サンフランシスコとニューヨーク、明暗を分けている理由は…早期の自宅退避命令が功を奏したか

人のいないサンフランシスコ

人のいないサンフランシスコの街を路面電車が走る。2020年3月30日。

Justin Sullivan/Getty Images

  • サンフランシスコのベイエリアでは、屋内退避が2週間を迎えた。専門家は、早期に実施された社会的距離を置く措置が功を奏していると述べている。
  • 医療関係者によると、患者数は増え続けているが、ニューヨーク州などよりもはるかに少なく、病床が足りなくなっているわけではない。
  • ただし、ニューヨーク州は、カリフォルニア州よりもはるかに多くのウイルス検査を実施している。
  • 当局は、住民が社会的距離を保ち、ウイルスの拡散を防ぐための行動を続けることが極めて重要だと強調している。

サンフランシスコで3月17日にCOVID-19の拡大を阻止するために広域屋内退避命令が発令されてから約2週間が経った。

この病気の潜伏期間と考えられている2週間が過ぎ、確認された症例数と死亡数は地域全体で増加し続けている。しかし、この地域でのウイルスの広がりは、アメリカの他の地域ほど激しくはなく、一部の地域の保健専門家は、当局が早期に対策を講じたことがよかったと考えている。

この地域は、アメリカで初めて住民に自宅退避を命じた。数日後には、カリフォルニア州がそれに続く。以来、この地域はアウトブレイクを封じ込めることができるか、そしていつ通常の生活に戻ることができるかのモデルとして注目されている

感染者数や入院患者数は、特定の地域におけるアウトブレイクの度合いを示す最良の指標だ。カリフォルニアでは8700人以上の感染者が確認されており、サンフランシスコ・ベイエリアでは2550人以上になる。Business Insiderが報じたところによると、少なくとも8万件以上の感染が確認されたニューヨーク州などでは、病院と医療従事者が追い詰められているという。

しかし、ベイエリアの公衆衛生担当者は、明らかな上昇傾向はなくなりつつあるが、ゴールを特定するのは難しいと述べている

「人々はそれがいつ終わるのか知りたがっているが我々には言えない」とコントラコスタ郡の保健担当官、クリス・ファルニターノ(Chris Farnitano)氏はサンフランシスコ・クロニクル紙に語った。

「我々はデータに従わなければならい」


住民への自宅退避命令は、感染者の増加曲線を平坦にする、つまりウイルスの拡散を可能な限り遅くして、医療システムが崩壊しないようするためだった

2020年3月30日、サンフランシスコのビーチ。

2020年3月30日、サンフランシスコのビーチ。

Justin Sullivan/Getty Images

感染経路不明の集団感染の症例がこの地域の郊外で発見された後、ベイエリアは当初、アメリカにおけるアウトブレイクの震源地だと疑われた。そして3月5日、サンフランシスコ市内で最初の2人の感染者が確認された。どちらも地域内感染である可能性が高かった。

屋内退避命令が出される3月17日以前から、ベイエリアの一部では大規模集会の禁止が始まっていた。例えばサンフランシスコでは、市が所有する施設での50人を超える不必要なイベントを禁止した。また、アップル(Apple)、ツイッター(Twitter)、フェイスブック(Facebook)、グーグル(Google)、セールスフォース(Salesforce)などのテクノロジー大手を含むこの地域の雇用主は、この退避令が出るずっと前から、従業員に在宅勤務を指示することで予防策を講じていた。

「サンフランシスコで、うまくいっている兆候がいくつか見られる」と、ハーバード大学医学部教授の疫学者のジョン・ブラウンスタイン(John Brownstein)氏はCNBCに語った。

