BI Daily Newsletter

コロナウイルス流行でプライベートジェットの需要が急増…ただし、長期的な影響は不透明

プライベートジェットを運航する会社は需要の増加を報告している。

プライベートジェットを運航する会社は需要の増加を報告している。

Shutterstock/IM_Photo

  • プライベートジェットの会社は、コロナウイルスによる渡航禁止で民間航空会社が打撃を受ける中、需要が増加していると報告している。
  • 企業も個人も、コロナウイルスの影響を受けた地域からの回避のために高額の費用を支払っている。
  • プライベートジェット機チャーター企業のCEOによると、プライベートジェット機には「たくさんの抜け道」があって、旅行の禁止を回避することができるが、国の規制は絶えず変化しているので注意が必要だという。
  • プライベートジェットはより小さなターミナルを使用するため、乗客は必ずしもセキュリティや健康診断の対象にはならないという。

世界中の航空会社がコロナウイルスの発生で飛行をキャンセルしているため、プライベートジェットの会社がレジャー客とビジネス客の両方を呼び込んでいる。

「簡単に言うと、我々は急成長している」と、プライベートジェット・チャーター企業JettlyのCEO、ジャスティン・クラッベ(Justin Crabbe)はBusiness Insiderに語った。

「これほど盛況だったことはない」

ニューヨークとカナダのトロントに本拠を置くJettlyは、クライアントと世界中の2万3713機のプライベートジェットをマッチングし、「民間航空のエクスペディア」と呼ばれている。

同社は、旅行禁止を回避しようとするクライアントからの旅行および避難のリクエストの前例のないほどの急増を見た(数時間で数千件のリクエスト)。

「この時期には通常、毎日2000から3000便のリクエストが来るが、ウイルスが発生した過去数週間では、流行地から人々を救出するというニュースがあるごとにリクエストが倍々に増えていった」とクラッベは言う。

需要に対応するため、Jettlyはサポートスタッフを3倍に増やした。

ロンドンに本拠を置くPrivateFlyのCEO、アダム・トワイデル(Adam Twidell)はBusiness Insiderに、コロナウイルスに関連して急なチャーターの需要が増加していると語った。

「集団避難や、企業や個人からの問い合わせが数多くあった」

コロナウイルスの影響で74を超える民間航空会社がフライトをキャンセルし、国際航空運送協会は、2020年に世界の航空業界で300億ドル近くの損害が出ると推定している

フィナンシャル・タイムズによると、流行の発生地に近い香港から北米とオーストラリアへのビジネスジェットの便数が1月に前年比で214%増加し、香港から世界各地への便は前年比で34.2%増加した。

スーパーボウルなどのイベントが需要の急増を引き起こしたことはあったとクラッベは指摘するが、これらのリクエストは通常、イベントの数週間前に来る。コロナウイルス関連の需要は、彼がこれまでに目にしたのとは異なるものだった。

「このコロナウイルスの大流行の結果として起こった、散発的かつ即時の需要の急増は非常に珍しいことだ」

メディアの報道は需要を後押ししており、クライアントはフライトに高い金額を支払うことを厭わない

需要はメディアの報道にも影響されている、とクラッベは指摘した。旅行禁止、検疫、避難、新しい感染のニュースは、「一般市民を非常に恐れさせ、民間の空港ターミナルや民間航空機のキャビンから離れさせる」と述べた。

PrivateFlyのコロナウイルス関連のフライトは、医療チームの輸送から、一般の商業フライトによる暴露を避けたい新しいクライアントにまで及んだ。 「最近の問い合わせには、アジアの中での防疫チームの輸送、香港からバリへ旅行したい家族のための便などがあった。彼らは通常、民間航空会社で飛んでいますが、フライトでの感染を心配している」とトワイデルはBusiness Insiderに語った。

個人も企業も、利用者は、数日待つのではなく24時間から48時間以内に避難するために、標準料金をはるかに上回る料金(6人から8人乗りの小型ジェット機の標準的料金は1時間のフライトで5000ドル:約54万円) を喜んで支払う。「需要の増加とその地域で利用できる機体や乗務員の不足のために、通常のフライトの2倍から3倍の料金の予約が何十件も見られた」とクラッベは言う。

「乗客を乗せて避難させるために多くの航空機を飛ばさなければならない。追加のフライト時間には追加料金がかかることになる」

特に大企業は高額を支払っている。「大企業の顧客の中には、流行地の従業員をアメリカに退避させるなどの救援計画を開始しているところもあり、中には支出に制限がない企業もあるようだ」と、彼は言った。

プライベートジェットは、「抜け道」を利用して、旅行禁止およびその他のコロナウイルス関連の規制を回避する

クラッベによると、プライベートジェットは、一般の航空機よりもコロナウイルスの影響を受ける地域に出入りする際の柔軟性が高いという。「私の考えでは、多くの穴が開いたままになっている」と、彼は言った。

「乗客は通常の商用ターミナルの横にあるプライベートターミナルを利用しており、体温検査を含めてもセキュリティの対象にはならない」

ヨーロッパを拠点とするプライベートジェット・チャーター会社GlobeAirは、そのウェブサイトにコロナウイルスについてのアドバイスを掲載し、コロナウイルスへの曝露を避けたい旅行者にとってプライベートジェットが「大きな空港のターミナルよりもはるかに安全である」であると主張している。しかし、同社は顧客やスタッフに対して予防的な対策を行うように奨励していて、従業員に対して「健康状態を当局に報告するという指示が出されている」と述べている。

コロナウイルスの発生による民間航空業界への長期的な影響はまだ明らかになっていない

プライベートジェットの需要が急増している一方で、コロナウイルスの発生による長期的な影響はまだよくわからない。

「この短期的な利益は、世界経済への影響を含めた長期的な懸念や課題とバランスがとれていると思う」とトワイデルはBusiness Insiderに語った。「短期的な需要が増えている一方で、旅行プランを変更したり、キャンセルしたりしている顧客がいる」と、彼は言う。

「そして、中国に出入りしたり、中国と他の国との間を飛行したりするためのロジスティックスは、非常に複雑になってきている。すでに機体や乗組員の手当は困難を極め、需要を満たすことが難しい。そして運用プロトコルは日々変化していて、非常に流動的な状況だ。我々はこれを注意深く監視している」

また、クラッベによると「一部のパイロットや航空会社は、搭乗者を介して自分や家族に感染の危険が及ぶのを恐れて、もはやイランのような危険地帯に飛び込むことを望まない」という。

[原文:Travelers are paying thousands of dollars to evacuate from coronavirus-affected areas on private jets. Thanks to aviation loopholes, they can get out quickly despite travel bans.

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み