Reuters
- マイクロソフトは2020年3月、企業向けウイルス対策ソフトウェアを 「iOS」 と 「Android」 向けに拡張すると発表した。
- 今回の動きは、大企業向けのサイバーセキュリティ市場を支配しようとするものだ。
- マイクロソフトのエンジニアや幹部らに、同社のウイルス対策ソフトウェア 「Defender」 に搭載されているAIシステムについて聞いた。
マイクロソフト(Microsoft)は今月、企業向けのウイルス対策ソフトウェア 「Microsoft Defender」 をiOS、Android、Linuxに対応させると発表した。
今回の発表でマイクロソフトは、スマートフォンと互換性のあるアンチウイルス製品という成長市場での地位を確立し、自社のセキュリティ技術を複数のデバイスとオペレーティングシステムを使用する企業向けのワンストッププロバイダーとして売り込んでいる(新たに発表されたソフトウェアは個人ユーザー向けには提供されない)。
マイクロソフトのエンジニアや幹部がBusiness Insiderに語ったところによると、Defenderの主な機能は、従業員がフィッシング詐欺に引っかかるのを防ぐことと、セキュリティ上の懸念が高まっているインサイダーによる犯罪の脅威を検知することだという。
サイバーセキュリティソリューション担当バイスプレジデントのアン・ジョンソン(Ann Johnson)は、インサイダーとして脅威をもたらす可能性の高い個人の監視ツールとしてのDefenderの機能を高く評価した。
「例えば、私が明日マイクロソフトを退職するとすると2週間前には退職届を出していることになる。その時に、適切な人事と法的権限を持つ組織に私をより綿密に監視する能力を与えることで、インサイダーのリスクを管理できる」とジョンソンは語っている。
Defenderは、インサイダーの脅威とフィッシング詐欺の検出に機械学習システムを使用している。マイクロソフトは、同社ソフトウェアの既存ユーザーからの豊富なデータを使用してAIを訓練しており、この技術的な優位性によって、近年登場したどのセキュリティ新興企業よりも魅力的な製品供給者になれると考えている。
プリンシパル・セキュリティ・ゼネラルマネージャーのタンミー・ガナチャリャ(Tanmy Ganacharya)は、「Defenderには5億人以上のユーザーがいる。我々は常に、そこから見えるデータを活用している」と述べた。
数百万人のユーザーのデータで訓練されたすべてのAIシステムと同様に、Defenderは一部のプライバシー擁護派に懸念をもたらした。しかしマイクロソフトは、Defenderの学習に使われたデータは匿名化されていると主張している。
マイクロソフトは新しいサービスを2020年後半に開始するという。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)