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参加70万人超「コミケ」で問われる新型ウイルス対策。運営側は開催意向も、大手同人イベントは中止続く

コミックマーケット 東京ビッグサイト

国内最大級の同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」には、毎年多くの人が集まる。写真は会場である東京ビッグサイト(2015年12月撮影)。

撮影:小林優多郎

新型コロナウイルスの流行により、イベントの延期・中止を決める流れに拍車がかかっている。

流行初期から自粛の動きはあったが、政府は2月26日に大規模イベントの自粛を要請。3月10日には自粛を「10日間程度」継続するよう呼びかけた。こうした流れを受けて、4月以降のイベントでもすでに中止を決めた主催者もいる。

3月11日には、ドワンゴが4月18日〜19日に開催予定だったユーザー参加型イベント「ニコニコ超会議2020」「闘会議2020」の中止と、そのオンライン開催を発表。2019年に実施された同イベントの会場来場者数は16万8248人(同社発表)で、2020年にかけるコストもそれなりに大きな規模だったとみられる。

(2020年3月16日午前11時追記)

コミックマーケット準備会は3月15日に公式コメントを公表した。

5月のコミケは「現時点では開催」

コミックマーケット公式サイト

13日午前8時時点、コミケ開催の方針を伝える公式サイト。

出典:コミックマーケット公式サイト

そして、5月2日〜5日には、毎年70万人を超える来場者が訪れる国内最大の同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」が控えている。例年は通称“夏コミ”が8月、“冬コミ”が12月に開催されるが、2020年は東京五輪の影響で夏コミはゴールデンウィークに前倒しされた。

コミケで同人誌などを頒布するためには、抽選でブース設置の権利を得る必要がある。コミックマーケット準備会は3月11日にブース設置を認めるサークルの当落を公表。SNSでは各サークルの関係者が「#C98」などのハッシュタグを用いて抽選結果を明らかにした。

コミケから出展者が「辞退」する異例の動きも……

一方、ブース設置を認められたサークルの間では、今般の状況下でコミケが開催できるのか心配する声も出はじめた。

3月13日午前8時現在、コミケ準備会は公式サイトやツイッターなどで新型コロナウイルスに関連した見解・声明などは発表していない。

Twitterなどでは「単に参加サークルの当落発表のみでは済まされない」「参加者の感染リスクを減らす対策を示してほしい」「中止を検討してほしい」など、運営体制を不安視する声も出ている。

夏コミ参加を目指していた作家・サークルの中には、参加辞退を決めたところもある。

現在公開中の劇場版アニメ「SHIROBAKO」のキャラクター原案を務めるぽんかん⑧さん、漫画「先輩がうざい後輩の話」の著者・しろまんたさんは、3月11日時点で「参加辞退」をTwitterで表明した。

Business Insider Japanは3月11日、コミックマーケット準備会の報道関係者向けメールアドレスに対し、「コミックマーケット98の開催可否の方針」や「新型コロナウイルスによる出展キャンセルへの対応」などについて質問状を送付したが、13日午前8時の記事執筆時点で回答は得られてない。

他の同人イベントも対応に追われている

大手同人イベントへの新型コロナウイルスの影響

大手同人イベントへの新型コロナウイルスの影響。

作成:Business Insider Japan

ほかの同人(同じ趣味、志を持った人の集まり)のイベントの対応を見てみると、以下のようなケースがある(以下、各運営・準備会の発表ベース、開催日は一部当初予定されていたもの)。

2月29日開催「技術書典8」(技術書オンリー)

2月15日に新型コロナウイルス流行の状況をみて、対策の上で開催を決定するも、2月17日に撤回。出展料の返金なし、次回開催時の優遇を予定。代替イベントとして3月7日から1カ月間、オンラインで「技術書典 応援祭」を実施中。

3月1日開催「M3-2020春」(音楽・サウンド系オンリー)

感染予防対策を発表の上、実施。新型コロナウイルスを理由に参加を断念した出展者には、次回以降の申込時での補償、一般来場者には次回のカタログ(来場の際のチケット代わり)との交換に対応。

3月8日開催「ゲームマーケット2020大阪」(アナログゲームオンリー)

2月28日に中止を発表。振込手数料を除いた出品料の返金もしくは次回ゲームマーケットの出展権利の付与。

3月15日開催「HARU COMIC CITY 27 大阪」(オールジャンル)

3月10日に延期を発表。振替開催を予定し、振替日に参加できない出展者に対しては、事務手続きを案内する方針を発表。また、3月15日にはTwitterや公式サイトを利用した“エア即売会”を開催。

いずれの同人イベントでも、主催者はオンラインを利用した通販や代替イベントを案内するなど、対応に追われている。予定会場に支払うキャンセル料や準備にかかった経費など、主催者側の負担が多いことも確かだ。開催可否を判断するタイミングを図る難しさもある。

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コミックマーケットなどの同人誌即売会は、主催者、出展者、来場者などさまざまな人の負担と協力で成り立っている。

Shutterstock

一方で、同人誌などを制作する出展サークル側は、早めに開催可否を決めてほしいというのが本音だ。

例えば、本や冊子など印刷物を制作する場合、各印刷所が提示するスケジュールに合わせて執筆、入稿、搬入(受け取り)などの予定を組み立てる。多くの印刷会社は繁忙期を公開しており、その時期より早く入稿できると印刷費などが値下げされるなど、特典が用意されている。

ただ、法人などを除く一般的な同人イベントの出展サークルは、みな自費で作品を制作している。

新作を楽しみにしているファンのため、そして自身の愛する表現のために、作家たちは心血を注いで作品制作にあたっている。できれば、何事もなくイベントが開催され、すべての参加者が好きなものを分かち合い、楽しめるのが理想だ。

しかし、制作がある程度進んだ段階で中止が決まった場合、自身が在庫を抱えるので損害も大きい。なかには数百万円規模の売り上げを見込む大手サークルもあり、主催者側から早めに何らかの方針が示されないと、出展サークルも「辞退」判断が難しいのが現状だ。

必要なのは運営元からの適切なアナウンス

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規模の大小に関わらず、同人イベントは一定の空間に人が密集するイベントだ。

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3月9日に発表された厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による見解では、今後の見通しについて「国内での流行をいったん抑制できたとしても、しばらくは、いつ再流行してもおかしくない状況が続くと見込まれます」と、先行きの不透明さを示唆している。

また同見解では、感染症のクラスター(集団)の発生リスクを下げる行為の1つとして「人が多く集まる場合には、会場の広さを確保し、お互いの距離を1〜2メートル程度あけるなどして、人の密度を減らす」と書かれている。コミックマーケットに限らず、今後も一定の空間で多くの人が集まるイベントを開催するのであれば、何らかの対策が求められる状況だ。

(文・小林優多郎)

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