新型コロナ内定取り消しに「救済採用」続々、若手求人ある。「泣き寝入りしないで」

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新型コロナの影響で内定取り消しになった学生を対象にした採用を打ち出す企業が増えている(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

新型コロナウイルスの影響で、4月から入社予定だった新入社員の内定取り消しが起きている。厚生労働省によると3月27日時点で、内定取り消しについて把握しているのは22件32人。一方、人手不足が続く企業の中には、内定取り消しの学生を対象にした採用を打ち出す動きも出ている。

大手企業では、家電量販店・ノジマが「新型コロナウイルス感染拡大に伴う内定取り消しや、就職活動の再開を余儀なくされた学生を対象」に特別枠を設けると発表したほか、ベンチャー企業も内定取り消しを受けた学生向けの選考を次々打ち出している。

コロナ影響受け新卒採用目指す

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ネクストイノベーションの発表文を撮影。内定取り消しを受けた学生らを対象にした採用活動を始めた。

撮影:横山耕太郎

女性向けオンライン診察サービス「スマルナ」を運営するネクストイノベーション(本社・大阪府)は、3月23日に内定取り消し学生を対象にした採用を発表した。

同社は社員数約45人。これまでは同社のインターン経験者からの採用と中途採用がメインだったが、新型コロナの流行を受けて2020年卒の採用を打ち出した。

「サービス利用者の増加を受け、2020年は10人程度の採用を計画していたところに、コロナの流行で内定取り消しのニュースがあった。内定取り消しの大学生を救済したいという思いから、急いで決めた。微力ながら必要な方の救済になればうれしい」(同社広報担当者)

安定採用アピールでイメージアップ

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「企業にとっては安定した採用力のアピールにつながる」と話すプレシャスパートナーズの髙崎誠司社長。

撮影:横山耕太郎

企業が内定取り消しになった学生の採用を打ち出す背景には、2021年卒業の学生に企業姿勢をアピールしたいという企業側の思いもある。

就職・転職支援サイト「アールエイチナビ」を運営し、 中小企業の採用支援を行っているプレシャスパートナーズの髙崎誠司社長はこう指摘する。

「今の大学生は『新型コロナで採用が減るのでは』と不安に思っている。こんな状況でも、安定して採用できることをはっきりと示すことで、企業イメージアップにつながる。21年卒や中途採用にもいい影響があるのではないか」

リーマンショックや東日本大震災でも

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景況感が突然悪化した際に、過去にも内定取り消しが起きている。

撮影:今村拓馬

内定取り消しは過去にも起きており、近年では1997年の金融危機、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災の影響で内定取り消しが問題になった。

リクルートワークス研究所研究員の古屋星斗氏は、内定の取り消しは景況感が突然悪化した時に起こると指摘する。

「リーマンショックの時は、主に金融業などのホワイトカラーで内定取り消しが問題になった。今回のコロナでは、製造業やサービス業など、受注キャンセルによって直接影響を受ける業種へのダメージが大きい。

特に中小企業への影響は甚大で、新卒採用者に担当してもらう予定だった仕事がキャンセルになれば、内定取り消しにつながる可能性も考えられる。内定取り消しにあった学生を行政や学校が支援することはもちろん、企業に対しても支援が必要です」

一方で企業にとっては、なかなか学生を採用できない状況が続いており、2020年卒の求人倍率は1.83倍で、学生の売り手市場だった(リクルートワークス研究所調査)。今後の見通しについて古屋氏は、「これまで著しい若手不足の状況で、若年層への求人ニーズが急変することは想定しにくい。就職活動に臨む学生は平常心で臨んでほしい」と話す。

内定取り消しは高いハードル

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内定の取り消しは「客観的に合理的な理由を欠く」場合はできないとされている。

撮影:今村拓馬

そもそも新型コロナを理由に内定取り消しを行うことはできるのか。

労働問題に詳しい、旬報法律事務所の佐々木亮弁護士は「内定を出した時点で労使契約は結ばれた状態にあります。例えば破産寸前のような状況でなければ、内定取り消しのハードルは高い」と指摘する。

厚生労働省が公表している「採用内定取り消しの防止についてのリーフレット 」の事業主向け版では、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定の取消し(解雇)は無効」と説明。

厚労省は内定取り消しを防ぐため、社員を休業させた際の手当てを保障する「雇用調整助成金」について、新卒学生の休業についても助成を受けられるように特例を設けた

また内定取り消しになった学生に対しては、「ハローワークで新たな就職先の確保に向けて支援する」としており、労働局やハローワークへの相談を呼びけている

「コロナによって見通しが悪くなったからと言って、企業都合での内定取り消しは、企業イメージの悪化や、訴訟になった場合に大きなコストがかかるケースもある。企業は慎重にならないといけない。

学生側も、もし内定取り消しに遭った場合は、泣き寝入りするのではなく、本人が納得できるか形にすることが大事。まずは弁護士などにも相談してみてほしい」(佐々木氏)

Twitter上には、4月から入社予定の企業から内定取り消しを受けたという大学生の声が散見される。内定取り消しに遭った学生にとって、社会人としてのスタートの機会を奪われることになり、生活不安のみならず、精神的なショックも大きい。

企業には雇用調整助成金の利用など、内定取り消しを回避するための行動が求められることはもちろん、新型コロナウイルスによるパンデミックという緊急事態を乗り越えるため、業績が悪化した企業へのさらなる支援が必要になっている。

(文・横山耕太郎)

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