【1万人調査】休校措置で子どもの3割が「一人で長時間留守番」の現実。運動不足にストレス、対応は急務

ランドセルを背負って登校する小学生

新型コロナウイルスによる一斉休校措置中の過ごし方に悩む保護者が多い。

Shutterstock/ANURAK PONGPATIMET

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた、政府による全国への休校要請から2週間あまりが過ぎ、休校や休園中の子どもたちの過ごし方にも差が生まれていることが浮き彫りになってきた。

NPO法人フローレンスが全国の約1万人の休校・休園になった子どものいる保護者に行った調査では、全体の3割強、4〜6年生以上やひとり親では5割強が「子どもだけで長時間留守番させている」ことが明らかに。

全体の約7割が休校措置に対して「とても困っている/困っている」と答えている。また、世帯年収の低い保護者ほど、外部の支援サービスを使えていないという孤立リスクも指摘されている。

フロレーンス代表の駒崎弘樹氏は3月13日、萩生田光一文部科学相にアンケート結果を手渡した。萩生田文科相は校庭開放などについて「子どもたちは適度な運動が必要。失われた授業についても色々な仕組みを検討します」と、答えたという。フローレンス広報担当者は「いくつも調査をしてきたが、これほど多くの人の声が集まったことはない」と話しており、休校措置が与えた影響の大きさが現れている。

※NPO法人フローレンス「一斉休校に関する緊急全国アンケート」:3月6〜9日、一斉休校措置に伴い休校になった子どもの全国の保護者を対象に実施。総回答数1万504人、有効回答数8339人。記事では小数点以下切り捨て。

小学生が一日中、ドリルやるわけがない

家の居間で勉強する小学生

学校の保護者会では公園に行くことすら控えるように言われていて、子どもが毎日手持ち無沙汰にしている状況も。

Shutterstock/T.TATSU

実際、子育て中の親にとって、この休校期間は悩みのタネだ。Business Insider Japanの取材でも、小学生の子どもを育てる親から疲れた声が集まっている。

「祖母が見に来てくれていますが、息子はすることがなくて一日中ダラダラしています。一日中、ドリルをやるわけがない。子どもの行き場がありません」

そう話す小学校2年生の男児の母親(30代、都内在住)はシングルマザーで兄妹を育てている。休校措置を受けた会社の配慮で週に2日ほどは在宅勤務ができるが、出勤日は祖母任せ。しかし、小学生ともなると、祖母と2人で喜んで遊ぶ年齢ではない。下の子どもは通常通りに保育園に預けているが、その保育園もどうなるか不安だ。

小学校の休校が長引くほど、心配なのが上の子のストレス。公園ですら、学校の保護者会では控えるように言われており、自由に出歩かせるわけにも行かない。

学童保育もあるが、1年生が圧倒的に多く、2年生になった頃から息子は行きたがらなくなり、そもそも通っていない。毎日、手持ち無沙汰にしているのが気になる。

一番は運動不足心配、友達と会えないストレスや心のケアも

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7割の保護者が休校措置に対し「とても困っている/困っている」と回答。

出典:NPO法人フローレンス「一斉休校に関する緊急全国アンケート」

フローレンスの調査でも「子どもたちへの負担」が、保護者の困っていること・心配なこととして多く上がった。校庭も閉鎖され、スイミングなどの習い事も休業している。「子どもが運動不足になる」(約7割)「休校自体や友達と会えないことによるストレスや心のケア」(56%)に心配の声が上がっている。続いて「学習に遅れが出ること」(56%)だ。

調査では、具体的にストレスを感じる声が寄せられている。

「子供のストレスと運動不足が気になります。 これまでなかった些細なことで怒ることがあり、心配です。 子供の心の声を聞いてあげられる親以外の存在が欲しいです。 遊びに行く所も、一緒に行くお友達もいないので、ずっと家にいて、本当に運動不足が心配です

子どもは出歩くなという世間の目が辛いという声も。

「年長の子を連れてスーパーで食料品の買い物をしていたところ、80歳くらいの方に『まったく!子どもは出歩くなって言われているでしょ!』と怒鳴られました。それからは怖くて、家にこもっています。一斉休校をきっかけに子どもの人権が侵害されていることがとても悲しいです

世帯格差も浮き彫りに

休校措置では、世帯格差も現れている。「困っている/とても困っている」と答えた保護者の割合は、全体の68%に対し、ひとり親世帯では73%、世帯年収300万円未満の家庭では75%と、困っている割合がより高くなっている。世帯年収の低い保護者からは「支出の補填」「所得補償」のニーズが高かった。経済的な不安の声も集まった。

「コロナに関しては恐ろしいと思っていますが、それよりも生活が破綻しそうで恐ろしいです

「夫の収入が途絶えたことです。 ただでさえギリギリでやって来たのに、もう生活できません」

「給食がない事で、食費が普段の倍ほどに… ひとり親家庭の我が家ではかなり困っています。お米の減りが早すぎる。 助けて

また、調査では「世帯年収が低くなるほど、さまざまな外部サービスを利用できていないことがわかった」と指摘。家庭が用意できる環境には差がある。「オンラインサービスが無償提供できても、利用できる機器のない家庭も多くある。オンライン・オフライン両面での支援が必要」と訴えている。

居場所・遊び場の提供、教育支援を

公園で遊ぶ小学生

フローレンスによると、子ども達の遊び、学び、運動の機会を著しく制限し、長期に及ぶことで心身への影響が深刻化する恐れが明らかになったという。

Shutterstock/T.TATSU

こうした現状を受けて調査では、行政や民間企業による支援策として、どんなものがあったら助かるかを聞いている。もっとも多かったのが「日中の子どもの居場所・遊び場の提供」(52%)、続いて「学校の授業の遅れを補填する公的な教育支援」(50%)。「休校・救援対応のためにかかる支出の補填(39%)」だった。

学校給食がないのは、作る手間も食費の面でも負担が大きい。「お弁当や簡単に食べられる食品などの配送サービス」(36.0%)との声も多かった。

フローレンスはこれらのアンケート結果を自治体や民間企業に提供。突然発表され、いつまで続くのかわからない今回の一斉休校要請の期間中、子どもの環境改善を行政や企業、社会に次のように呼びかけている。

「子ども達の遊び、学び、運動の機会を著しく制限し、長期に及ぶことで心身への影響が深刻化する恐れが明らかになった。小学校高学年やひとり親の世帯においては、約半数もの子どもが家で一日中留守番をしています。学校校庭の開放など、リスクをできるだけ抑えた状況で子どもたちが健康に過ごすことのできる居場所を提供してください

新型コロナウイルスの感染拡大防止は当然ながら重要だが、突然の休校や補償のない生活の変化は、子どもたちにも保護者にもストレスとなっている。世帯収入による子どもの格差が開いていることも、大きな問題だ。学校や習い事、遊ぶ場所など日常生活のインフラを突然奪われた子どもたちに、社会がもっと目を向けるべきなのは間違いない。

(文・滝川麻衣子)

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