日本航空(JAL)が、これまで客室乗務員やグランドスタッフの女性に対して設けていた、ヒール・パンプスの規定を撤廃する。同社はこの4月から制服を刷新し、女性の客室乗務員に初のパンツスタイルを導入することでも注目を集めていたが、さらなる変革に踏み込んだ形だ。
「ヒール0センチ」でも可
JALも#KuTooへ。背景には、社員の安全と健康、そして多様性への配慮がある。
shutterstock / Daniel De Petro
JALはこれまで女性従業員の靴について、黒色のパンプスで、ヒールの高さは客室乗務員が3〜4cm、グランドスタッフは3〜6cmという規定を設けていた。
今後はヒールの規定を撤廃し、さらにパンプスでなくとも黒のプレーンな革靴(ローファー)や、ドライビングシューズの着用も可能にする。
JAL広報部によると「社員の安全や健康、そして多様なニーズを検討した上での変更」だという。
希望者は、これまで通りヒールつきパンプスを着用することもできる。新しい規定は、制服の刷新に合わせた4月1日からスタートする。
「マナー変える先駆けになってくれた」と賞賛
厚生労働省で会見する石川優実さん。これまでに2度、署名と要望書を提出している。
撮影:竹下郁子
職場で女性にのみヒールやパンプスを義務づけることに抗議する#KuToo運動を立ち上げた、グラビア女優の石川優実さんは、今回の対応を受けて、
「TwitterではJALに対して賞賛する声が上がっています。これまで当然のマナーだったことを、どこよりも早く変えることがこわいのは、よく分かります。そんな中、JALは変わった。素晴らしいと思います。
これをきっかけに他の航空会社やホテル、冠婚葬祭業など、女性にのみヒールを義務づけている企業は続いて欲しい。働く女性の健康や安全と、すでに変わりつつある“マナー”のどちらが大切なのか、見直してもらいたいです」(石川さん)
とコメントした。
国会で、世界で。広がる#KuToo
23日、参議院予算委員会でJALの#KuTooについて報告した共産党の小池晃書記局長。
出典:参議院ホームページ
3月23日、参議院予算委員会で上記JALの服装規定の変更について報告した共産党・小池晃書記局長は、「JALの素早い対応に敬意を評したい。声を上げれば政治も社会も動く」と述べている。小池氏は3日にも#KuTooについて質問しており、それを受けた安倍晋三首相は、#KuToo運動について「承知しています」と明らかにした上で、職場の服装について「単なる苦痛を強いるような、合理性を欠くルールを女性に強いることはあってはならない」と答弁していた。
厚生労働相もこれまでに国会答弁で、ヒールやパンプスの強制はパワハラにあたり得るという見解を示している。
#KuTooの署名はこれまでに3万2000筆以上を集め、3月8日の国際女性デーに米CNNの番組でヒラリー・クリントンも言及。女性は職場でハイヒールを履く必要はなく、メガネをかけてもいいはずだと主張していた。
(文・竹下郁子)
※「職場のハイヒール・パンプス着用、緊急アンケート」には、これまで3500人以上から回答をいただきました。ありがとうございます。靴以外についてもおたずねしていますので、引き続きご協力をお願いします。