカメラがあったが、中には何もなかった。彼は、化粧室に入る前にアマゾンが商品を置いていくよう勧めた棚にアボカドを置いた。そして中に入ると、いじっているうちにつぶれてしまったバナナを隠した。

さらに、バッグの中に隠し持っていたジャケットを着て、サングラスを外し、この変装が姿を消してくれることを願った。彼は自分の理論を検証するために、着替えた後にいくつかの商品をバッグに入れた。

この店舗には一般的な支払いプロセスはなく、利用客は商品をバッグに入れ、あとは店を出るだけだ

この店舗には一般的な支払いプロセスはなく、利用客は商品をバッグに入れ、あとは店を出るだけだ

REUTERS/Jason Redmond

買い物を終えた客は、従来のようにレジに向かうのではなく、店を出るだけでいい。アマゾンのソフトウェアは、利用者が退出したことを記録し、データを処理し、購入した商品を計算し、彼らのアカウントに課金する。

領収書を受け取ったとき、マコベックはトイレの外に放置したアボカドと、中に隠したバナナの両方が課金されていることを発見した。しかし、着替えた後に持っていったものについては課金されていなかったと述べた。

アマゾンのシステムは、マコベックが2時間以上買い物をしていたと推定しており、彼の着替えが功を奏したことを示唆している。

アマゾンのGoストアは、同社の物理的な存在感を高めるための取り組みの一つにすぎない

アマゾンのGoストアは、同社の物理的な存在感を高めるための取り組みの一つにすぎない

REUTERS/Jason Redmond

マコベックは、自分を存在しないものとすることで、人々は完全にチェックアウトすることができると主張したが、アマゾンはこれに同意していない。アマゾンは今後の店舗展開として、2021年までに3000のGoストアをオープンすることを計画していると報じられた。この取り組みには、2017年に高級食料品チェーンのホールフーズを約140億ドルで買収したことや、書店と「4-star」ストア(アマゾンの在庫から厳選した高評価商品を販売する店)の拡大が含まれる。

Goストアのようなレジのない店で万引き犯を阻止することに関して、アマゾンはBusiness Insiderに「我々の技術は概ね非常に正確だ」と語った。

[原文:Amazon's cashierless grocery store cameras were fooled by a trickster's wardrobe change — but he still got charged for an avocado left by the bathroom (AMZN)

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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