【フリーランス協会・平田麻莉4】突然の報酬未払い通告「泣き寝入り」の前例はつくらない

平田麻莉

1982年生まれ。慶應大学SFC在学中にPR会社ビルコムの創業に参画。同大学ビジネススクールを経て、2017年フリーランス協会設立、代表理事に就任。

撮影:伊藤圭

それは1通の内容証明郵便から始まった。封を切ると「業務契約違反」という言葉が目に飛び込んできた。

平田麻莉(37)はフリーランスの広報プランナーとして活動してきた10年の間に一度だけ、クライアントから一方的に報酬未払いを言い渡されたことがある。身に覚えのない過失を言い立てられ、それによって生じた損害を報酬と相殺するというのだ。

「憑依型」広報として親身になって尽くしてきた顧客の理不尽な通知に、平田は茫然とした。その後2、3日は眠ることもままならず、泣き暮らしたという。

弁護士費用を考えると、未払い分の報酬を裁判で回収するメリットは少なく、赤字になる可能性もあった。だが平田は敢えて提訴に踏み切る。

送信済みのメールなどを裁判所へ提出し、過失が「ない」ことを立証するなど、訴訟に伴う原告側の負担は軽くはない。信頼していた企業と敵対することになり、精神的にも消耗した。

だが平田は、

「発注者は何の裏付けもない一方的な通知を出すだけで、『フリーランスは訴訟してこない』と高をくくっている。若いフリーランスの人たちのためにも、泣き寝入りせず闘う姿勢を示そう」

と決めていた。

結局、事実無根のクライアントの主張は認められず、未払金は支払われた。

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