国内で新型ウイルスの動物試験用ワクチンが完成。半年後にヒトでの臨床試験へ

アンジェス代表

2020年3月5日、東京で新型コロナウイルスワクチンに関する共同記者会見が開かれた。写真はアンジェス代表の山田英氏。

REUTERS/Issei Kato

3月24日、大阪大学の基礎研究を基に設立された大学発のバイオベンチャー「アンジェス」は、大阪大学らと共同で開発していた新型コロナウイルスに対する動物試験用の「DNAワクチン」を開発したと発表。近日中に、動物実験に取り組む予定だとしている。

アンジェスらが開発しようとしているワクチンは「プラスミドDNAワクチン」と呼ばれるもの。環状のDNA(プラスミド)を接種することで、病原体タンパク質を体内で生産し、免疫を獲得する。

DNAワクチンは、弱毒化したウイルスを接種するわけではないため、比較的安全だとされている。

アンジェスの広報担当者は、Business Insider Japanの取材に対して、

「現状は、動物用の原薬ができたという段階。この後、ネズミ、ラット、サルの順番に試験を行っていくことになる」

と話す。

動物に対する試験では、ウイルスに対抗するための「抗体」ができるかどうかのチェックや、安全性(毒性)の有無を確認することになる。効果や安全性が確かめられれば、いよいよヒトに対する臨床試験が行われることになる。

状況によって開発のペースは変わることが想定されるものの、今のところ9月頃までには動物に対する試験を終え、人に対する臨床試験の準備をしたいとしている。

まだ、動物実験というワクチン開発の最初の段階に手がかかっただけ。安心するのはまだ早いものの、新型コロナウイルスとの戦いに長く耐え続ければ、いずれワクチンや治療薬の開発が間に合ってくるはずだ。

研究開発の今後の進捗に期待したい。

(文・三ツ村崇志)

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