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撮影された天体は「第二の月」か、それとも単なるスペースデブリか

地球を周回する小惑星である可能性がある天体。異なるカラーフィルターを使った3つの画像を合成して作成。

地球を周回する小惑星である可能性がある天体。異なるカラーフィルターを使った3つの画像を合成して作成。

The international Gemini Observatory/NSF’s National Optical-Infrared Astronomy Research Laboratory/AURA/G. Fedorets

  • 天文学者が地球の周りの混沌とした軌道上で小さな物体を撮影した。
  • それは一時的に地球の軌道に捉えられた小惑星、つまり「第二の月」かもしれない。もしそうなら、それは天文学者が発見した2つ目の事例になる。
  • スペースデブリである可能性もある。地球低軌道には約50万個の宇宙ごみが浮かんでいる。
  • この天体が4月に地球の軌道を離れる前に、天文学者はより多くの研究を行い、より多くの観測結果を記録しようとしている。

天文学者は、地球の周りの混沌とした軌道上に、わずか数メートルの小さな天体の画像を撮影した。

これは第二の月「ミニムーン」かもしれないが、いずれにせよ、長い間ここにとどまることはないだろう。この天体は、4月には地球の軌道から離れていくと見られている。

国際天文学連合(IAU)の小惑星センターは、その天体を暫定的に「2020 CD3」と名付けた。 今のところ、それは「一時的に捕捉された天体」と考えられている。地球の重力場に引き込まれた小さな天体のことだ。

「ミニムーン」である場合、それは地球の重力によって捕捉された小惑星だ。 そうでない場合、エキサイティングな選択肢ははるかに少なくなる。おそらく人類が作った宇宙のごみだ。

「いずれにしても、これは非常に魅力的な天体で、それが何であるかを判断するためにはより多くのデータが必要になる」と、「2020 CD3」の画像を撮影した天文学者のグリゴリ・フェドレツ(Grigori Fedorets)氏は発表の中で述べた。

天文学者たちは、高解像度の望遠鏡を高速で移動する天体に焦点を合わせることで、小さな月の合成写真(上の写真)を撮影した。光の流れは、ミニムーンに焦点を合わせたことによって軌跡として写った周囲の星で、これらの色は、この合成の作成に使用されたフィルターのよるものだ。

この画像は2月24日に、ハワイのジェミニ天文台で撮影された。研究者のカッパー・ビエルチョス(Kacper Wierzchos)氏とテディ・プライン(Teddy Pruyne)氏は2月15日に、アリゾナ州トゥーソンにあるアリゾナ大学の月惑星研究所で、この物体を発見した。

カタリナ・スカイサーベイによる画像はミニムーンが移動する様子を示している。

カタリナ・スカイサーベイによる画像はミニムーンが移動する様子を示している。

K. Wierzchos/T. Pruyne/University of Arizona/Catalina Sky Survey

ミニムーンなのか、それとも宇宙のごみか

もしその物体が小惑星なら、これは天文学者がこれまでに見たことのある地球を周回する小惑星の2番目の事例になるだろう。もう一つは2006年に発見されて、すで我々の星を離れている。

しかし、ただのスペースデブリ(宇宙ごみ)である可能性もあります。スペースデブリは、人間が宇宙に投入した多くの人工物だ。地球の周りを周回する宇宙ごみには、宇宙船の欠片や、ロケットの部品、打ち捨てられた人工衛星などがある。

アメリカ航空宇宙局 (NASA) の推定によると、大気圏には50万個以上の宇宙ごみがあり、そのほとんどが時速1万8000マイル (約2万9000km) という弾丸のほぼ7倍の速度で周回している。

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地球を周回するスペースデブリ。

NASA

科学者は、物体の光の反射の仕方が、物体が何であるかを解明するのに役立つかもしれないと考えている。もしそれが岩石であれば、宇宙船の残骸よりも光の反射率が比較的低いだろう。しかし、この天体は非常に小さく(推定では1.9メートルから3.5メートル) 、しかも遠く離れているため、調査するのは難しい。

ハワイのジェミニ天文台のジェミニ北望遠鏡。約1時間の露光。

ハワイのジェミニ天文台のジェミニ北望遠鏡。約1時間の露光。

Gemini Observatory/AURA image by Joy Pollard

「地球から遠ざかるにつれて物体は急速に捉えにくくなるため、この画像を撮影するのは大変なことだった」と、ジェミニ天文台の科学責任者であるジョン・ブレイクスリー(John Blakeslee)氏はリリースで述べた。

フェドレツ氏は、「その位置の精密な追加観測は、この謎の物体の軌道とその起源を決定するのに役立つだろう」と付け加えた。

地球の軌道から離れていく

ビエルチョス氏がSpace.comに語ったところによると、「2020 CD3」は「混沌とした軌道」を持つ。

彼は、その物体が約3年前に地球に接近して以来の軌道をシミュレートした図をツイートした。

この天体はMPCによって発表されたばかりで、その軌道は3年ほど前に地球の軌道に入ったことを示している。 これは、トニー・ダン(Tony Dunn)が軌道シミュレーターで作成した図だ。

 ミニムーンは地球の周囲にとどまり続けることはない。

「4月には地球の軌道から完全に離脱すると見られる」とブレイクスリー氏はリリースで述べている。

[原文:Astronomers photographed a possible 'mini-moon' orbiting Earth — though it might just be space debris

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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