新型コロナウイルスの流行で在宅時間が増え、TikTokやInstagramの利用時間が大幅に伸びている。
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新型コロナウイルスの感染防止のために外出を控える人が多くなるにつれ、ソーシャルメディアの利用も増えている。
インフルエンサーマーケティングを手がけるエージェンシー2社によると、動画共有アプリ「ティックトック(TikTok)」や写真共有アプリ「インスタグラム(Instagram)」で、スポンサード投稿のインプレッション数やエンゲージメント率が急上昇しているという。
Business Insiderの取材に応じてくれた2社のうち、オブビアスリー(Obviously)は、過去2週間のインスタグラムのスポンサード投稿についた1日あたりの「いいね!」の数は、それ以前に比べて76%積み上がっていると話す。
同社によると、ティックトックのスポンサード投稿も、2月から3月にかけてエンゲージメント率が27%上昇している(エンゲージメント率は、いいね・コメント・シェアの数を再生回数で割って算出)。
オブビアスリーのメイ・カーウォウスキ創業者兼最高経営責任者(CEO)は次のように解説する。
「自宅で過ごす人が増え、ティックトックのアクティブ率が高まり、ソーシャル・ディスタンシング(社会との隔離)が進み、結果としてより多くのコンテンツが消費されるようになるわけです」
スポンサード投稿のエンゲージメント率が急上昇しているのは、ティックトックアプリ自体のユーザー基盤が劇的に成長しているからでもある。
ティックトックは2月に過去最高のインストール数を記録。アプリ統計分析会社センサータワーのデータによると、アップストア(App Store)とグーグルプレイ(Google Play)におけるグローバルのダウンロード数は1億1300万に達するという。
ソーシャル経由のマーケティングはますます増える
TikTokを運営する中国のバイトダンス(字節跳動)の企業価値は750億ドル(約8兆2000億円)とされる。香港での上場は立ち消えと噂されるが、この「コロナ特需」がどう影響してくるか。
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また、Business Insiderの取材に応じてくれたもう1社、サファイア・アップによれば、ティックトックはアメリカでのアクティブ率の伸びが大きく、インプレッション数とエンゲージメント率がここ数週間でさらに上昇しているそうだ。
「当社が手がける広告キャンペーンは再生回数がどんどん増えていて、とにかくバズりやすくなっていますね」と、サファイア・アップのアニシュ・ダラルCEO。
新型コロナウイルスの流行を受け、旅行分野のインフルエンサーマーケティングはキャンセルが相次いでいるものの、他の分野ではむしろソーシャルメディアを通じたマーケティングに予算が集まっている。
ダラルCEOによると、リアルイベントを伴うキャンペーンはキャンセル続きだが、例えば、(ビデオ会議アプリなど)リモートワークをサポートするソフトウエアの広告キャンペーンは、200〜300%という大幅な伸びを示しているという。
インフルエンサーマーケティングを手がける別のエージェンシー、インフルエンシズ(Influences)の創業者、アリアナ・ヤコブはこう話してくれた。
「(野外音楽祭の)コーチェラ・フェスが中止になったように、イベントベースのマーケティング予算はますます減る。代わりにソーシャルを使ったキャンペーンが伸びていくでしょう。みんな家にいるんだから、想像がつきますよね。そして、私たちコンテンツクリエイターにとって、それは必ずしも悪い話ではないんです」
(翻訳・編集:川村力)