タイダルのソフトウェアは、何千匹もの魚のそれぞれの行動と状態を継続的に監視することができる。
X/Tidal
- グーグルの最も新しい野心的挑戦は、海洋保全プロジェクトだ。
- 「タイダル(Tidal)」と呼ばれるこのプロジェクトでは、水中カメラと検知ツールを使い、人間の目ではわからない魚の動きを検知することができる。
- タイダルのソフトウェアは大量の魚1匹1匹の行動と状態を長期的に監視する。そのため養殖業者は、より効率的に魚を管理することができる。
- グーグルがブログ投稿でタイダルを発表したのは3月2日のことだが、同社はこの監視技術のためにこれまで3年間、養殖業者と協力してきたという。
グーグル(Google)最新の「ムーンショット(挑戦的な研究開発)」は、一味違う。
「タイダル(Tidal)」と呼ばれるこのプロジェクトでは、水中カメラを使って魚の行動を監視し、「機械認識ツール」で人間の目には見えない魚の行動を検出することができる。
グーグルの「ムーンショット」は壮大で、長期的、最先端のプロジェクトだ。必ずしも(というよりもまず第一に)利益を目的とするものではない。
謎の研究開発企業「X(旧グーグルX)」が取り組むタイダルは、海を守り、魚の養殖をより持続可能にすることを目的としている。Xがブログでタイダルを発表したのは3月2日のことだが、同社は3年をかけて養殖業者と話してきたという。
タイダルではまず、魚の行動と状態の情報を得て、それを理解することに焦点を合わせるという。こうした情報の入手にあたり、タイダルが従来の方法と異なるのは、そのスケールだ。
魚の状態を観察する典型的なやり方は、海から何匹かの魚を取り、手作業で検査するものだ。ところがタイダルの技術を使えば、大量の魚のそれぞれを移動させることもなく、食習慣や体温といった特徴を継続的に監視することができる。
Xの追跡技術。
Tidal/X
これらの情報はその後、養殖業者へとフィードバックされ、魚の健康状態を追跡する能力は向上し、生簀の管理方法もスマートになる。これによっておそらく、コストと養殖が引き起こす汚染の両方を削減することができるだろう。
Xの最初のプロジェクトは自動運転車開発だった。このプロジェクトは、ウェイモ(Waymo)という自動運転開発企業になったことでよく知られている。
Xのプロジェクトは他にもある。物議を醸しているARグラス「Google Glass」を生み出したプロジェクト・グラスや、凧を使った風力発電のプロジェクトもある。風力発電は本格的な事業会社になった。そう、マカニ(Makani)だ。
タイダルが無責任な漁業をどの程度抑制することができるかはまだわからないが、確かなことは今日の海がかつてない状況に直面しているということだ。エレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation)の調査によると、2050年までに、世界の海に投棄されたプラスチックごみの総量が世界中の魚の重さの合計を超えることになるという。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)