中国ファーウェイ決算「新型コロナの影響は予測不可能」、2019年度は米中貿易戦争の影響

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2019年度の決算を発表するファーウェイの徐輪番会長

ビデオ会議のスクリーンショット

中国通信機器大手のファーウェイ(華為技術)は3月31日、2019年度(1〜12月)の決算を発表、売上高が前年比19.1%増の8588億元(約13兆3715億円 )、純利益は627億元(約9762億円)だった。

セグメント別にみると消費者向け端末事業は、前年比34%増の4673億元(約7兆2759億円)。2019年のスマートフォン出荷台数が中国で大きく伸び、グローバルでは過去最高の2億4000万台だったことが寄与した。

法人向けICTソリューション事業は、前年比8.6%増の897億元(約1兆3966億円)。通信事業者向けネットワーク事業は、前年比3.8%増の2967億元(約4兆6196億円)だった。高速・大容量の次世代通信システムである5Gネットワークの採用を巡って、アメリカが各国にファーウェイ排除を呼びかけたことが影響し、伸び悩んだ形だ。

スマホなど端末事業は2019年後半に急落

会見の様子

決算発表後の質疑応答は各国の記者約90人と結んでオンラインで行われた。

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売上高全体は伸びているものの、アメリカの輸出規制の影響は鮮明となっている。地域別にみると、中国の売上高は同36.2%増えた一方、アジア太平洋地区の落ち込み(同13.9%減)が影響し、海外売上高は同11.6%減少した。

輸出規制のため、ファーウェイの端末はグーグルのアプリ基盤「Google Mobile Services(GMS)」も使えなくなった。徐直軍(エリック・シュー)輪番会長は「海外の消費者向け事業は2019年5、6月までは順調に伸びていたが、年後半は急下降した」と影響を認め、「今後の回復はファーウェイの独自アプリ基盤Huawei Mobile Services(HMS)のエコシステム構築にかかっている」と語った。

5Gネットワークの基地局で、ファーウェイが事実上排除されている日本市場について、徐輪番会長は「NTTドコモ、auとは取引がないが、ソフトバンクには4G基地局を提供している。5G基地局でもビジネスができることを望んでいる」と述べた。

2020年は「最も厳しい1年になる」

オンラインで行われた会見で、徐輪番会長は2019年を「アメリカによる輸出規制の発動で、非常に厳しい1年になると覚悟していたが、結果的に大きく成長することができた」と総括した。だが、2020年については「2019年を上回る、過去最も厳しい1年になる」と断言した。

要因の一つは、2019年5月に発動したアメリカの輸出規制の影響を年間を通じて受けること。そしてもう一つの「予想外」の逆風は、世界で拡大する新型コロナウイルスだ。

ビデオ会議ツールZoomと各国の記者を結んで実施された会見では、新型コロナウイルスの事業への影響に関心が集中した。徐輪番会長は「中国の事業はほぼ元通りに回復し、サプライチェーンも正常化している」とする一方で、「欧州はまさに拡大のさ中にあり、今後の予想について何か言える段階にない」と述べた。

新型コロナウイルスがビジネスにどんな変化を与えるかを問われても、「現在の顧客や政府の要望に応えることが最優先事項で、課題や改善すべきことをまとめるのは、もう少し先になる」と強調した。

(文・浦上早苗)

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