出社はオフ会に?「アフターコロナ」の日本で、働き方や人事はこう変わる

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アフターコロナの世界で、働き方や生活はどう変わるのだろうか(写真はイメージです)。

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今、世界は新型コロナウィルスの蔓延によって未曾有の経済危機の中にあります。この危機はいつまで続くのか全くわかりませんが、いつの日か収束していくことでしょう。

コロナ禍について、医療的な観点や政策的な観点からの論評は門外漢の私にはできませんが、今回は、いつか来る(早く来て欲しいですが)「アフターコロナ」の世界において、人々の働き方や会社における人事のあり方について、どんな変化が起こりそうなのか、そして我々はどんな準備をしておかねばならないのか、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

各企業の対策は、要は「オンライン化」だった

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ZoomやTeams、Webexといったオンライン会議ツールを使った遠隔ミーティングが日常的な風景になったというデスクワーカーは増えている(写真はZoom)。

撮影:小林優多郎

今回、各企業が取った施策について振り返ってみましょう。

多くの会社はこれまで「できない」「デメリットが大きい」といろいろ理由をつけてやってこなかったリモートワークを、否応なく取り入れざるを得ませんでした。「ビフォーコロナ」ではリモートワークの導入率は2割程度でしたが、マーサージャパンの緊急調査によると、現在では8割程度とのことです(ちなみに時差出勤も同程度)。

他にも会議、研修、イベント、出張、懇親会などのリアルな場での諸施策に制限をかけるというのが対策のほとんどです。要はすべてオンライン化を行ったということです。

結果、拍子抜けするほど問題がなかった

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3月初旬には、情報処理系の3つの学会の若手研究者たちが主催する「第12回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム」(通称:DEIM)が、完全オンラインで開催。リモート化の波は企業だけでなく学会にも広がりつつある。

撮影:三ツ村崇志

まだ慣れていないということや、インフラやルール制定などの準備にコストがかかったことから、生産性は一時的に下がることはあるようです。また、小売業や飲食業など、業務によってはそもそもオンライン化が難しい業界もありました。

しかし、全般的な傾向としては、(統計はありませんが)私のクライアントや周囲の人、SNSでの声などを聞いていると、「まったく問題ない」「快適」「もう戻れない」というような声が大半で、当初の不安は杞憂であったようです。

止まるかと思われた新卒採用の就職活動も、面接や説明会が急速にオンライン化し、むしろ移動時間などが減り効率化され、競争激化している感すらあります。

出社は「オフ会」になる

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私の会社も、リモート勤務としてからもう1カ月以上になりますが、特に問題は起こっていません。

全社定例会議などもZoomで十分でした。たまにどうしても行かねばならないことがあり出社することもありますが、その時に社員同士が会うと、なんとなく「オフ会」的な雰囲気で、久しぶりに会えた喜びはあったようです。一方、日々オンラインでコミュニケーションを取っていれば、特段離れていた気はしませんでした。心理的なつながりも、それほど問題は今のところなさそうです。

このように、実際に業務を回していくということにおいては、特定の業種や仕事を除けば大きな問題はなさそうです。

大手IT企業のトップが「コロナ禍が終わってもこのワークスタイルは続ける」「広いオフィスはいらない」と発言するなど、「アフターコロナ」においても多くの企業がこの働き方を継続しそうです。

働く個人側もメリットを感じている人が多いため、逆に元に戻そうとしても「もう満員電車には乗りたくない」と反発を食らってしまうかもしれません。経営者や人事は、この働き方を前提としたマネジメントを想定しておくべきではないかと思います。

「言語化能力」の高さが仕事の巧拙を決める時代になる

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さて、想定される問題はどんなことでしょう。

まず、既に起こっていることですが、「言語化能力」「テキストでのコミュニケーション」がビジネススキルとして重要になってきています。

指示や報告、議論をするにも、テキストやリアルよりも非言語情報を伝えにくい動画でのコミュニケーションをせねばならないために、言語を用いて意図を伝えることができない人は不便を感じているようです。

マネジメントでも、適当にざっくりと部下に指示をして、横目で様子を見ながら、困った表情をしていたら助け舟を出し、さっとやって見せたり、問題点をその場で指摘したりしてサポートする、ということがやりにくくなっています。

リモート会議にしても、ダラダラとできなくなるため、事前の論点整理や目的の明確化など、ここでも言語化能力は必要になりそうです。とにかく、あらゆる面で、きちんと明確な紛れのない言葉で、誤解ないように伝える能力が必要になります。

プロセスや姿勢の評価はしにくくなり「結果勝負」に

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また、リモートワークをすることで、頑張りや努力、途中のプロセスなどがブラックボックスになります。もちろんこれを言語化して逐次伝えることはできますが現実的ではないでしょう。当社でもリモートワーカーにいちいち「今何してる?」とか聞きませんし、詳細な日報とか、管理や評価をするためにしか使わないようなことはさせていません。せいぜい、開始と終了時に全社チャットで挨拶しましょうね、程度です。

ですから、彼らがどんなことをしているかは全くわかりません。わかるのは、仕事の結果だけです。そのため、今後の評価はより結果勝負になりそうです。このことは能力や努力が成果の差に反映されにくい仕事など、すべての仕事に対して良いこととは言えないかもしれません。

「内気な人」には厳しい時代になる?

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もう1つあげるとすれば、社内で自分のイメージ作り、「セルフブランディング」の重要性が増すかもしれません。リモートワークでは「陰徳を積む」ような仕事をしていても誰も気づいてくれません。

自分がやっていることを積極的にアピールしていかないといけません。これまで「男は黙って」とか「お天道様は見てくれている」みたいな昭和な感じで働いていた人たちは(個人的には好きですが)、同じようにアピールしないでいれば、せっかくいいことをしても気づかれないままでいるかもしれません。

結果が全てな仕事であれば影響は少ないでしょうが、縁の下の力持ち的な仕事をしているような内気でアピール下手な人にとっては、なかなか厳しい時代になりそうです。

成果を出さず「評判だけ高い人」を炙り出すことに

このように、オンライン化、リモートワーク化は、移動の負荷の軽減や、集中して仕事ができるなどメリットも多いために「アフターコロナ」でも継続は必至でしょう。

しかし、一方で、皆が言語化能力を高めなければコミュニケーションロスも起こるでしょうし、結果しか見えない中での評価をどうするかを検討しなくてはなりません。

また、仕事をしている人よりも、アピール上手な人が評価されるようなことにならないような工夫も必要でしょう。

ただ、これらの問題点を乗り越えれば、「休まず遅れず働かず」で雰囲気だけは仕事をしているが、実際には何の成果も出していない人や、評判が高いだけで中身がない人を炙り出すことにもなります。

そうなれば、組織にとって本当に貢献している人がわかる世の中になる可能性も大きく、結果として生産性の向上につながっていくのではないでしょうか。


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曽和利光:京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長を歴任し、2011年に株式会社人材研究所設立。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。近著に『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』。そのほか『コミュ障のための面接戦略』、『人事と採用のセオリー』などの著書がある。

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