中国・北京のマイクロソフト。ビジネスチャット「Teams(チームズ)」の利用が急拡大している。
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- マイクロソフトは、新型コロナウイルス流行の影響で、ビジネスチャットアプリ「Teams(チームズ)」による通話やテレカン(遠隔会議)が、中国国内で大幅増加していることを明らかにした。
- ビジネスチャットの競合であるZoom(ズーム)やグーグルのハングアウトも無料版が提供されており、ズームはユーザー数を大きく伸ばしている。
- マイクロソフトは、シアトル本社とサンフランシスコ・ベイエリアの従業員に対し、ウイルスの感染拡大が想定される3月25日まで在宅勤務を指示している。
マイクロソフトのビジネスチャット「チームズ」が中国でユーザーを大きく伸ばしている。
「当社は最近、中国での利用者数の急増を受け、サービス継続性に関するテストを実施しました。その後、利用は順調に拡大し、1月31日以前と比較して、通話やテレカンの利用者数は500%増加。とくにモバイルでの利用者数がおよそ200%増えました」
3月2日、同社はウイルス流行によってリモートワークが今後も増えることを想定し、チームスのプレミアム版を6カ月間無料提供することを決めていた。
チームズはそれまでも無料版が提供されていたが、会議内容の保存ができなかったり、ファイル保存容量が2GBまでと限られていたり、プレミアム版に比べると機能が制限されていた。今回提供されている6カ月のトライアル版ではすべての機能と無制限の容量を活用できる。
また、トライアル版は当初中国国内だけの提供だったが、その後グローバルに拡大された。
なお、マイクロソフトはMicrosoft365担当コーポレートバイスプレジデントのジャレッド・スパタロウによるブログ記事を3月2日付けで公開。同社の中国ディレクター(上海在住)、リリー・チャンからの手紙を引用し、ウイルス感染拡大のような困難な状況下で行われるリモートワークについて所見を述べている。
ビジネスチャットアプリの急拡大
同じビジネスチャットアプリのズームも、新型コロナウイルスの感染拡大後に無料版ユーザー数を大きく伸ばしている。同社の最高財務責任者(CFO)は先日、現在のユーザー数急増が今後のビジネス拡大にどんなインパクトをもたらすかを評価するのは時期尚早だと発言している。
中国・山東省出身のエリック・ユアンCEO率いるズームは、ウイルス流行の影響に苦しむ人たちの力になりたいとして、無料版に従来かけられていた40分間の無料通話制限を撤廃すると発表している。
さらに、グーグルもすべてのG Suite(ジースイート)ユーザーに、統合メッセージングアプリ「ハングアウト」のプレミアム版を無償開放することを発表。アナリストらは、こうしたビジネスチャットの提供会社や、スラック(Slack)、ドロップボックスといったクラウドソフトウエア会社がリモートワーク拡大の恩恵を受けて、業績を伸ばすと予測している。
(翻訳・編集:川村力)