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チェチェン共和国のトップ、新型コロナウイルスに感染し自主隔離しない者は「殺されるべき」と主張

カディロフ首長。

チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長。

AP Photo/Musa Saduayev

  • ロシア南部チェチェン共和国のラムザン・カディロフ(Ramzan Kadyrov)首長の"脅し"は確かだ。カディロフ首長には、自分の気に入らない人間を殺害しているという疑惑が長年、つきまとっている。
  • 誤った情報を拡散したとされる人たちもすでに、チェチェンのテレビで強制的に告白、謝罪させられている。
  • カディロフ首長の率いる治安部隊は以前、LGBTコミュニティーの人々を投獄したり、拷問を加えたり、殺害したこともあるという。

新型コロナウイルスの検査で「陽性」となった後、自主隔離しない人間は殺されるべきだと、ロシア南部チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長は3月23日(現地時間)、現地国営メディアのインタビューで語った。

ロシアのメディアは、すぐにこの"脅し" —— ロシアのプーチン大統領と政治的に近いカディロフ首長を直接取材したチェチェンの記者が報じた —— を確かなものと受け取った。2005年にチェチェン共和国のほぼ全権を掌握して以来、カディロフ首長には政治的意見の異なる人間を潰したり、自分の気に入らない人間を殺害しているという疑惑がつきまとっているからだ。チェチェン共和国は、ロシア連邦に属する半自治の共和国だ。

「この問題を生じさせた人間は、わたしに言わせれば、殺されるべきだ。自分が病気になるだけでなく、家族や姉妹、兄弟、隣人をも感染させるのだから」と、カディロフ首長はニュースメディア「カフカスキー・ウゼル(Kavkazsky Uzel)」の記者に語った

ロシアが報告している新型コロナウイルスの感染者数はあまりに少ないため、多くの専門家がロシアは数を少なく報告しているまたは隠しているのではないかと見ている。一方、チェチェン共和国は、これまでに報告した感染者数はわずか3人であるにもかかわらず、ウイルスを封じ込めるために挑戦的な措置を取っている。

メッカへの巡礼の旅から帰ってきたとされるこの3人の感染者の存在は、すぐにロシア唯一のイスラム教徒が過半数を占めるこの共和国を混乱させた。ソーシャルメディアでは根拠のないデマが広まり、人々は生活必需品の買いだめに殺到し始めた。

テレビでの謝罪を強制

こうしたデマが広まるのを食い止めるため、カディロフ首長はすぐに手を打った。デマを流した人々を逮捕し、強制的にテレビで告白、謝罪させたのもその一環だ。人権団体は、これらの告白は強要させられたものだと懸念している。

政府はまた、買いだめを止めさせるために価格統制を実施し、消費者と業者の両方に対して、違反すれば罰金を科し、逮捕すると脅した。

だが、最も注目を浴びたのは、自主隔離を拒否した人々について「殺されるべき」と言及したことだ。カディロフ首長は過去に、HIVの感染に対する漠然とした懸念から、LGBTの権利を訴える活動家たちを一斉検挙し、投獄、拷問したことがあると報じられている。こうした政策 —— 少なくとも1人の活動家がそのために命を落とした —— は、保健医療とは全く関係がなく、保守的な地域における反同性愛のポグロム(集団暴力)だと、国際社会の非難を浴びた。

カディロフ首長の今回の発言は、感染した巡礼者の1人が隔離を拒否したと報じられた後のものだ。この人物が今、どうなっているかは分からない。

[原文:People with COVID-19 who won't self-isolate should be killed, says president of Chechnya

(翻訳、編集:山口佳美)

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