新型コロナウイルスの影響で利用する機会が増えたビデオ会議。教育機関や一部の学習塾がZoomを使い始めたことで、知名度もビジネスツールから一歩飛び出した感がある。
撮影:小林優多郎
新型コロナウイルスに関連した時差通勤推奨、家族の臨時休校などでテレワークが広まり、一気に注目を集めているのがビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」だ。
一部の学習塾や学校では、教育向けプランで無償提供(4月30日まで)されたZoomを活用した授業や指導も始まっている。
いま注目が集まるZoomについて解説してみよう。
Q1. そもそも「Zoom」とは?
日本でのシェアを広げているZoom。
出典:Zoom
Zoomは2011年に元シスコのエンジニアであるEric Yuan氏が設立。本社はシリコンバレーにあり、著名ベンチャーキャピタルのセコイア・キャピタルなどから資金調達し、2019年4月に米ナスダック市場に上場した。
Zoom流行の波は国内にも及び、Zoomの法人向け有償プラン「Business」以上の国内導入社数は3500社以上にものぼる。Zoomがここまで規模を拡大している理由はいくつかあるが、
- 無料でも最大40分間、ビデオ会議が可能
- SlackやMicrosoft Teams、グーグルの各種サービスなどとの親和性が高い
- Zoom会議への参加にはIDが不要
- 会議の録音・録画ができる(クラウド保存、ローカル保存いずれも可能)
などの特徴が挙げられる。
Q2. Zoom会議への参加方法・使い方
ZoomのPC向けアプリのトップ画面。「ミーティングに参加」から開催中の会議に参加できる。
ミーティングに参加するには、事前に共有されているID(数字列)を入力する。名前の欄には参加者に知らせるための名前を入れよう。
ZoomはWindowsやMac向けの「デスクトップ版アプリ」、iPhoneやiPad、Android向けの「スマートフォン版アプリ」を提供している。アプリを無料インストールすれば、すぐに会議を開始できる。特徴の解説で書いたように、「参加者」としてZoom会議に入るなら、アカウント作成なども不要。
また、会議の主催をする場合もグーグルやFacebookアカウントでサインイン(いわゆるシングルサインオン)でき、便利だ。
Zoomの招待はメールなどを介してURLが送られてくる場合も多い。その場合は、Zoomアプリがインストールされている状態でURLをクリックして、表示されるブラウザーの通知からアプリを開けばいい。
多くの人にとっては、Zoom会議は「呼ばれて参加する」ことからはじまる場合が多いはず。これは仕事でも、学校や学習塾でも同じだ。
Zoomにはさまざまな参加の仕方があるが、最もポピュラーなのは「参加用のURLが送られてくるパターン」だ。
Zoomの魅力の1つでもあるが、参加者は事前にアプリをインストールしておけば、Zoomのアカウントがなくても瞬時に会議に参加できる。
ブラウザー版Zoom(Zoom Webクライアントの機能比較)。
出典:Zoom
なお、アプリがインストールされていなくても、パソコンであればブラウザーを使って参加もできる。ちなみにブラウザー版のZoomは使うブラウザーによって機能が微妙に異なる。Zoomは「Google Chromeで最も優れた機能を提供」していると説明している。
Q3. スマホでZoomに参加したい
スマートフォンでもPCと同様。Zoomアプリをインストールした状態であれば、URLから直接Zoomを開ける。
撮影:小林優多郎
スマートフォンやタブレットからでもZoomは利用できる。iOS(iPhone、iPad)やAndroid向けアプリを無料で配布しているので、各アプリストアからダウンロードしておこう。
スマートフォンなどで参加する場合は、もちろんスマートフォンの内蔵マイクも利用できるが、周囲の雑音などをカットして良好なビデオ会議をするためには、イヤホンマイクなどを用意しておくと便利だ。
Q4. Zoom会議を主催して「仲間を招待」する方法
Zoomにアカウントを作成し、ログインした画面。「新規ミーティング」から新しいミーティングを作成できる。
ミーティング作成後、画面下にある「招待」ボタンを押すと、ユーザーを招待するための方法が表示される。URLで招待したい場合は、「URLのコピー」をクリックして、URLを取得しよう。
参加者を集めるためには、Zoom会議の「部屋」を作る必要がある。これをZoomでは「ミーティングを作成する」といい、作成者を「ホスト」と呼ぶ。ミーティングを作成するには、Zoomアカウントが必要で、ウェブまたはアプリから、新規ミーティングを作成できる。
あとは、その会議のURLを、参加して欲しい人にメールや、メッセンジャーなどで伝えればいい。非常にシンプルだ。
なお、無料版ユーザーの作成したミーティングの場合「3名以上参加の場合は40分まで」という制限がある。とはいえ、「1対1であれば時間制限はなし」であること、「ミーティングの回数に制限はない」ことを踏まえると、ちょっとした会議や打ち合わせをするのに支障はないはずだ。
