NASAは旧正月の後の二酸化窒素レベルの大幅な低下を観測した。
NASA
- 中国では、新型コロナウイルスのまん延を阻止しようと、何百万人もの人々の住む都市がいまだに封鎖されたままだ。
- その結果、工場が閉鎖され、自動車の交通量が減少し、有害な二酸化窒素の減少が続いていると、NASAが発表した。
- 旧正月の休暇のため、この時期に大気汚染が軽減することはよくある。しかし、NASAによると、今年は例年よりも大幅に減少した。
- NASAの大気環境研究者は「これほど広い範囲で劇的に減少するのは初めて見た」と述べた。
新型コロナウイルスの拡散を抑制するために中国が都市を封鎖したことで、予想外の副作用が起きた。
アメリカ航空宇宙局(NASA)は2月29日、中国上空の有毒な二酸化窒素の「大幅な減少」を確認したと発表した。二酸化窒素は、自動車、発電所、建設機械などが燃料を使うことによって排出され、ぜんそくなどの呼吸器疾患を悪化させる。
IQAirのレポートによると、中国には世界の中でも大気汚染のひどい都市がいくつもあり、新疆ウイグル自治区のホータンとカシュガルはがトップ20に入っている。
NASAが2月29日に公開した衛星画像(上の画像)には、1月23日に中国が封鎖を開始する前と後の二酸化窒素レベルが示されている。
ウイルスの発生源とみられ、最初に隔離された武漢市周辺の汚染物質も激減した。
武漢の大気汚染物質の減少をNASAの衛星が捉えた。
NASA
データは欧州宇宙機関 (ESA) の地球観測衛星センチネル5とNASAの衛星オーラから得られた。
NASAの大気環境研究者、フェイ・リュウ(Fei Liu)は、「これほど広い範囲で劇的に減少するのは初めて見た」と述べた。
中国では、特定の行事やイベントの前後に、公害が低減することがよくある。工場などは1月下旬から2月上旬の旧正月に期間に操業を停止することが多く、大気汚染の減少につながっている。北京オリンピックのような大きなイベントでも減少するが、その後、大気汚染はすぐに悪化する。
NASAは、今年の減少幅は例年より大きいと発表している。
2018年4月2日、北京。スモッグの中に建物が見える。
Reuters/Stringer
「今年は減少率が過去数年よりも大きく、しかも長く続いている」とリュウは言う。
「全国の多くの都市がウイルスの拡散を最小限に抑える対策を講じているので、私はこの結果に驚いてはいない」
研究者らによると、二酸化窒素の発生率は、2005年から2019年の旧正月には通年平均から10%低下したのに対し、今年は30%低下した。
また、CarbonBriefは2月に発表した分析の中で、コロナウイルスによって中国の二酸化炭素排出量が25%削減されたと推定している。
[原文:China's air pollution dropped dramatically after coronavirus lockdown]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)