【現場レポ】サッカー協会・田嶋会長“新型コロナ陽性”に揺れる会場

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突然の「ビル内のコロナ感染疑い」発覚で、会見が中止となったがさらなる説明を求める記者たち。

撮影:大塚淳史

日本サッカー協会(JFA)は3月17日、田嶋幸三会長が新型コロナウイルスに陽性反応が出たことを発表した。田嶋会長は、協会の公式リリースで「本日、私の検査結果が新型コロナウイルス陽性と出ました。現在の体調は、多少熱があり、検査したところ肺炎の症状もあるそうですが、元気です。今後は文京区保健所、医師の指示に従い治療に専念していきます」とコメントし、それまでの経緯を説明した。

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田嶋幸三会長(撮影:2018年)

Reuter/Toru Hanai

スポーツ界では、特にJFAやJリーグといったサッカー界が、いち早く新型コロナウイルスの感染拡大に注意を払っていたことで知られている。Jリーグは公式戦の延期を他に先駆けて決め、その後は頻繁にJリーグ全クラブとの情報共有や対策に取り組んだり、プロ野球との連携をうちだしている。

また、JFAも親善試合や合宿など、各年代含む日本代表の活動をいったんストップし、日本サッカー協会ビル(JFAハウス)での勤務から在宅勤務に切り替えていた。取材に訪れる記者たちにも、アルコール消毒や発熱チェックを徹底していた。

Jリーグは4月3日の公式戦再開を計画しているが、別組織のJFAのこととはいえ、田嶋会長の感染は少なからず何かしらの影響が出るのは間違いない。

定例会見「突然の解散」その現場

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3月17日、Jリーグ理事会後の定例会見を待つ記者たち。新型コロナウイルス問題もあり、通常よりも出席するメディアが多くなっている。

撮影:大塚淳史

このサッカー界の本丸が混乱に襲われた。その現場に筆者はいた。

3月17日は、JFAハウスでJリーグの理事会が行われていた。午後4時半からJリーグの定例会見が開催される予定だった。

午後4時過ぎに、会見会場が開き、記者やカメラマンが集まった。受付入り口には、アルコール消毒液、そして37度5分以上の発熱があるか、マスクの有無を記入する簡易的な問診表があり、手順を踏んで会場内に入った。

Jリーグの定例会見は、基本的に文字媒体の記者が中心で、テレビ局等の取材が入ることはあまりない。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大とともに、動向が注視されるようになり、2月以降のJリーグの会見にはテレビ局など多くのメディアが集まるようになった。

16時半に開催予定だった会見だったが、いったん、Jリーグ関係者から「理事会がまだ終わっていなく、10分ほど遅れます」とアナウンスされた。しかし、10分後にさらに「まだ理事会が終わっておらず17時前後からの開催となります」と発表。理事会が延びて、会見スタートが遅れるというのはよくあることなので、会場内も「いつものこと」といった雰囲気でJリーグの村井満チェアマンの登場を待っていた。

ビル内で新型コロナウイルス感染“疑惑”で混乱

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3月17日17時、Jリーグの広報担当から、新型コロナウイルス感染の疑いによる会見の中止を発表。

撮影:大塚淳史

そして17時。Jリーグの広報担当者が前方に登場し、記者たちが構えたところ、広報担当者がマイクを持ち、思わぬ発表をした。

「このビルから新型コロナウイルスに感染の“疑い”がある方が出たということで、集まって頂いた方々に大変申し訳ないですが、この場での記者会見を中止します」

まさかの発表、そしてあまりに曖昧すぎる内容に、記者側から「もっと状況を詳しく教えてほしい」との声が飛び交った。

Jリーグ関係者なのか、それともリーグとは無関係な会社の人間なのか。JFAハウスには、JリーグやJFA以外にも会社が入居している。具体的な情報が一切不明だったため、記者たちから不満の声が次々に上がった。

17時15分過ぎから記者たちが会場を離れ始めた。一部の記者たちはJFAハウス内にあるプレスルームに移動し、自らの感染への不安の声を漏らす者もいた。プレスルームに現れた広報担当者は、「こういう状況なので、申し訳ないが、18時には退出をお願いします」と伝えてきた。

記者たちが詳しい説明を求めたが、その時点でもまだ、どういったサッカー関係者なのかは明かされなかった。「(感染疑いの話は)別から聞かされて、本当にわからない」と担当者。

18時を前に、筆者はプレスルームを出た。その後、共同通信から「田嶋会長が新型コロナウイルス陽性」との第一報が流れた。その後、JFAから正式に田嶋会長の新型コロナウイルスの感染が発表された。

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日本サッカー協会やJリーグが入居するビル。

撮影:大塚淳史

【公式リリースによる、田嶋会長の動きは次の通り】

2月28日 海外出張へ出発。北アイルランド・ベルファストでの国際サッカー評議会(IFAB)年次総会に出席

3月2日 オランダ・アムステルダムでヨーロッパサッカー連盟(UEFA)の理事会

3月3日 UEFA総会に出席

「UEFA全加盟協会の役員が出席されていました。3月初頭のアムステルダム、ヨーロッパでは新型コロナウイルスに対して現在程の緊張感はなく、皆さん、ハグ、握手、ビズなども行っている状況でした」(田嶋会長)

3月5日 アメリカで開催のサッカー女子の親善大会で、日本女子代表の試合を視察

3月6日 2023年女子ワールド・カップ招致活動でニューヨークへ移動

「(その当時の)アメリカにおいても、新型コロナウィルスに対する危機感は現在ほどではありませんでした」(田嶋会長)

3月8日 日本に帰国

3月9日~13日(リリースには先週と表記) 何度かJFAハウスへ

3月14日 JFAの理事会、会見を開催。

「(サッカー)セルビア協会会長の感染をネットで知りました。UEFA総会で近くにいらっしゃった事は覚えています。(中略)気温が低くなった事もあり少し寒気を感じ、15日に体温を計ると微熱がありました。」(田嶋会長)

3月16日 文京区の保健所に相談し、診察

3月17日午後 新型コロナウイルスの感染検査結果が陽性と判明

(文、写真・大塚淳史)

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