バルコニーから医療従事者への応援をする人々。スペイン、バルセロナで。
David Ramos/Getty Images
- スペインが中国から購入したコロナウイルス検査キットの判定が不安定だったため、返品されるという。
- スペインでは現在、コロナウイルスによる死者がイタリアについで世界で2番目に多い。
- スペインの日刊紙ElPaís(エル・パイス)は、Bioeasyという中国の会社から購入した検査キットは、正確にウイルス症例を特定できたのがわずか30%であることを研究者が発見したと報じた。
- 同紙によると、スペイン保健当局は、この検査キットを使うべきではないと考えており、キットを返品すると述べた。
- スペインの中国大使館は、Bioeasyの製品は中国による医療援助の一部ではなく、同社は製品を販売するライセンスを持っていないと述べた。
スペインの微生物学の専門家によると、同国が中国から購入したコロナウイルス検査キットでは、常に正しく陽性が検出されるわけではないという。
スペインでは世界でも最悪のコロナウイルスの流行が起きており、死者数はイタリアに次いで2番目に多い。
スペインの日刊紙ElPaís(エル・パイス)によると、スペインで実施された検査では、ウイルス感染者を正しく特定できたのはわずか30%だったという。同紙への情報提供者は、検査の感度は80%以上であるべきだと語った。アメリカ疾病管理予防センターは、インフルエンザの迅速検査の感度は80%以上必要だとしている。迅速検査は数分で結果が得られるが、通常は正規の検査ほど正確ではない。
同紙の報道によれば、この研究を受けてスペイン臨床微生物学会は、これらの検査キットを使用しないよう勧告した。医療従事者は現在、結果を出すのに時間のかかる他の検査キットを使っている。
スペインの健康緊急事態調整センターの所長、フェルナンド・シモン(Fernando Simón)は3月26日、9000件の検査内容をチェックし、その結果が一貫していないことを発見し、それらを返品することを決めたと述べた。スペイン保健省は、検査についての調査結果を確認し、カルロス3世健康研究所の広報担当者は、「テクニカルシートに記載されている内容と一致しない感度だった」と言った。
その担当者によると、研究所はマドリードに送付された検査キットを送り返し、代わりに政府が承認した新しい検査を実施するという。新しい検査は、すでにアンダルシア州とガリシア州で実施され、25日にはマドリード州で実施された。新たな検査の実施が遅れれば、このウイルスを封じ込めようとするスペインの努力に悪影響を及ぼすだろう。
ElPaísによると、このキットはBioeasyという中国のバイオテクノロジー企業によって製造された。ほかにもジョージアなど国々が、その会社の検査キットを購入している。
スペインの中国大使館はツイッターで、中国が他の国に寄付している医薬品にはBioeasyの製品は含まれていないと述べた。
同紙によると、中国商務省はスペインに製造業者のリストを提供したが、Bioeasyはその中に含まれておらず、製品販売のための中国国家医薬品局からの許可も得ていないという。
スペインのコロナウイルスとの戦いの最前線に立つ医師。
Getty
スペインは23日、中国と韓国から64万個の迅速検査キットを受け取ったと発表した。そのうち何台をBioeasyが製造したかは不明だ。
チェコの医療専門家も、中国からの迅速検査キットが適切に機能していないと述べているが、これらの検査キットがBioeasyによって製造されたものかどうかは明らかではない。
中国は、国内で新たな患者が発生していないと報告しており、流行が鈍化しているため、他国に医療従事者を派遣し、マスクや検査などの医療機器を寄付している。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)