苦戦のホテルベンチャー・OYO、新型コロナ支援に「我々にはその用意がある」

OYO Hotels Japan

インド発のホテルベンチャー「OYO Hotels Japan」は、旅館業への進出と2020年の事業戦略を発表した。

撮影:西山里緒

インド発のホテルベンチャー「OYO Hotels & Homes」が日本で設立した合弁会社「OYO Hotels Japan」は3月18日、「おもてなし」をコンセプトにした新ブランド「OYO Ryokan」を発表した。会見では、新型コロナウイルスの影響を受けて需要の縮小が続くホテル事業におけるOYOの今後の戦略が語られた。

新型コロナ対策「我々には用意がある」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国の宿泊事業者は、客室稼働率の大幅な減少で大きな打撃を受けている。会見では「OYO Ryokan」という新ブランドとともに、旅館事業への進出を強めていく戦略が発表された。

今後はデジタル広告を活用することで認知を高めたいという。

「需要が縮小しているタイミングで、そこに投資をするのはどうなのか?という議論もあった。一方で(苦境にある)パートナーをサポートする意味でも、多くの人に旅館を知ってもらう意義があると感じている」(OYO Hotels 最高業務責任者・田野崎亮太氏)

3月13日には、新型コロナウイルスの影響で集客に苦しむホテルや旅館に資金援助をすることも発表した。Business Insider Japanの取材に対し、OYO Hotels Japanのオペレーティング・パートナー(ビジネス統括)であるプラスン・チョードリー氏はこう語った。

「テクノロジーや運営面のサポートのほか(新型コロナウイルスが収束するまでの)これから数カ月においては、前年の利益に基づきそのうちの数%を支援する。日本市場に長期でコミットするからこその決断だ。明確な予算はないが、我々はその支援ができるだけの用意は十分にある(We're very equipped to do that)」

グローバル収益は4.5倍も、日本市場は苦戦

OYO Hotels Japan

ホテルだけでなく旅館ブランドを確立することで、市場拡大を狙う。

OYO Hotelsは2013年にサービスを開始、わずか10年足らずで客室数が世界第2位にまでなった巨大ホテルチェーンだ。その特徴は、人工知能(AI)を活用してホテルの空室データを分析し、宿泊料金を需給に合わせて最適化するという、事業の革新性だ。

日本には2019年に進出。アパート賃貸事業に続き日本でもホテル事業を開始している。2019年10月には新たにソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから15億ドル(約1600億円)を調達したと報じられ、2019年の収益は前年比4.5倍の9億5100万ドル(約1017億5000万円)を達成した。

OYO Hotels Japan

OYO Hotels Japanの部屋数は約6000室だ。

画像:ソフトバンク2020年3月期 第3四半期 決算資料より

しかしグローバルの急激な成長の裏で、日本市場ではフランチャイズ契約を結んでいるホテルオーナーとのトラブルが浮き彫りにもなった。一部報道では、OYO加盟ホテルにおいてOYOからの未払いや、最低収入の保証金額の減額が発生した問題も取り沙汰されている。

日本国内での展開規模は、2020年3月までに7万5000室目標とも報じられてきたが、2019年12月時点で5762室と遠く及ばない。

3月18日の会見では「ホテルオーナーとの個別の契約内容は公表していないため当日の質問は回答をお断りする場合がある」という事前注意があったほか、質疑応答ではフランチャイズ契約の詳細についても明言を避けた。

ソフトバンクとの連携、強化を目指す

テッククランチによると、OYO Hotelsを運営する「OYO Hotels & Homes」は2020年3月、全世界の社員の15%強にあたる5000人の人員削減を発表している。

この理由についてBusiness Insider Japanが会見の際に尋ねると、前出のOYO Hotels Japanのオペレーティング・パートナーのチョードリー氏は「機械学習などの発達で、多くのことが技術に代替できるようになった。より効率性を追求するために(レイオフを)決断した」と話した。

OYOブランドを冠するアパート賃貸事業「OYO LIFE」は2019年12月、日本市場進出において手を組んでいたヤフーとの提携を解消している。

しかし依然として、ヤフーの親会社(Zホールディングス)筆頭株主であるソフトバンクグループとは連携を強化していきたいと、会見では強調された。

「ヤフー、LINE、PayPay、DiDiなど、ソフトバンクの投資先が持つさまざまなサービスとのコラボレーションもしていきたい。OYO Hotelsで泊まる際に使えるクーポンをこうしたパートナー企業に提供することも検討している」(田野崎氏)

編集部より:初出時、田野崎亮太氏のお名前の漢字を多野崎氏としておりました。お詫びして訂正いたします。 2020年3月23日 17:50

(文・写真、西山里緒)

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