「保護者機能(ペアレンタルコントロール)」を使いこなして、この臨時休校期間を乗り切ろう。
撮影:小林優多郎
新型コロナウイルスの影響で、全国的に臨時休校が広がっている。
各種アミューズメント施設はもちろん、図書館、博物館なども休館や営業規模を縮小しており、時間を持て余す子どもたちとの過ごし方に戸惑う家庭の声が、ネット上にはあふれている。
テレワーク推奨の企業が増えるなかで、自宅で一緒にいるのに、スマートフォンでずっとYouTubeを見続ける子どもや、ゲーム機で遊び続けさせることに罪悪感を感じている人もいるかもしれない。
今、デジタル機器の親子機能、いわゆる「ペアレンタルコントロール」や、それに類する機能は、非常に進化したものになっている。
節度のある楽しみ方を親子で話し合い、みつけるための方法を解説してみよう。
オンライン教材も増えているだけに「デジタル機器との付き合い方」は絶妙なバランスが必要だ。
撮影:Business Insider Japan
iPhone、iPad編:「スクリーンタイム」を活用
アップルの最新のiOSを搭載したiPhoneやiPod touch、iPadOSを搭載するiPadには「スクリーンタイム」という機能が搭載されている。スクリーンタイムは、アプリの利用時間や頻度、通知の数などを視覚化、制限できる機能だ。
スクリーンタイムは本来、自分自身とデジタル機器との接し方を見直す機能だが、これと「ファミリー共有」機能を組み合わせると、親のiOSデバイスから子のiOSデバイスの利用状況を管理することが可能になる(要iOS12以降、iPadOS)。
「スクリーンタイム」で制御できること
- アプリごとの利用時間などの確認
- 電話や許可されているアプリ以外のアプリを使えなくする時間を設定
- 特定のアプリやアプリのカテゴリーごとの利用時間を設定
- 通信や通話時間の設定(緊急連絡先などへの発信・通信は除く)
など
なお、ファミリー共有を使うと、スクリーンタイムの機能のほかに家族間でアプリや映画などのコンテンツを共有したり、クラウドストレージや家族用のカレンダー、位置情報の共有が行われる。適宜設定を行い、家族の間で効率的にコンテンツや機能を利用できるようにすると便利だ。
詳しい設定方法など
- アップル「ファミリー共有を設定する」
- アップル「iPhone、iPad、iPod touch でスクリーンタイムを使う」
- アップル「お子様の iPhone、iPad、iPod touch でペアレンタルコントロールを使う」
Android編:「ファミリー リンク」を活用
出典:グーグル
Android端末では「ファミリー リンク」機能を使うことで、親の端末から子どもの端末を管理できる。なお、アップルのスクリーンタイムはiOSの機能(アップル端末向け)だが、ファミリー リンクは管理する親はAndroid端末でもiPhone/iPadでもよく、子どもの端末はAndroid(iOS/iPadOSでも一部制限は可能)だと最大限に機能を発揮できる、というものになっている。
異なるOS間でもある程度機能するのは、ファミリー リンクが(OSではなく)Googleアカウントベースの機能であるためだ。
「ファミリー リンク」で制御できること
- アプリごとの利用時間などの確認
- 特定のアプリの利用自体や時間を制限
- Google Chrome、YouTube、Google Playのフィルター設定
など
ファミリー リンクでも、カレンダーやクラウドストレージ容量、Google Playでの支払い方法の共有などが可能。またグーグルサービスらしく、各メーカーのChromebookでも、ファミリー リンクの機能によって閲覧できるサイトや使用できるアプリを制限できるといった特徴がある。
詳しい設定方法など
「Nintendo みまもり Switch」で健全にゲームを
出典:任天堂
iPhoneやiPad、Android端末とは違って、いわゆるゲーム機にはなるが子どもたちにとって注目のデバイスなのが「Nintendo Switch」だ。Switchには魅力的なゲームの他に、「リングフィットアドベンチャー」などの身体を動かすもの、「脳トレ」や「数独」といった教養になるタイトルもリリースされているため、一辺倒に「禁止」というのも厳しい面がある。
そこで、Nintendo Switchには「Nintendo みまもり Switch」という保護者機能が無料で提供されている。Nintendo みまもり Switchは、親のスマートフォン(iPhone/Android)から、子どもの使うSwitch/Swtich Liteを管理できる。
「Nintendo みまもり Switch」でできること
- 1日に遊ぶ時間を指定、アラームもしくはゲームを中断させる
- 何のゲームをどのぐらい遊んだかチェックするレポート機能
- CERO※の年齢制限にあわせたタイトルやコミュニケーション機能の制限
など
CEROとは:コンピュータエンターテインメントレーティング機構のこと。国内で流通しているゲームのレーティング(評価)を行っており、現在はA(全年齢対象)、B(12歳以上対象)、C(15歳以上対象)、D(17歳以上対象)、Z(18歳以上のみ対象)などの区分がある。
詳しい設定方法など
親子間のコミュニケーションは不可欠
ただ制限するだけでは、昭和の終わり〜平成で繰り返された「ゲーム禁止」と同じになってしまう。
撮影:小林優多郎
いずれのプラットフォームでも、機能を利用する上で、必要不可欠なのは親と子どもとの合意だ。
「やりすぎをどう防ぐか」は、特に先進国のスマートフォンが一人一台が当たり前になった今の時代に、各プラットフォーマーは強く意識して、バランスをとろうとしている様子がうかがえる。
例えば、グーグルの「ファミリー リンク」の場合は、Google Playからのダウンロードの際、親に“リクエスト”を送る機能がある。
撮影:小林優多郎
例えば、単に機能を制限するのでなく、「親の端末に“延長”の申請をして許可をもらう」だとか、「制限ではなくアラームを出したりするだけに留める」といった機能を用意している点に、その悩みが垣間見える。
すべての機能を制限するといった「単純な禁止」から一歩進んだ、令和時代なりの「子どもとデジタル機器との付き合い方」に向きあう機会として、この突然の臨時休校期間を考えてみるのはどうだろうか。
(文、撮影・小林優多郎)