オラクルのサフラ・カッツ最高経営責任者(CEO)。2019年9月の年次イベント「オラクル・オープンワールド2019」開催時に撮影。
Justin Sullivan/Getty Images
- オラクルのサフラ・カッツ最高経営責任者(CEO)は、決算発表のアナリスト向けカンファレンスコールで、新型コロナウイルスの流行が業績に与える影響は現時点では読めないとした。
- 市場予想を上回る決算発表を受け、オラクルの株価は3月12日に急上昇している。
オラクルのサフラ・カッツCEOは3月12日、新型コロナウイルスが同社の経営に大きな影響をもたらすかどうか、判断するには時期尚早だと語った。四半期決算発表のカンファレンスコールで、彼女は次のように発言した。
「当社ではほとんどふだん通りの経営が続いています。いくらか違うのは、ビデオ会議を導入したことや、不要不急の出張を延期するよう従業員に要請したことくらいです」
「他の企業が予防措置をとっているのは知っていますが、当社の顧客やサプライヤー(供給元)にどんな影響があるのか、現時点では判然としません」
オラクルは予想を上回る業績を発表。株価は立会時間中こそ市場全体の下落に押されて11%値下がりしたものの、時間外取引で急上昇した。
同社は従来のライセンス契約に代え、サブスクリプション契約を中心としたクラウドビジネスに舵を切っている。クラウド分野でより強力なプレゼンスを確立しようと、アマゾン、マイクロソフト、グーグルといった競合とのシェア争いをくり広げている。
サブスクリプションが増えて収益が安定
オラクル創業者のラリー・エリソン。「オラクル・オープンワールド2018」での撮影。
Justin Sullivan/Getty Images
パンデミック(世界的大流行)と迫りくる経済停滞がオラクルの経営改革にどんな影響をもたらすのかは、ウォール街の一部のアナリストたちにとって最大の関心事だ。
あるアナリストは12日のカンファレンスコールでこんな質問を投げかけた。
「先行きの見えない時期は前にもあった。けれども、継続的な収入源を抱える今日のオラクルは、ドットコムバブル崩壊後の2001年、リーマンショック後の2008年に比べると、多少状況が異なるのではないか」
この問いに対し、オラクル創業者のラリー・エリソンは、今回はその当時より強い立場にあると答えている。
「我々はもう、ライセンスを売って終わりのビジネスはほぼやっていません。サブスクリプションで継続的に収入を得られる契約が圧倒的に増えました。インターネットが爆発的に普及していった当時とは、ビジネスのあり方がもはや根本的に違うのです」
アナリストのレベッカ・ウェッターマンによると、オラクルは「クラウドビジネスの伸びにけん引されて力強いパフォーマンスを発揮した四半期」と業績を評価している。
「たくさんの不確定要素があるのは確かですが、クラウドの売り上げはすでに契約済みで使われているものなので、短期間で大きな変化は起きません。むしろ、本来であれば数カ月以内にクラウドを契約しようとしていた企業が(新型コロナウイルスの影響で)購入の判断を遅らせている状態なので、数四半期先には契約が殺到する可能性もあります」
オラクルの第3四半期(2019年12月〜2020年2月)の純利益は25億7000万ドル(約2700億円)、調整後の1株あたり利益は97セント。売上高は98億ドル(約1兆400億円)。市場予想の1株あたり96セント、97億5000万ドルをいずれも上回った。
(翻訳・編集:川村力)