BI Daily Newsletter

新たな戦場はサイバースペース…アメリカ政府のサイバー戦略は十分ではないと上院で指摘

アンガス・キング上院議員(右)は、上院軍事委員会の合同参謀本部による証言中にティム・ケイン上院議員と協議している。2014年5月6日、ワシントンで。

アンガス・キング上院議員(右)は、上院軍事委員会の合同参謀本部による証言中にティム・ケイン上院議員と協議している。2014年5月6日、ワシントンで。

REUTERS/Jonathan Ernst

  • この度公開された上院の報告書は、アメリカ政府に対し、サイバー脅威から国を守るためのアプローチに抜本的な変更を加えるよう促している。
  • 報告書に記載された80以上の推奨事項には、「国家サイバーディレクター」のポジション、大規模なサイバー部隊、および政府がサイバー攻撃に対応するための基金などの創設が含まれている。
  • この報告を行った超党派の委員会は、1950年代にアメリカが冷戦の戦略を考案するために結成した同様の委員会に触発されたものだ。
  • 「我々はこれを、9.11のない9.11委員会報告書にしたい」と委員会の共同議長であるアンガス・キング上院議員はサイバースクープに語った

超党派の上院議員のグループが発表した報告書によると、アメリカが中国やロシアなどによるサイバー攻撃の脅威から身を守るためには、その戦略の大幅な見直しが必要だという。

その80項目以上の勧告の中には、サイバーセキュリティに関する新たな議会の委員会によって監督される「国家サイバー長官」の創設、サイバーオペレーションの訓練を受けた職員の増員、国土安全保障省や選挙支援委員会のような連邦機関がますます複雑化する任務を遂行できるようにするための資金の増額などがある。

2018年に議会によって創設されたサイバースペース・ソラリウム・コミッション(Cyberspace Solarium Commission)による1年間の研究の結果、「アメリカ政府はサイバースペースで、国を守るために必要なスピードと機敏さで行動するようには設計されていない」と報告書では結論づけている。

同委員会の共同議長を務めるアンガス・キング(Angus King)上院議員はCyberscoopに対し、「我々はこれが、9/11を除いた9/11委員会報告書であることを望んでいる」と述べ、同委員会は「破滅的な出来事を起こさないように変革を促進しようとしている」と付け加えた。

その目標を達成するために、委員会はアメリカ政府に「重層的なサイバー防御戦略」を採用するよう提案した。これには、サイバースペースにおいて責任ある行動をとるように同盟国に促すこと、敵が悪用する可能性のあるプライベートおよびパブリックネットワークの脆弱性を強化すること、攻撃者に対する報復を可能にすることなどが含まれる。

報告書は「中国、ロシア、イラン、北朝鮮は、アメリカの重要なインフラに侵入したが罰を受けていない」とし、世界的につながったネットワークは犯罪者によるサイバー窃盗や、過激派グループによる資金集めやフォロワーの勧誘を可能にしていると指摘した。

同報告書は、「アメリカの自制が事態を悪化させている」とし、アメリカがより積極的に悪者を抑止する役割を果たすべきだと主張した。しかし、同報告書はサイバーセキュリティをめぐる議論の的になっている話題の一部には触れていない。例えば、ウィリアム・バー(William Barr)司法長官をはじめとする法執行機関の標的にされることの多い暗号技術や、アメリカが敵対国から合意を得るために放棄する攻撃力は何か、などだ。

Cyberspace Solarium Commissionは、ドワイト・アイゼンハワー(Dwight Eisenhower)大統領のProject Solariumをモデルにしている。これは、アメリカが冷戦を中心とした新たな時代の外交戦略を策定するために1950年に創設された組織だ。

アメリカは、戦争の本質が進化するにつれて、新しいデジタル戦場へのアプローチを根本的に見直そうとしている。

[原文:A senate report says the US government's current plan to prepare for cyber doomsday isn't nearly strong enough

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

あわせて読みたい

新着記事

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み