安倍首相、緊急事態「現時点で宣言する状況ではない」 専門家会議の報告がカギか 質問打ち切りで一時騒然も


記者会見する安倍首相(2020年3月14日)

記者会見する安倍首相(2020年3月14日)

REUTERS/Issei Kato

新型コロナウイルスによる感染症について、内閣総理大臣が「緊急事態」を宣言できる「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」が3月13日に成立、翌14日に施行された。

安倍晋三首相は14日に記者会見し、「政府と自治体が一体となって懸命に感染拡大防止策を講じている。そのうえであくまで万が一の備えをする。そのための法律であります」と法改正の趣旨を述べた。

一方で、諸外国と比べて感染者数を抑えることができているとして「現時点では緊急事態を宣言する状況ではない」という認識を示した。

緊急事態の判断にあたっては「専門家の意見も伺いながら慎重な判断を行っていく」「必要であれば手続きに則って実行する」と述べた。

専門家会議はこれまでの感染拡大防止対策の効果が3月19日頃に表れてくると考えており、その報告が判断基準の一つとなりそうだ。

会見打ち切り⇛一時騒然⇛続行

記者会見が始まってから40分ほどが過ぎたところ、内閣広報官が「次の質問が最後」と会見を打ち切ろうとした。

すると一部の報道陣から「おかしいでしょう!」など反発する声が上がり、会見場が一時騒然となった。その後、質疑応答は続行された。

「緊急事態宣言」とは

内閣総理大臣が「緊急事態」を宣言すると、地方自治体の首長を通じて、法律に基づき、外出の自粛、休校などを要請・指示できる。

また映画館や劇場、演芸場などのの使用制限、イベント開催の停止なども要請できるようになる。

さらに土地や建物を臨時の医療施設を開設するために使用できるようになったり、医薬品や食品などの物資の売渡しを要請できる。これは所有者の同意が得られない場合も、法律に基づき収用できる。

国民の「私権制限」に懸念も

一方で懸念もある。「緊急事態宣言」が発された場合、国民の私権を制限する可能性があるからだ。専門家からは、発令要件が曖昧で抽象的だと非難も出ている。

宮下一郎・内閣府副大臣は3月11日、衆院法務委員会で「緊急事態宣言」による私権の制限について答弁。

この際に「法案の枠組みとしては、民放を指定放送機関に指定して放送内容を差し替えてもらうことはありうる」と答弁。野党が反発した。

宮下副大臣は3月13日、「誤解に基づくものだった」と答弁を撤回、謝罪したが、政府が恣意的に緊急事態宣言を用いる懸念は払拭できていない。

立憲など野党賛成も一部で造反

与野党問わず、改正には慎重な声もあったが、野党共同会派を組む立憲民主党、国民民主党は「国会に事前に報告する」という付帯決議を盛り込むことで妥協。党として改正案に賛成。社民党の吉川元・国対委員長も賛成した。

ただ、野党共同会派の中では党の決定に反対する議員も出た。

立憲民主党の山尾志桜里氏は「強大な私権制限」にあたるとして法案に反対を表明。無所属の寺田学氏も反対に回った。

山尾氏は3月11日の代議士会で「非立憲的な法案に(対する方針が)非民主的な方法で決められた」と執行部の姿勢を批判。「野党議員が承認に加わっても、どうせ覆らないと言ったら野党議員のいる意味はない」と述べた。

山尾氏はTwitterで「与党に協力したご褒美としての附帯決議で手打ちしたいのは誰?立憲民主党はなにを守りたいの?」とツイートしている。

(文・吉川慧)

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