クジラが浜に打ち上げられるのは、太陽の活動による磁気嵐が原因

2019年5月6日、カリフォルニア州サンフランシスコのオーシャンビーチに打ち上げられたクジラ。

2019年5月6日、カリフォルニア州サンフランシスコのオーシャンビーチに打ち上げられたクジラ。

Justin Sullivan/Getty

  • 科学者たちは、クジラがどのように移動しているのかはわかっていなかったが、最近の研究で、地球の磁場を利用しているということが裏付けられた。
  • 調査では、太陽嵐の間、クジラが岸に打ち上げられる可能性が高いことが分かった。
  • 研究者たちは、太陽嵐が原因でシロナガスクジラの体内コンパスが停止し、正確な航行ができなくなると考えている。

昨年、200頭以上のコククジラが太平洋北東部で浜辺に打ち上げられた

クジラは船に衝突したり、漁網に絡まって窒息したり、水中ソナーの音を避けたりすることで岸に打ち上げられてしまう。しかし、新たな研究によると、クジラは太陽の活動によっても浜に打ち上げられる可能性があることがわかった。

研究者たちは、太陽フレア(爆発)の発生源となる太陽の黒点が増え、高エネルギーの粒子が地球に向かって飛んでくる日に、クジラが海岸に漂着することが多いのを発見した。

今回の研究の主執筆者であるジェス・グランジャー(Jesse Granger)はBusiness Insiderに対し、太陽からの磁気エネルギーがクジラの航行能力を損なう可能性があると述べている。

「太陽の活動が活発な時にクジラがより多く漂着するのは目が見えない状態になったからだと考えられる」とグレンジャーは言う。

「これらの磁気嵐が地球に及ぼす影響として考えられるものの一つに、動物の磁場感知能力を停止させることがある」

太陽の活動が活発化すると、座礁するクジラも増える

「海洋における視覚的な目印は限られている」ので、海を回遊するクジラは地球の磁場を利用して位置を測定していることが、過去の調査でも示唆されている。

グレンジャーによると、彼らの新たな研究はこのアイデアにさらなる信憑性を与えているが、まだそれを証明するものではないという。

2015年3月3日、メキシコのバハ・カリフォルニア半島付近のラグーンで。コククジラが噴気孔から空気を吐き出している。

2015年3月3日、メキシコのバハ・カリフォルニア半島付近のラグーンで。コククジラが噴気孔から空気を吹き出している。

Dario Lopez-Mills/AP

グランジャーらの研究は、アメリカ海洋大気庁(NOAA)による1985年から2018年の間にアメリカで座礁した約186頭のクジラのデータを使用している。これは、その間に座礁したすべてのクジラの数ではない。研究チームは、負傷や病気、削痩、船舶、人間、漁網などからの影響を受けていないクジラのみを調査した。

「これらはまったく健康で無傷のクジラで、何かの理由で陸に上がってしまったものだ」とグレンジャー氏は言う。

その理由はナビゲーションのエラーだと彼女は考えている。

このデータによると、ホッキョククジラは太陽黒点の数が多い(151個以上)の日に座礁する可能性が2倍以上高いことがわかった。このことは、太陽嵐がホッキョククジラの岸までの距離を判断する能力を妨げていることを示唆している。

磁気圏

地球は磁気圏と呼ばれる巨大な磁気に包まれており、太陽風の荷電粒子から守られている。

NASA

グランジャー博士の研究チームは、太陽嵐のエネルギーが地球に到達する際に発生する電波ノイズが原因だと考えている。データによると、この高周波ノイズが多い日には、コククジラは座礁する可能性が4倍以上高かった。

研究者たちは、このノイズは、動物が磁場を感知する能力を停止させたり、混乱させたりする周波数なのだと考えている。グレンジャー博士によると、鳥、ゴキブリ、カミツキガメ、ハムスター、イヌでそれが起こることが研究で示されている。ということは、クジラにも適用できるだろう。

メキシコのサンイグナシオ・ラグーンで、観光客を迎える人懐っこいコククジラ。

メキシコのサンイグナシオ・ラグーンで、観光客を迎える人懐っこいコククジラ。

Mark Carwardine / Barcroft Media / Getty

「クジラのGPSが、太陽嵐の間に停止しているという証拠を発見するとは予想していなかった」とグレンジャーは言う。

クジラの漂着の原因は、通常は太陽嵐以外のものだ

クジラが浜に打ち上げられる理由を特定することは、保護活動にとっては極めて重要だ。

グレンジャー博士は「多くのことが漂着の原因になる」とし、「太陽は理由としては大きなものではない」と述べた。

アジアにおけるコククジラの数はわずか200頭(またはそれ以下)で、絶滅危惧種に指定されている。一方、北米の太平洋岸を往来するクジラは約2万7000頭で、現在は絶滅危惧種に指定されていない。しかし、2019年には、北米での数百頭のコククジラが岸で死んでしまった。専門家によると、クジラの死骸が海底に沈んだり、捕食者に食べられたりしたため、これは死んだクジラの総数の10%に過ぎない。

クジラに対する主な脅威は、海洋のノイズ、クジラを巻き込むことのできる漁網、船舶との衝突、海水の温度上昇(食料供給に悪影響を与える)である。

それでも、太陽の活動とクジラの行動との関連性を明らかにすることで、クジラが生息地から遠く離れてしまう理由を解明できるかもしれない。

グレンジャー博士は、今後はオーストラリア、ニュージーランド、イギリスの沿岸を回遊する他のクジラのデータを集め、同じパターンが見つかるかどうかを調べたいと話している。

[原文:215 gray whales got stranded on North American shores last year. Scientists think some of them were blinded during solar storms.

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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