「肌色整える」男性用BBクリームも人気。メンズコスメ市場じわり拡大

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男性向けの商品がずらりと並ぶ化粧品店「@cosme TOKYO」。

撮影:横山耕太郎

新型コロナウイルスの影響で、化粧品市場が打撃を受けている。

2月以降、中国人観光客をはじめとしたインバウンド需要が減少したことに加え、国内でも感染防止のためメーカー各社は、デパートなど店頭で美容部員が客の肌に触れるメイクを自粛している。

資生堂が2020年2月6日に発表した2019年度第4四半期の決算説明資料では、同社の課題の一つとしてインバウンド需要への依存を挙げている。

決算説明資料によると、2020年1月31日~2月3日の同社の国内での店頭売上は17%減少。この期間は、本来であればインバウンド消費が見込まれる中国の春節休み中だったことから、売上減少の背景には新型コロナウイルスの影響があるとみられる。

ただ、中長期的にみると、人口減少が進む日本国内では今後、化粧品市場の大きな伸びは期待できない。

そこで成長株としてにわかに注目されているのが男性用化粧品市場だ。長く横ばいが続いてきた市場だったが、ファンデーションのように肌の色を整える男性用の「BBクリーム」が人気になるなど、これまで以上に注目が集まっている。

大手化粧品メーカーが参入したり、化粧品売り場に男性用の売り場が増えたりと、男性向け化粧品のすそ野はじわじわと拡大。男性用化粧品に対する意識は、大きく変わり始めている。

メイク講座活況「清潔感高めたい」

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メンズメイク講座でBBクリームの色の違いについて説明する高橋弘樹さん。

撮影:横山耕太郎

「ひげを消すにはBBクリームやファンデーションを塗った後に、ひげの青色と反対色のオレンジコンシーラーを乗せます。その後でBBクリームを重ねますが、自分の肌にあった色を見つけることがポイントです」

2月初旬に行われた男性向けのメイク講座には、20代の男性ら約10人が参加した。熱心にメモを取りながら、「自分の肌に合った色はどこで探せるか」など次々と質問が飛んだ。

講座に参加した都内の営業職の男性(24)は、「仕事の時もニキビを隠すメイクをしている。清潔感を高めたいと思って勉強にきた」、別の23歳の男性も「メイクに詳しい友人がいて興味を持った。スキンケアも含めて正しい知識も身につけたい」と話す。

「こんなメイクがしたい」変わる意識

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メイク講座に参加した20代男性は「メイクすることに抵抗は全くないと話した」(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

このメイク講座の講師を務めたメイズメイク専門家の高橋弘樹さん(30)は、2015年から男性メイクの情報発信を始めた。

2015年当時は、ニキビ跡やひげを隠したいというネガティブな理由での参加が多かったが、2017年頃からYouTubeで男性メイク動画が話題になり、「こんな風なメイクをしたい」と参加者の目的も変わってきたという。

「メイクレッスンの問い合わせは、2015年の倍以上になった。デパートのメンズイベントのオファーは、2019年頃からどんどん増えており、時代が変わったのを感じます」(高橋さん)

高橋さんは2018年11月にはメンズメイクに関する本も出版。まだまだメンズメイクは普及すると見込んでいる。

「メーカーが相次いで男性用の化粧品を投入していることで、ハードルは下がってきた。ただし、まだまだ男性とメイクの接点は少ないのが現状。デパートなどもっと気軽にメイクに触れる場が必要だと感じています」(同)

BBクリーム「予想以上の反響」

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資生堂の林詩遥子さんは「男性化粧品への関心はやっと高まってきた」と話す。

撮影:横山耕太郎

「男性の意識を変えようと、スキンケアの必要性を伝えてきた。例えば、日本よりもスキンケアの意識高い他国との比較など、若い世代やビジネスマンに向けた啓蒙を続けてきた。少しずつ浸透してきた手応えはあったが、BBクリームの反響は予想以上だった」

資生堂 unoマーケティンググループの林詩遥子さんはそう話す。

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「ウーノ クリームパーフェクション」のシリーズと、BBクリーム「ウーノ フェイスクリエーター」(写真奥)。

撮影:横山耕太郎

男性用整髪料で知られるunoだが、2019年3月に発売したBBクリーム「ウーノ フェイスクリエーター」は、2019年3月~2019年12月に出荷数累計38 万4000個を達成。計画を大幅に上回る売り上げとなった。

またスキンケア商品では、化粧品や乳液などの役割を一つですませられる商品「ウーノ クリームパーフェクション」も好評で、2016年発売から400万個以上出荷。2019年年間で170万個以上出荷し、シリーズ展開している。

「スキンケア市場が伸びて使用率が3割程度になったと言っても、また6割以上が使っていない。メイクも含めてまだまだ伸びしろがあります」(林さん)

「男性用」化粧品コーナー新設

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「@cosme TOKYO」の男性向けコーナーにには、スティックタイプのファンデーションなども置かれている。

撮影:横山耕太郎

富士経済の調査では、スキンケアを含むメンズコスメティックの市場は、2018年は1180億円。2009年の979億円から、伸びは緩やかなもののここ10年間で約200億円成長した。

市場の拡大を受け、販売店側も男性向けコーナーを充実させている。

月間ユニークユーザー数が1300万人を誇るコスメの口コミサイト「アットコスメ」を運営するアイスタイルでは、2020年1月に開店したJR原宿駅前の旗艦店「@cosme TOKYO」にメンズコーナーを設置した。

同社では国内24店舗を展開しているが、男性に特化したコーナーを設けたのは初めて。同コーナー(ユニセックスを含む)には、約10ブランド、250アイテムをそろえる。

広報担当者は、「カップルで買いに来る人や、男性だけで来るお客様が予想よりも多くて驚いた」と話す。

カップルで「シェア」する時代

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出典:アイスタイル「化粧品に関するアンケート」

アイスタイルが2019年に女性約5700人を対象に行ったインターネットによるアンケート調査では、「身近にスキンケアする男性が増えたと感じる」と答えた女性は7割を超え、「メイクアップをする男性が増えた」と感じている女性も36%いた。

「男性がメイクアップすること」について、肯定的に捉えている(「とてもいいと思う」「まあいいと思う」の合計)は、半数以下の43%だったが、「20代以下」では64%が肯定的で、若い世代にはメンズメイクへの抵抗感が少ない傾向が強かった。

男女の意識の変化を感じる口コミも増えている。

同社リサーチグループの西原羽衣子さんはこう話す。

「アットコスメの利用者90%以上が女性で、男性による口コミは女性に比べると少ないものの、最近では『シェア』『男女』『夫』というワードが増えてきています。

化粧品を夫婦やカップルでシェアすることが増えており、男女で使えるという観点から商品が選ばれる動きもでています

長くくすぶってきた男性化粧品市場。時代の変化を受けながら、市場が動き始めている。

(文・横山耕太郎)

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