Q5. マイクを消音(ミュート)にしたい
PC版の場合、画面右下のマイクアイコンをクリックすると、マイクのオンオフが可能。
ミーティングに参加する場所やシチュエーションによっては、一時的にマイクをオフにしたいときもあるだろう。特に自宅の場合、宅配便などの突然の来客や家族との会話などは、生活音は入らないようにしておきたいもの。
マイク機能を一時的にオフにするには、Zoom画面の左下のマイクアイコンをクリックすることで「オフ」にできる。また、ホストから任意の参加者のマイクを強制的にオフにもできる。ホストからのマイクオフは、発言者が別にいて、雑音などが入ってしまったり、同室に複数人いてハウリングを起こしているときなどに有効だ。
スマホ版の場合も画面左下のアイコンをタップ。表示されていない場合は、画面の任意の場所を1度タップすると表示される。
撮影:小林優多郎
なお、マイクのオフからオンについては、自分自身は当然オンオフ自由にできるが、「自分が自分に設定したミュートは、ホストから解除できない」、「ホストが自分に設定したミュートは自分で自由に解除できる」と“ミュート設定にした人”によって挙動が異なるので注意。
Q6. カメラをオフにしたい
PC版の場合、マイクアイコンの右にビデオのオンオフ用のボタンがある。
マイクと同様の理由で、寝起きの顔を見られたくない、部屋を見せたくないなどの理由でカメラをオフにしたいこともある。その際、マイクのミュートと同じくカメラも自由に画面上からオンオフできる。
ビデオに関しては会議参加時に「オフで開始」を選ぶこともできるので、事前に設定すれば「参加の瞬間だけ映ってしまう」といったことも避けられる。
ただし、マイクと挙動が違うのがホスト側から参加者側への操作だ。以下の場合分けになるので、参考にして欲しい。
スマホ版の場合もマイクの右側にカメラボタンがある。オフにできると、自分を映した小窓の表示が変わるのでチェックしよう。
撮影:小林優多郎
“参加者が”自分でビデオをオフにした場合
- 参加者は、いつでもビデオをオンにできる
- ホストは、参加者にビデオのオンを依頼し、参加者が承諾することでビデオがオンになる
“ホスト”が参加者のビデオをオフにした場合
- 参加者は、ビデオをオンにできない
- ホストは、参加者にビデオのオンを依頼し、参加者が承諾することでビデオがオンになる
これはZoomがビデオ会議だけではなく「オンラインセミナー」などで使われること、ビデオが音声よりプライバシーの比重が高いものに対する配慮だと思われる。
Q7. 参加者に自分のデスクトップ画面を共有したい
自分が操作しているPCの画面を表示したい場合は、Zoomウィンドウ中央下にある「画面共有」ボタンをクリックする。
画面共有は、単純に画面全体を共有するほか、アプリのウィンドウ毎やiPhone/iPadの画面を選択できる。
Zoomを使えば、簡単に自分が見ている画面を会議で共有できる。特にデスクトップ版アプリの場合「画面共有」ボタンを押すと、デスクトップ全体のほか、アプリケーション毎ウィンドウ単体など共有範囲を選べる。また、別途プラグインを導入することで、AirPlayを利用してiPhoneやiPadの画面を別に表示することもできる。
なお、スマートフォン・タブレット版でも画面共有はできるが、PC版とは違い「画面共有とビデオの同時利用はできない」。相手の顔を見てコミュニケーションを取りたい場合などは、PC版を使う方が良い。
Q8. 参加中のZoom会議から退室したい
Zoom画面右下の「ミーティングを退出」をクリックすれば、いつでも会議から退出できる。
会議が終わったら「会議を退出」ボタンを押せば、いつでも会議は退出できる。
ホストの場合は「ミーティングを終了」というボタンになっているが、クリックした後にミーティング自体を終了するか、残っているメンバーでミーティングを続けてもらうかを選べる。
なお、ホスト抜きでミーティングを続行することはできないので、現ホストが別のホストを任命する必要がある。ホストの任命は、任命したい人のZoomの窓を右クリックして「ホストの任命」を選択する。
なお、アイコンが見当たらない場合は、Windowsであれば「Alt+Q」、macOSであれば「Command+Q」のキーボードショートカットで同じ操作ができる。
Q9. 会議やミーティングの内容を録画・録音したい
会議の様子を保存しておきたいときは、Zoom画面中央下の「レコーディング」ボタンをクリックする。
録画したファイルは、会議終了後にPC内のストレージに保存される。Macの場合、標準だと「書類」内の「Zoom」フォルダーに会議毎でまとめられている。
Zoomでは、「レコーディング」という機能を使うことで、会議の様子をMP4形式の動画や音声ファイルで保存できる。
これができるので、議事録などが必要な場合は、ある意味リアル会議よりZoom会議は便利だ。
レコーディングもZoomの画面上から開始でき、一時停止も可能。録画したデータはPCの任意のフォルダーに保存される。なお、有料版の場合はクラウドレコーディングといって、録画データをZoomのクラウド上に保持する機能がある。
(文、撮影・小林優多郎)