Brian Snyder/Reuters
- 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の中、グーグル社内の生産性の専門家ローラ・メイ・マーティン(Laura Mae Martin)氏はグーグルの従業員に対し、ワーク・ライフ・バランスのマネジメント法をアドバイスしている。
- マーティン氏は、在宅勤務でいっぱいいっぱいになったり、ストレスを感じた時にどうすればいいか、ヒントを与えてくれた。
- 厳格なスケジュールでなく柔軟なルーティンを取り入れること、休憩を含め「1時間ごと」の自分との約束事を決めることをマーティン氏は勧めている。
- だが、最も重要なのは、今は自分の最大限の生産性を発揮できる状況ではないと認識し、そういう自分を許すことだとマーティン氏は言う。
もし今、あなたが「いっぱいいっぱいだ」と感じているなら、あなたはひとりじゃない。
グーグル社内の生産性の専門家ですら、新型コロナウイルスの感染拡大とともに起きた仕事とプライベート両方の変化に頭を悩ませている。
ローラ・メイ・マーティン氏は、入社したばかりの従業員から経営幹部まで、グーグルで働く全ての人に生産性を高めるためのアドバイスを与えている。約10年前にグーグルでのキャリアをスタートさせたマーティン氏は、営業担当から生産性の専門家になった。
新型コロナウイルスのパンデミックでグーグルの従業員がリモートワークに切り替えざるを得なくなった今、マーティン氏はモチベーションを維持し、ストレスとうまく付き合うための新たな方法を提案している。そのアドバイスはグーグルで働いていてもいなくても、誰でも取り入れることのできるものだ。
「最も重要なことを1つ選ばなければならないとしたら、家で仕事をしようと思うなら、前日に自分なりのプランを立てておくことです」とマーティン氏はBusiness Insiderに語った。
「赤ちゃんの昼寝でも何でも、3時間くらい集中できる時間があれば、仕事を片付けることができるでしょう。多くの場合、わたしたちは初めの数分を『待った、自分は何をしなくちゃいけなかったんだっけ? 』と考えることに時間を使っています」
マーティン氏はグーグルの従業員のためにワークシートを作った。ただ、これは誰でも自分用に作ることができるものだ。マーティン氏が「自分との1時間ごとの契約」と呼ぶこのワークシートには、同氏の場合、いつ子どもの昼寝が始まるか、その間に何を済ませておく必要があるかが書いてあるという。リストに書き出すことで、その"契約"を守る助けになるのだと、マーティン氏は話している。
だが、マーティン氏は厳格なスケジュールを決めることは勧めていない。ストレスや疲労を感じている人は、柔軟なルーティンを試すべきだという。つまり、1日のうち自分の生産性が最も高まる時間を見つけ、その時間に"やるべきことリスト"に取りかかるということだ。
「子どもがいても、1日中ひとりでも、こうした仕組みを持っておくことは助けになります」とマーティン氏は言う。
「例えば、1時から2時まで休憩を取るならそう書くんです。それが責任感を持ち続ける助けになります」
ただ、モーリン氏は目の前の仕事に集中するためだけに時間を使うことを勧めていない。
「自分のための時間を作ることも、仕事を片付けることと同じくらい大切なことです。もし短時間でも瞑想したり、携帯電話やパソコンをオフにしたり、子どもと遊ぶ時間が取れるなら、それもあなたの意識や生産性を高める役に立ちます。長期的に見て、精神面での健康の助けにもなります」
「今は生産性を最大限発揮できなくてもOK」
労働統計局によると、アメリカでは在宅勤務が可能な人の割合は労働人口のたった約29%だ。今、どのくらいの人数が実際にリモートワークをしているかは分からないが、ここ数週間で大幅に増加したことは間違いないだろう。
3月に入って、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大したアメリカでは、大手テック企業が在宅勤務を導入し始めた。例えばツイッター社は、世界中の全従業員を対象に在宅勤務を義務付けた。フェイスブック、グーグル、アマゾンも在宅勤務を勧めている。
専門家たちは、今がアメリカの労働文化にとっての「重大な分岐点」であり、リモートワークがオフィスに通勤するより、従業員だけでなく雇い主にとってもメリットが大きいと証明するチャンスだと指摘している。
ただ、モーリン氏は在宅勤務にはメリット —— 必ずしも9時~5時のスケジュールを厳密に守る必要はないなど —— があるものの、今は自分に厳しくなり過ぎないことが重要だとアドバイスする。
「中には(在宅勤務が)本当にうまくいく人もいますが、多くの人は苦戦します。"やることリスト"に書いた10のうち6しか終わらなくても、今は自分の最大限の生産性が発揮できなくてもOKなんだと、自分を許し、理解してあげましょう」
(翻訳、編集:山口佳美)