地元住民が明かす、事実上"封鎖"されたイタリアの小さな町サン・フィオラーノの様子【新型コロナウイルス】

サン・フィオラーノ

イタリア、サン・フィオラーノ。

Marzio Toniolo / Reuters

イタリア北部の小さな町サン・フィオラーノでは、人々がニュースを見ながら「新型コロナウイルス」に関する報道を待っている。

イタリアでは、サン・フィオラーノを含む11の自治体が少なくとも2週間の事実上の封鎖状態にある。町の出入口には軍警察が立っていて、特別許可がない限り、入ることも出ることもできない。ロイターによると、許可なく町を出ようとした者には最大3カ月の禁固刑が科される可能性があるという。

イタリアでは、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻だ。2月21日に3人だった感染者数は、3月2日までに2036人にのぼり、52人が死亡した。町の封鎖は、ウイルスのさらなる感染拡大を防ごうとするものだ。

地元の小学校教師マルツィオ・トニオーロさんは、封鎖されたサン・フィオラーノの状況をロイターに語った。サン・フィオラーノではミサがキャンセルされ、バーも閉店している。体温チェックをし、食料を買いだめしながら、残り何日かを指折り数えているというトニオーロさんは、何が起きているのか理解できない人もいると話した。

新型コロナウイルスの影響で事実上封鎖されたイタリアのサン・フィオラーノの人々の生活ぶりをのぞいてみよう。


イタリアでは、2月21日に3人だった感染者数は、3月2日までに2036人にのぼり、52人が死亡した。政府はウイルスの感染拡大を防ごうと取り組んでいる。ミラノやベネチアといった都市はガラガラだ。

軍警察

ミラノのドゥオーモの外に立つ軍警察。

REUTERS/Flavio Lo Scalzo

Source: Business Insider, ロイター

イタリア北部では、11の自治体、約5万人が事実上の封鎖状態にある。

許可証のチェック

トゥラーノ・ロディジャーノでは、運転手の「レッドゾーン」に入るための許可証を兵士がチェックしていた。

Yara Nardi / Reuters

Sources: Business Insider, Reuters

ミラノから44マイル(約71キロ)ほど離れたサン・フィオラーノもその1つだ。サン・フィオラーノは、イタリアの中でも感染者が集中しているロンバルディア州にある小さな町だ。

市民保護局の職員

ロンバルディア州の市民保護局の職員。

Marzio Toniolo / Reuters

Sources: Business Insider, Reuters

町へ続くこの道はすいているように見えるが、この先には軍警察が立っている。許可なく町を出ようとした者には3カ月の禁固刑または罰金約223ドル(約2万4000円)が科される可能性がある。

道路

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

町に出入りするためには、特別な許可が必要だ。だが、この町に住んでいる地元の教師マルツィオ・トニオーロさんはすでに中にいる。トニオーロさんは事実上の封鎖状態にある町の様子をロイターに語った。

サン・フィオラーノ

サン・フィオラーノの住民たち。

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

"封鎖"の影響を受けているのはトニオーロさんだけではない。トニオーロさんには妻(31)と娘(2)がいる。

妻子

Marzio Toniolo / Reuters

祖父(87)と祖母(85)も同じ町で暮らしている。

祖父母

Marzio Toniolo / Reuters

父親(61)も暮らしている。つまり、一家4世代が影響を受けている。

父

Marzio Toniolo / Reuters

"封鎖"は少なくとも2週間は続くため、トニオーロさんの家族は、残りの日数を指折り数えている。

カレンダーに書き込みをする妻

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

定期的に体温と健康状態もチェックしている。

体温計

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

高齢者にとって、状況を理解するのは簡単でない。トニオーロさんは、地元のバーがなぜしまっているのか、祖父に説明するのに苦労したとロイターに語っている。

クローズしているバー

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Source: Reuters

結局、「状況を理解してもらうため、おじいちゃんにはスペイン風邪でバーが閉まっていると100回伝えました」とトニオーロさんは言う。

祖父

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

町の中では、さほど規制は厳しくない。外に出たければ、出ていい。犬の散歩に出かけたり、自転車で出かけたり、新鮮な空気を吸うために外に出るのもOKだ。

祖父と孫娘

自転車に乗って出かけるトニオーロさんの父親とトニオーロさんの娘。

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

ただ、他人との接触が多すぎるのは危険だと言われている。

住民

サン・フィオラーノの住民。

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Source: Reuters

道路もかなり空いている。

救急車

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夜になると、完全に人通りがない。

誰もいない通り

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町のあちこちに、ミサが中止になったことを知らせる案内が出ている。墓地も閉まっている。

案内

教会の入り口に貼られた、ミサの中止を知らせる案内。

Marzio Toniolo / Reuters

公共施設も閉まっている。マスクをした3人の少年たちの後ろには、施設が閉まっていることを説明する案内が貼られている。彼らは手持ち無沙汰のようだ。

マスク少年

Marzio Toniolo / Reuters

1日の大半をバスケットボールをして過ごす子どもたちもいる。だが、教師でもあるトニオーロさんの妻は来週、メッセンジャーアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」を使って英語の試験をやろうと計画していると、ロイターに語った。……バスケットボールどころでなくなるかもしれない。

バスケットボール

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

薬局はまだ営業している。住民の薬へのアクセスを確保するため、市長が薬剤師が町にとどまれるよう、宿泊費を負担したという。

薬剤師

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

ただ、サン・フィオラーノでは、少なくとも1つの店で陳列棚がからっぽになっていた。

陳列棚

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

これは、住民が買いだめをしているからだ。トニオーロさん一家も、食料を確保しておくため、約325ドル(約3万5000円)を使ったとロイターに語っている。

買いだめした食料

買いだめした食料。

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

一家は、サン・フィオラーノの外で何が起きているかにも注意を払っている。ただ、ニュースの消費の仕方は、家族の中でも世代で異なる。トニオーロさんは携帯電話で最新情報をチェックしているが……

スマホ画面

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

家族は24時間放送のニュース番組をチェックしているという。

テレビを見る祖母

テレビでニュースを見るトニオーロさんの祖母。

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

夕方、トニオーロさんの妻と娘はまだ外で遊んでいる。

公園で遊ぶ妻子

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

人のいない公園では、きれいな夕焼けが見えた。こうして少なくとも1日が過ぎた。

夕焼けを見る妻子

Marzio Toniolo / Reuters

Source: Reuters

[原文:Photos show what life is like inside San Fiorano, one of the Italian towns on lockdown because of the coronavirus

(翻訳、編集:山口佳美)

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