ドイツのゼンハイザーは、Bluetooth 5.1採用のワイヤレスイヤホン「MOMENTUM True Wireless 2」を日本で発売する。カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色。
撮影:小林優多郎
ドイツの老舗音響メーカー・ゼンハイザーは3月26日、完全分離型ワイヤレスイヤホン「MOMENTUM True Wireless 2」を発表した。5月中旬から家電量販店や各種ECサイトで発売予定。市場想定価格は3万6300円(税別)となる。
ノイズキャンセリング+長時間駆動など、初代から大幅進化
写真左が2代目、右が初代。
撮影:小林優多郎
MOMENTUM True Wireless 2は、ゼンハイザーでは2代目となる完全分離型のワイヤレスイヤホン。ドライバーは7ミリで、老舗メーカーらしい高音質が特徴。初代からはノイズキャンセリング機能が追加。バッテリー駆動時間は本体4時間+ケース8時間から、本体7時間+ケース21時間に長時間化しつつ、従来比2ミリの小型化に成功している。
充電機能も持つケースの背面。充電用の端子はUSB Type-C。
撮影:小林優多郎
また、MOMENTUM True Wireless 2は片方のイヤホンがもう片方のイヤホンの親機およびスマートフォンの子機をかねるTWS(True Wireless Stereo)方式を採用しているが、スマートフォンとの接続の安定を保つため、LDSアンテナを搭載している。
写真左から2代目、初代。小型化し形状もやや異なるのがわかる。
撮影:小林優多郎
ゼンハイザージャパンでセールス&マーケティングディレクター コンシューマーを務める榊山大蔵氏は「巷では安定化のためにTWS Plus(クアルコムの通信安定化・低消費電力化技術)を採用する場合があるが、TWS Plusはスマホ側の対応が必要になる。LDSアンテナであれば、スマホの種類に関わらず安定した接続性を提供できる」と話している。
「音質重視」のノイキャン性能
音質やノイズキャンセリング機能について、ゼンハイザーにはこだわりがある。
撮影:小林優多郎
前述のとおり、MOMENTUM True Wireless 2の最大の特徴はその音質の高さとノイズキャンセリング機能の両立にある。
大雑把に言えば、ノイズキャンセリング機能はノイズをマイクで取得し、その逆位相の波を再生中の音楽と合わせることで、雑音を廃している。つまり、ノイズキャンセリング技術を使うと、ある程度音質が犠牲になるわけだが、オーディオメーカー各社は両者のバランスをとることでその問題に対処している。
実際に装着してみたところ、見た目の「メカっぽさ」に反して、非常に軽くてフィット感があった。
撮影:小林優多郎
一方、ゼンハイザーは「音質面では妥協しない」(榊山氏)と方向性を明言。耳元に近い場所に集音マイクを設置して、より精度の高いノイズキャンセリング性を得られるものの、音質への影響が大きいとされる“フィードバック式”ではなく、ハウジング外の集音マイクを使う“フィードフォワード式”のみを採用。
加えて、本体の形状を改善することで物理的な遮音性を高めることで、同社が求める音質とノイズキャンセリングを同時に実現した。
わずかな時間ではあったが、筆者もMOMENTUM True Wireless 2を試してみたところ、確かにこの絶妙なバランスには驚いた。ノイズキャンセリングの性能は、他社製(筆者は普段ソニーの「WI-1000XM2」を使っている)と比べてやや力不足だが、電車内を想定した雑音程度ではクリアーに聞こえた。かつノイズキャンセリングのオンオフで聞き比べた際、音質の劣化はほとんど感じられなかった。
税込4万円弱の価値を感じられるか試す価値はアリ
ゼンハイザーの“こだわり”が、自分の耳に合うかは1度試すべきだ。
撮影:小林優多郎
もちろん課題もある。最も大きな障壁はなんと言っても価格だ。同じ完全分離型では他社製の多くが税込で3万円前後なのに対し、MOMENTUM True Wireless 2は4万円弱とかなり“強気”な設定だ。
- ゼンハイザー「MOMENTUM True Wireless 2」……3万9930円(税込)
- ソニー「WF-1000XM3」……2万8468円(税込)
- アップル「AirPods Pro」……3万580円(税込)
また、チップセットとしてクアルコムの最新チップ(型番は非公開)を搭載としているが、対応コーデックは「SBC」「AAC」「apt-X」のみで、「apt-X HD」や「LDAC」といったより高音質なデータ転送規格に対応していない点も好みが分かれるポイントだ。
とはいえ、前述のとおり同社のこだわりの音質とノイズキャンセリング機能のバランス、本体重量12グラム(2つ分)の付け心地の良さは他社にはない魅力がある。店頭などで試してみて一考してみるといいだろう。
(文・撮影、小林優多郎)