サンフランシスコ市内の病院は、まだ医療システムが正常に稼働している

サンフランシスコ市内の病院は、まだ医療システムが正常に稼働している

3月30日、サンフランシスコのUCSFメディカルセンターにある救急車。

Smith Collection/Gado/Getty Images

北カリフォルニアのカイザー・パーマネンテ病院では「COVID-19の症例数が横ばいになっている」と、パーマネンテ・グループのエグゼクティブ・ディレクターで医師のスティーブン・パロディ(Stephen Parodi)氏はポリティコに語った。また、地域が社会的距離をとるようになってから、風邪や咳に関する相談も減少しているという。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のパルナッソス病院で救急部門の医長を務めるヤーハン・ファヒミ(Jahan Fahimi)氏はポリティコに対し、この地域で早期に実施された屋内退避が、アメリカの他の地域と比べて症例数が少ない理由として最も妥当な説明だと述べた。

「我々は慎重でありながらも楽観的だ」とファヒミ氏は言う。集中治療を必要とする患者が急増しているわけではないとも述べた。

UCSF医学部の学部長、ボブ・ワクター(Bob Wachter)氏はCNBCに対し、パルナッソスの緊急救命室は「やや忙しい」状況であり、集中治療室のベッドはまだ使用されていないと述べた。CNBCによると、同病院の医療従事者は、重篤な症例数が管理可能な増加だったため、手術の延期などの措置により、患者の急増に備える十分な時間があった。

サンフランシスコのカリフォルニア太平洋医療センターでも同様の状況が見られるという。

当初ベイエリアの6つの郡が自宅退避命令を出した。症例数が増加するにつれてバークレー市を含む他の管轄区域もそこに加わった

ゴールデンゲートパーク

ゴールデンゲートパークのプレイグラウンドの閉鎖を知らせる看板。2020年3月23日、サンフランシスコ。

REUTERS/ Stephen Lam

現在の感染者数はアラメダ郡で359人、コントラコスタ郡では222人、マリン郡では107人、サンフランシスコ郡では434人、サンマテオ郡では388人となっている。

サウスベイのサンタクララ郡では、890人の感染が確認され、ホームレスの男性を含む30人の死亡が報告されるなど、症例数が最も多かった。CNBCによると、パロアルトにあるスタンフォード大学もこのウイルスに感染しており、33人の感染者が出ているという。そのため、これらの地域の政府関係者は、近隣の郡ほど効果に確信が持てていない。


ベイエリアはニューヨークのような状況を回避したことで、その対策を称賛されているが、この地域の人口が少ない理由はほかにもあるかもしれない

ニューヨークのブルックリン

2020年3月31日、ニューヨークのブルックリンで、救急車内に消毒剤を散布する救急隊員。

REUTERS/Brendan Mcdermid

ニューヨーク市はサンフランシスコのような都市より人口密度が高いため、市民同士はより緊密に接触し、ウイルスの感染しやすい環境にある。

また、カリフォルニア州全体では、ニューヨーク州や他の州と比べて、検査を受けた人がはるかに少ない。3月27日の時点で、ニューヨークでは14万5000人が検査を受けたのに対し、カリフォルニアでは8万9600人だった。カリフォルニア州では今後、約6万4000件の検査が予定されており、ギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)知事は1日、同州では現在、774人の患者が集中治療室に入っており、31日から約17%増加していると述べた。

アメリカ全体では、コロナウイルスの検査キットが不足している。

しかし、ベイエリアの専門家や市当局者は依然として屋内退避命令の重要性を強調しており、この命令は5月3日まで延長された

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サンフランシスコのマリーナ地区。3月30日。

Justin Sullivan/Getty Images

社会的距離の制限が緩和されれば、ウイルス拡散の危険が増すことになる。

退避命令はその延長とともに、ドッグパークや公共ピクニック区域の閉鎖、10人を超える参列者の葬儀の禁止など、住民にさらなる制限をもたらした。

「まだやるべきことはたくさんある」 と、サンノゼ市のサム・リカルド(Sam Liccardo)市長はポリティコに語った。

「一つわかっているのは、この先の何週間も大変なことが続くということだ。我々は非常に重い荷物を背負っているので、よくやったというには、まだ早すぎる」

[原文:Experts say the San Francisco Bay Area's early social distancing call may have saved the region from a fate similar to New York's

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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