環境にも優しい培養エビが食卓へ…でもまだエビ焼売一皿3万円以上

  • シンガポールを拠点とするスタートアップ、ショーク・ミーツは、エビの幹細胞を用いた培養肉の開発を行っている。
  • 細胞は栄養素を与えられて増殖し、6週間で「肉」となる。
  • だが、現時点の培養エビの価格は1キロ5000ドル(約53万円)、それを用いたエビ焼売は300ドル(約3万2000円)になる。
  • このような「クリーンミート(培養肉)」は、従来型のエビ養殖よりも、環境への負荷を軽減できると考えられる。研究者らはそのコストを引き下げていきたいとしている。

(以下の文は、上の動画の内容を書き起こしたもの)

アメリカでは毎年約68万トンのエビが消費されている。だがそのエビが海ではなくシャーレで生産されたものだとしたら、あなたは食べるだろうか。

シンガポールを拠点とするスタートアップ、ショーク・ミーツ(Shiok Meats)は、研究室でエビを培養している。

トラビス・テオ(Travis Teo、ロイター通信):「普通のエビ焼売の味がする。食感は刻んだエビのようだ。味はレストランで提供されるものとほとんど変わらない」

製造の工程は、まずエビから細胞を取り出し、それに栄養素を与え、摂氏約28度に保ち、増殖を促す。

ショーク・ミーツが製造するタイプの培養エビの価格は、1キログラム当たり5000ドル(約53万円)。

ショーク・ミーツが製造するタイプの培養エビの価格は、1キログラム当たり5000ドル(約53万円)。

Shiok Meats, Reuters

リン・カーイー(Ka Yi Ling)・ショーク・ミーツの共同創業者兼最高科学責任者: 「シャーレの中の小さな黒い点は、エビから取り出した細胞だ。ピンク色の液体には脂肪酸、アミノ酸、タンパク質、糖といった栄養素がミックスされている」

サンディヤ・シュリラム(Sandhya Sriram)・ショーク・ミーツの共同創業者兼最高経営責任者: 「(シャーレに入れた細胞をピンク色の液体に浸した状態で)2週間ほど置くと、幹細胞が筋細胞に変化していく。これが培養エビになる。容器を大きくしても、液を混ぜるスピード、ph、酸素量といったパラメーターを変えることで、同じ様に培養エビが製造できる」

幹細胞は、4~6週間で食べられる「肉」となる。これは従来のエビの養殖と比較すると3倍の速さだ。短期間で製造できるものの、その分コストがかかる。培養エビの価格は、1キロ5000ドル(約53万円)、それを用いたエビ焼売は300ドル(約3万2000円)となる。

ショーク・ミーツの実験室。エビから取り出した幹細胞をシャーレで培養する。

ショーク・ミーツの実験室。エビから取り出した幹細胞をシャーレで培養する。

Reuters

シュリラム: 「この栄養素が含まれたピンク色の液体が、コストの90パーセントを占めている。だが、価格を抑えるために、世界最大手の薬品会社と契約を交わした。キロ当たり50ドル(約5300円)まで下げられるようになるだろう」

国際金融グループ、バークレイズのアナリストによると、盛り上がりを見せる「代替肉」産業は、今後10年で1兆4000億ドル(約14兆7600億円)規模に成長するとしている。ショーク・ミーツもその成長の一角を担っている。

多くの企業がすでに人造の魚肉、牛肉、鶏肉の製造に取り組んでいる。ショーク・ミーツは新たな客層にアピールしたい考えだ。

シュリラム: 「この産業はまだ非常に若い。ここ3、4年で参入したほとんどの企業は、レッドミート(牛肉、羊肉等)やホワイトミート(鶏肉、豚肉等)の開発に、集中して取り組んでいる。それらの肉が西欧諸国でよく食べられているからだ」

人造肉への取り組みは、環境保全という側面もある。従来のエビ養殖の方法では、森林破壊や地形の浸食を引き起こすことがある。

従来のエビ養殖の方法では、森林破壊や地形の浸食につながる。

従来のエビ養殖の方法では、森林破壊や地形の浸食につながる。

Alex Punker/Getty

ポール・テン(Paul Teng、NIE International所長):「環境への影響という面では、エビ養殖はかなりひどい。タイでエビの養殖施設を設置するために、広大なマングローブ林が伐採されたことは、よく知られている。培養エビの製造を通して、これらの地域への環境負荷を軽減し、自然環境の再生に向けての時間が生まれることになる」

だが、消費者は培養エビを食べる心の準備はできているだろうか。最近行われた調査によると、「クリーンミート(培養肉)」に対するアメリカ人の反応は、「好ましい」と「好ましくない」が混在している。

エビが好みでなければ、カニやロブスターの培養肉も食べられるようになるだろう。ショーク・ミーツではこれらの甲殻類の製造にも取り組む計画だ。

[原文:Lab-grown shrimp made from stem cells is nearly here — but a single dumpling could cost $300

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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