2月初め台湾に到着したKeyKey洪さん家族。14日間の在宅検疫を要請された。
KeyKey Hung
- 新型コロナウイルスは少なくとも50以上の国と地域に拡散し、8万人以上に感染している。
- 台湾では感染拡大を防ぐため、中国、香港、マカオからの渡航者に対し、14日間の在宅検疫を要請している。
- 香港に住む5歳の双子の母親、KeyKey洪さんは最近、旅先の台湾で2週間の検疫を終えた。
- 洪さんによると、活発な子どもたちを退屈させずにいるのは大変だったが、充実した時を過ごし、より寛大でいられる方法を知る、いい機会でもあったという。
KeyKey洪(Hung)さんは2週間、家を出ることができず、買い物や散歩に出かけることもできなかった。運動ができないことが特に不満だったが、最大の困難はそのことではなかった。
専業主婦の洪さんには、5歳の双子がいる。男の子と女の子だ。活発で好奇心旺盛、家にずっといることには慣れていない。台湾での暮らしにも慣れていない。
洪さんの自宅は香港にある。コロナウイルス大流行への懸念が強まる中、2月初めに家を出た。コロナウイルスは現在、少なくとも50カ国以上に拡大、8万人以上に感染し、およそ3000人が亡くなっている。
台湾では特定の渡航者に対し、14日間の隔離を要請している
2月初め、香港から台湾へ向かう便の搭乗者は20人もいなかった、と洪さん。
KeyKey Hung
2月2日に、故郷である台湾に到着した洪さん家族は、14日間の在宅検疫を強いられた。COVID-19として知られる感染症を引き起こすウイルスから身を守るため、台湾当局は中国、香港、マカオからの渡航者に対し、2週間の自主隔離を行うように要請している。
当局は、潜伏期間が14日だと推定している。感染していても症状がない可能性もあり、潜伏期間中であっても他の人にうつす可能性がある。
2人の子を持つ洪さんにとって、検疫は子どもたちとずっと一緒にいることができる、特別な機会だったという。
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隔離中の人々は、友人や近所の人たちに生活必需品を届けてもらっている
自主隔離を「成功」させるため、衛生当局は人々に「当たり前の」予防をするよう呼び掛けているとBBCは報じた。つまり、こまめな手洗い、換気の良い、窓のある部屋にいること、訪問者を招き入れないこと、食料品や医薬品などの生活必需品は誰かに持ってきてもらうよう頼むこと。洪さんの場合、友人や近所の人たちが必需品を玄関に置いて行ってくれた。
だが、元気いっぱいの子どもたちを家に閉じ込めて、気が変にならないようにするためにはどうしたらいいのか、親が怒りを爆発させないでいるためにはどうしたらいいのかについてのガイダンスはない。
双子の母親である洪さんは、検疫のおかげで子どもたちとずっと一緒にいることができたと述べた
子どもたちは家の周囲の掃除に大忙しだ。
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洪さんは、ライフスタイル・ブロガーだ。Business Insiderに対し、検疫をいい機会だと思うように努めたと語った。状況を乗り切る方法について「検疫を検疫と思ってはいけない」と洪さんは語った。
「そうではなくて、親が子どもたちとずっと一緒にいられる、貴重な機会だと思うことにした」
洪さんは他の家族よりもまだ恵まれていると感謝した。2週間辛抱するだけだと自分に言い聞かせた。大流行の中心地である、中国の武漢のようなところにいる人たちとは違う。武漢では1100万人が、1カ月以上交通機関を使えずにいる。
前代未聞の検疫を巡っては、さまざまな議論がある。世界保健機関(WHO)は、この方法を感染病予防として支持する訳ではなく、むしろ逆効果で健康な人々がウイルスに接触する可能性すらあると述べている。
洪さんは子どもたちに、ウイルスと検疫について正直に話した
子どもたちが、いつもと違う、時間割のない日々を過ごしやすくするため、洪さんは率直に、いかに切迫した状況であるか説明した。子どもたちにも分かるよう、自分たちと他の人たちを守るために家にいることが必要なのだと話した。子どもたちはよく、友達や学校が恋しいと口にした。それに対処するために、一日の使い方を自主性を持たせた。
もちろん、勉強もする。
KeyKey Hung
「スケジュールは一緒に話し合って決めた」と洪さんは述べた。
「退屈しない方法を考える必要はない。子どもたちが知っているから」
勉強に遅れが生じないように勉強の時間も決めた。それ以上に、洪さんの目標は、家で過ごす時間を「華やか」にすることだったと述べた。
「だって家を出ることができなかったから。一歩たりともね」
時間を潰すため、子どもたちは勉強をしたり、絵を描いたり、植物の世話をしたりした
KeyKey Hung
子どもたちは植物に水をあげたり、デッキを掃除したりした。絵を描いたり、ものを作ったりするときは才能を発揮した。ある時、2人は段ボール箱を即席のキャンバスにした。
家事を増やすよう促したところ、子どもたちは喜んで受け入れた。普段に比べて喧嘩をすることもなく、口論をうまく「終わらせる」方法が分かるようになった、と洪さんは述べた。
子どもたちは家事もし始めた、と洪さん。
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この「検疫」は、幼児教育やアクティビティーの専門家の役割を知ることに加え、子どもたちにより深く関わり、より寛大になるための訓練でもあった、と洪さんは述べた。
「今回の検疫で、子どもたちといるときに冷静でいられる方法を学ばせてもらった」と洪さんは述べた。「怒ったり、怒鳴ったりすることはほとんどなかった」と言い、「とても信じられない」ことだったと認めた。
[原文:What a coronavirus quarantine was like for a mother and her 5-year-old twins in Taiwa]
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)