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- ドイツの製薬会社「キュアバック(CureVac)」は、新型コロナウイルスのワクチンの独占権を買うというアメリカの提案を拒否したという。
- ドイツ紙『ヴェルト・アム・ゾンターク(Welt am Sonntag)』によると、キュアバックに対して、トランプ政権から会社をアメリカに移すようアプローチがあったという。
- キュアバックのある投資家は、同社は大きな期待がかかるワクチンを1つの国のためだけでなく、世界全体のために開発したいと考えていると、ドイツ紙『マンハイマー・モルゲン(Mannheimer Morgen)』に語っている。
ドイツ紙『マンハイマー・モルゲン(Mannheimer Morgen)』によると、ドイツの製薬会社「キュアバック(CureVac)」は、新型コロナウイルスのワクチンの独占権を買うというアメリカの提案を拒否したという。
ドイツ紙『ヴェルト・アム・ゾンターク(Welt am Sonntag)』によると、ドイツのテュービンゲンに本社を置くキュアバックに対して、トランプ政権から資金提供の見返りに会社をアメリカに移すようアプローチがあったという。
報道によると、ドイツのある政府高官は、トランプ大統領が科学者の研究を独占入手しようとし、政権は未来のワクチンを「アメリカのためだけ」に手に入れようとしたと述べたという。
複数の報道によると、キュアバックの投資家クリストフ・ヘティヒ(Christof Hettich)氏は、同社は大きな期待がかかるワクチンを1つの国のためだけでなく、世界全体のために開発したいと考えていると、ドイツ紙『マンハイマー・モルゲン(Mannheimer Morgen)』に語っている。
キュアバックは3月15日(現地時間)、Business Insiderに対し、多くの組織や政府機関と連絡を取っているとした上で、「買収の噂」を否定した。
ドイツの政府および国会議員らは、未来のワクチンはドイツ国民にも提供してほしいとの要望を表明している。
「未来のワクチンのアメリカへの独占販売は、あらゆる手をつくして阻止されなければならない」と経済・疫学教授でドイツ社会民主党のカール・ローターバッハ (Karl Lauterbach)議員はツイッターで述べた。
「資本主義には限りがある」
ドイツのメルケル首相とトランプ大統領。
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ドイツ連邦保健省の広報担当者はロイターに対し、政府は「新型コロナウイルスのワクチンや有効成分がドイツやヨーロッパでも開発されることに非常に関心を持っており」、アメリカによる独占権の入手は規制するだろうと語った。
「この件について、政府はキュアバックと密にやりとりをしている」という。
アメリカのリチャード・グレネル(Richard Grenell)駐ドイツ大使は、ヴェルト・アム・ゾンターク紙の報道を否定し、「記事は間違っている」と述べた。
キュアバックは、新型コロナウイルスのパンデミックに対し、複数のワクチン候補を提案している。同社の関係者は、被験者を使った実験の許可を申請する前、6月または7月までに実験用ワクチンを用意したいと話した。同社のCEOダニエル・メニケラ(Daniel Menichella)氏は今月、トランプ大統領とペンス副大統領に会い、新型コロナウイルスのワクチンについて話し合ったと報じられている。
アメリカでは3月16日現在、新型コロナウイルスの感染者数は3400人を超え、63人が死亡している。トランプ大統領は13日、国家非常事態を宣言し、新型コロナウイルス対応に向け、最大500億ドル(約5兆4000億円)の拠出に道を開いた。
ドイツでは3月16日現在、感染者数は5700人を超え、11人が死亡している。ロイターによると、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため、ドイツ政府は16日からオーストリア、スイス、フランス、ルクセンブルク、デンマークの5カ国との国境で検問を実施する。
(翻訳、編集:山口佳美)